第20話 高校入学3
外に出る。本当に雪だった。上履きで、ザクザクと音を立てて歩く。
実は、雪を踏むのは初めてだった。僕は、雪の降る地域に住んだことはない。県境の山を越えれば、豪雪地帯だとも聞いたことがあるけどね。
「そんで、才羽だっけ? お前だけ二文字なのも気に入らねぇ」
そんなんで、言いがかりつけないでください。生まれは、選べないんですよ。
「いいじゃん、三口で呼べるんだし。
「……殺されたい?」
なんだろう、この殺伐としながら、和やかな雰囲気は……。
ここで、焔さんが掌から、炎を生み出した。
「この火は、着火すると消えないぜ?」
中二病!!
すっごい痛いよ、焔さん! それ、女子の使う言葉じゃないよ。
その炎が襲って来た。
「ぐっ!」
右手と左手に、魔力を纏わせる。
両手で炎を防ぐ……。僕の魔力は、焔さんの炎を弾く性能を示してくれた。
「へえ……」
「「「……」」」
「そこまで! もういいだろう?」
焔さんが、「ふん」っと鼻を鳴らす。あれだけで、合格だったようだ。
教室に戻り、自分の席に着く。
「まあまあの自己紹介だったね。そんじゃ、後は自習で」
「は~い」
「は……い」
「ふん」
「……帰って寝る」
えっ? えっ?
どうなってんの? 僕の高校生活は?
◇
「え~と、勉強はしないの?」
先ほどから、気軽に声をかけてくれるのは、
「私たちは、金属スライムを食べたから、頭いいんだ。潜在能力の覚醒かな? 一般的な勉強は、大学卒業まで済んでるの。進学と単位は、国が保証してくれているんだ。まあ、生き残れればだけどね。その後は、一応自由にもなれる」
「金属……、メタル?」
メタルを摂取すると、頭が良くなるんだ? 知られているみたいだな。変異種のスライムは、メタルが主流なのかもしれない。
病気を食べるポイズンが、普通に多数生息していたら、普通のスライムと同じくらい重宝されるだろうに。もしかして、ポイズンは知られていない?
「あはは。痛い人だな~、才羽君! 著作権の問題で訴えられるぞ?」
「ゲームの知識に染まり過ぎ」
話し相手は、女子なので、ちょっとズレている気がする。
「え~と。楓さんと茜さん? 詳細を教えて欲しんですけど……」
「これからさ、特訓を受けて、スライム防衛隊に入隊するの。世間には、秘密裏にね」
「秘密にする理由は?」
「超能力だと思ったんでしょ? 君のその力が、世界中に知られると、大混乱になるんだよ。極一部の人のみが、発現するからね」
「世界的には、知られていない?」
「うん? 知られていないんじゃない? スライムを飼育しているのは、日本だけなんだし。
不思議に思ってしまう。
「世界的なニュースになっても、いいような気がするんだけど……」
「超能力者の量産? 日本人が全員殺されちゃうって。AIがそんな未来を予測したんだってさ」
そんなモノなのかな?
「それよりもさ、どんなスライムを食べたの?」
「何処で見つけたのかが、重要」
「え~と。庭で、紫色と銀色を……。あと、半透明を昨日捕まえたかな」
二人が笑い出す。
「随分と好かれているんだね」
「三匹は、聞いたことがない」
その後、話を聞く。
スライムの突然発生は、適性のある人が、特定の場所に近づくと発生する現象なのだとか。
そして、色により
それと……、二十二歳まで国に協力する義務が発生すると言われた。
協力しない場合は、監視がつくらしい。
「二十二歳以降は……、スライム防衛隊に入隊なの?」
「そこまでの強制はないかな。
超能力と呼べる
ほとんどいないんだろうな。それは、理解できる。普通の人より、優位に立てるのだから。
その後、牧先生が戻って来て、新しいスマホを貰った。
緊急呼び出し用なんだとか。
「才羽! 忘れてたよ。これから、これを肌身離さず持っていてくれ」
牧先生は、それだけ言って教室から出て行った。
なにこれ?
「捨てるとペナルティがあるからね? 壊したら……、新しいのが貰えるけど」
僕は……、何時自由になれるんだろうか。
それと怜奈さんには、言わないほうが良いらしい。
「隠し事をしながら、生活になるのかな……」
家政婦と一緒に生活していると言うと、『同棲』と勘違いされてしまった。
恋愛ネタには、食いつく年齢なんだろうな。
◇
人物紹介
・楓……人当たりの良い人。
・茜……ちょっと、口の悪い人。
・焔……男子っぽい口調の人。
・黛……寝ている人。
・牧……担任の人。25歳くらいを設定。
設定として、他の学校にも特別クラスあり。年二回くらい、学校対抗戦開催とか面白いかも? 地域代表になったら、全国大会かな~。
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