第29話 クラスメイトが遊びに来ました1

「それで、何しに来たんですか?」


 もう帰って貰いたい。

 とりあえず、お茶を入れる。


「昨日のご褒美。誰がいい?」


「ごふっ!?」


 何を選ぶの?


「あはは。冗談だよ。まあ、仲良くなったらそんな関係もありかもね~。せっかくの高校生活なんだし」


「私たちは、防衛隊員には大人気なんだよ?」


 まあ、アイドルだよね。一部の人にとっては。

 歌って踊らないけど、戦う訳だし。


「僕らの存在って、秘密じゃないんですか? 一般人に知られると流石に問題だと思うんですけど?」


「そうだよね。まず、他国が黙っていないよね。でもさ、スライムを他国は養殖しない訳じゃん? 日本に押し付けているのも事実でしょ?」


 それもそうだ。世界中でスライムを養殖していれば、僕たちみたいな超能力者が、世界中で生まれていたはずだ。

 モンスターという邪魔な存在もいるので、それは起きてはいないけど。


「それで、牧先生からの提案」


 牧先生?


「才羽と仲良くして来いって」


 どうゆう意味ですか?


「……何したい?」


「帰ってください」



「ふ~ん。ゲーム機もないんだ」


 その後、家の中を物色される。本当に何しに来たのか。


「僕は、パソコンとタブレットだけで生きて来ました。他は必要なかったんですよ」


「エッチなモノは?」


「ありません」


「嘘だ~。日本の健全な高校生男子が、紙という媒体のモノを持たないなんてありえない。一緒に見て、気持ちを高ぶらせて……」


 焔さんが、自分の体を腕で纏ってクネらせる。

 日本の高校生男子に謝ってください。

 それと、その妄想は、どっから来たのですか?


「でも、そっか~。才羽は、家政婦さんがいるもんね~」


 怒ってもいいだろうか……。


「本当に何もないね……」


「……だから、つまらないと言った」


「本当に、何しに来たんですか!?」


 ここでスマホが鳴った。全員だ。


「ふ~、やれやれ。出勤しますか。つうか、この数日間は、多過ぎだよね」


「何かが起きている。誰かが引き寄せている可能性がある。新しい『覚醒者』を探した方がいいかも」


「あ、やば。今日はスパッツ履いて来てない。見えちゃう」


「いいじゃん。たまにはサービスしなよ。もっとスカート短くしたら?」


「期待し過ぎ。そんなに才羽が気に入ったの?」


 無視するに限るな。スマホを見る。


「C-2地区? 昨日と同じ……」


 ここで雰囲気が変わったのを感じた。


「ねぇ、まゆっち。昨日は、ちゃんと処理した?」


「……才羽が頭を潰して、その後蜂の巣。核の回収もした……。でも、偶然とも思えない」


 ここで、歪んだ空間が現れた。

 全員が、引き締まった表情で空間に足を踏み入れて行く。

 僕も続いた。





「昨日の大型版って感じですね」


 そこには、生れたばかりでまだ動けていないモンスターがいた。

 3人が、攻撃を始める。


「火、風、土の遠隔攻撃か……。一人でも戦車を吹き飛ばせそうな威力だな」


 風に揺れて、茜さんのパンツが見える……。視線は、そちらに向けないけどね。

 煙が晴れると、モンスターの苦しんでいる姿が見えた。


「普通のモンスターじゃないね……。回復タイプだけど、更に変だ」


 〈再生〉しているのか? 増えている質量とかどうなっているんだろうか?


「「「「才羽!」」」」


 僕の出番らしい。

 左手の魔力を解放して行く。銀色の〈崩壊〉の魔力だ。

 動けないモンスターを、僕は左手で触れて、塵に変えて行く。


「再生を妨害できない? 脳でも心臓でもない。四肢からも再生するんだな……」


 右手に変えるか?

 そう思ったら、4人が前に出て来た。端から削って行く。


「ふ~ん。それが、〈崩壊〉になるのかな。便利なんだね」


「大規模殲滅には向かないけど、一対一なら使えるかな」


「これ、やばい奴じゃん。サンプルは必要ないから、急いで息の根止めろ」


「……帰りたい。さっさと倒してよ」


 ここで、牧先生が来た。


「お~。速い速い。上出来だ~」


 サンプルを残すかどうか聞いたけど、必要ないと言われたので、全部消滅させることにした。確かに、一対一なら僕の攻撃は有効かもしれない。

 4人が拘束している間に、首を攻撃して、頭を落とす。

 核は、心臓の部分にあった。当てが外れたので、多少時間がかかったな。

 核を抜き取ると、〈再生〉が止まった。


「とりあえず、これで終わりですかね?」


「一応、車で待機で。それと茜、パンツ見えているぞ?」


 茜さんが、スカートを抑える。

 街中に監視カメラがあるんだよな……。


「今更じゃないですか? まゆっちと牧先生は、服を切り刻まれて、裸で戦ったんだし」


「……服装を気にしていたら、死んでた。それに、映像は全部消してある」


「ふ~ん。そんなことを言うんだ。じゃあ今回は、画像データを残そうかな~」


 デジタルタトゥになっちゃうじゃん?

 でも、そんな過去もあったんだな。彼女たちは、人気なんだろうな。

 顔もアイドル級に可愛いし、運動しているからスタイルも文句ない。需要は……、ありそうだ。



 車に移動する。一応待機なんだそうだ。


「それで、牧先生! 今日彼女らが、僕の家に来た理由は何ですか?」


「その感じだと、何もなかったみたいだね~。家政婦さんはどうだった?」


「……急いで、看護学校に行ってしまいましたよ」


「それじゃ、今晩話し合ってね」


 怜奈さんを説得するために、彼女達を呼んだのか?

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