第22話 防衛戦に参加しました

 広場に着いた。

 まゆずみさんが、独りでいる……。


「これを着てくれ」


 上着を渡される。ゴーグル付きのヘルメットも受け取った。

 スライム防衛隊の制服だな。でも、色違いだ。黒い。

 上着を着て、黛さんに近づく。


「こんばんわ。黛さんが拘束しているのですか?」

「……才羽、遅い。それじゃ、倒して」


 モンスターを見る。何かに縛られていて動けないでいた。

 モンスターの形は、熊だな。長高は、3メートルってとこだ。


 僕は……、近づいた。


「右手か、左手か……」


 僕は、右手をかざした。


『心臓の血流を止めるイメージ……』


 僕は、モンスターの心臓の鼓動を停止させた。〈固定〉の応用だ。

 一分程度で、モンスターが動かなくなる。そして、黛さんが拘束を解いた。

 モンスターは、痙攣している。僕の魔力供給を止めない限り、もう動けないだろう。そして、後数分で脳死すると思う。

 だけど、スライム防衛隊の人が、頭を撃ち抜いた……。


「うん、使える。そんじゃ、おつかれ」


 それだけ言って、黛さんが帰って行った。消えた――かな?

 僕も、車に案内される。


「おつかれさん。話には聞いていたが、初戦で倒せるとはね。予想以上の大物っぽいね」


 珈琲コーヒーを受け取ったら、突然言われた。

 その後話を聞くと、牛のモンスターを退治した映像も見せられた。看護学校の入学式の日に、僕が横槍を入れたモンスターだ。見られていたんだな。

 この街では、監視カメラに死角はないんだとか。録画されていたんだな……。

 看護学校の入学式の話はしない。入学式を中止にしたくなくて、モンスターを倒したとは言えないからだ。


 でも、不思議に思ってしまう。


「あのモンスターは、スライム防衛隊では勝てなかったのですか?」


「う~ん。物理法則が、異なっていてね。瞬時回復するタイプだったよ。その場合は、『覚醒者』に頼っている。それと君が来る前は、『魔法少女部隊』って名前だったんだけどね。名称変更しないといけなくなったね」


 あの四人は、魔法少女だったんだ。

 なんだろう……。この凄い悪いことをした感じは。


 車が走り出した。

 今回の顛末を聞く。


「発生から、5分でスライム防衛隊が到着。7分で黛さん。10分で僕ですか……」


「黛沙夜さよさんは、空間支配系の能力者なので、倒す力がないんだよ。後衛や補助系ではトップクラスなんだけどね。如何せん、攻撃力がない。そこで、一番近い君に招集がかかったんだ」


 空間支配系?

 教室の外が、雪原に繋がっていたのは、黛さんの仕業かな?


「他の三人は?」


「主に攻撃を担当して貰っている。防衛隊が、盾役になって、倒して貰っている感じかな。黛さんには、パートナーがいないといけない場合が多い。まあ、一番長く魔法少女を行っているのが彼女なんだけどね。あ~、『魔法少女部隊』の仇名も、彼女が前線に出て来てから付いた仇名だね。相棒だった人は、今は教師をしている」


 他の三人は、主に攻撃……ね。

 それぞれ、個性があるんだろうな。焔さんは、火魔法だったし。後二人も、そのうち教えてくれるんだろうか。牧先生は……、分からないけど。


「この街の『覚醒者』は、五人ですか? 僕を含めると六人?」


「ああ……。特殊なモンスターに対応できるのは、六人だね。魔法と呼べるほどの奇跡を発現できる人は本当に少ない。他の現役は、100メートルを8秒で走れるとかだ。それ以外となると死亡したか、再起不能だ。再起不能者は……、スライム防衛隊で後方支援を担当して貰っている。前線には出せないね」


 彼女たちは、精鋭なんだな。

 それと、僕が健常な状態でいられるとは思えなくなって来た。攻撃的な性格の男性は、引退して行ったことが伺える。

 もう一つ分かったのは、回復役がいそうにない。手足欠損の回復が行えるのであれば、この状況にはならない……。スライムは、そこまで便利ではないんだな。魔法とも思ったけど、ずっと現実寄りだった。


 話していると、家の前に着いた。


「ありがとうございました」


「礼を言うのは、こちらだ。ご協力感謝する。そしてこれからも頼む」


 握手をして別れた。

 そっと玄関から入ると、怜奈さんがいた。起こしてしまったか。

 外出していたのが、バレていた。


「何処に行っていたのですか? それに、今の車……」


 さて、なんて言い訳しようかな。いや……。





「これ、手品ではないんですか?」


 空中に浮いたコップに触れて、怜奈さんが不思議そうな顔をしている。

 結局のところ、僕は正直に話すことにした。

 隠していても、何時かはバレる。

 能力スキルを教えたことは、明日担任の牧先生に話せばいいだろう。


「超能力と思ってください。それと……、色違いのスライムを見つけた場合は、触れないで避けてくださいね。どんな影響があるか、不明なんですよ」


 また、庭にスライムが来る可能性がある。

 僕は不用心にも触れてしまった。そして、力を手に入れた。

 それと、スライムが魅かれた相手……。怜奈さんの可能性がある。怜奈さんが、覚醒した場合、魔法美女?

 スライム防衛隊員が、喜びそうだな……。絶対に防がなければならない。今は、僕の家政婦さんなんだし。


「スライム防衛隊って、こんなこともしていたんですね。第六感の開発?」


 怜奈さんは、分っていないな……。どう考えても、人間の域を超えていると思うんだけど。


「他人には、話さないでくださいね。大事おおごとになりますので。最悪、拘束されます」


「そうですね……。話さないでおきます。でも、相馬さんが変わったのってスライムが原因だったんですね。若返るだけではなかったのですね」


 ……ズル。他人からしたら卑怯になるよな。

 狙って手に入れた幸運ではないのだけど。

 でも、力を手に入れたんだ。そして、求められてもいる。


 病院で、後数年間死神に怯えるより、世界に貢献したい。そんな僕の思いが、ポイズンを引き寄せたのかもしれない。推測だけならいくらでもできるな。


 スライムは、寿命を延ばさない。僕の残りの時間は……、少ないと思っている。


 それに大怪我を負っても、今までの人生を考えれば後悔もないな。

 死にたくはないけど。


「僕は、これからもスライム防衛隊に協力したいと思います」





 ヒロインには、秘密にした方が良かったですかね?

 この後の展開で、迷ってしまって、ボツにしました。


 核のあるモンスターが、近代兵器の効かないモンスターになります。

 普通のスライムを食べたモンスターは、スライム防衛隊が駆除しています。

 他校の生徒は、レベルが低くいので、討伐にはあまり貢献していません。


 そんな設定でした。そして、主人公にも核がある……。

 魔法は、組み合わせジョイントタイプでした。


 ここで、一次中断します。

 再開は未定です。出すとしたらカクヨムコンですかね……。

 (元々ボツネタだったので、赦してくださいm(-_-)m)


 『1週間耐久!真夏の創作祭』は、当たるのでしょうか?

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