第14話 生体モニタリング装置
家に帰って来た。
怜奈さんも自室に戻って、着替えだ。
「それよりも……」
僕は、生体モニタリング装置を見た。
パソコンに繋いで、今日のデータを確認する。
「血圧も心拍数も正常値内なのか……」
全力疾走したけど、心拍数はそれほど上がっていない。
時間的に、入学式の前……。少し噂された時の方が、悪い。
「魔力を使えば、身体的に強化できる? 人間を超える動きは出来なかったけど、魔力次第では、可能かもしれない?」
僕が、モンスターになった可能性……。
背中が冷える。
「それと、腕に巻いていたのだけど、ベルトが切れかかっているよ」
生体モニタリング装置が、壊れかけている。
筋肉も大分育っているらしい。丸太とは言わないけど、腕が大分太くなった気がする。
細マッチョって言うのかな?
「……。もう必要ないよな。いや、邪魔だな」
そう言えば、腕立て伏せなんかのトレーニングをしても通知は来なかった。
試してみるか。
僕は着替えてから、腕立て伏せを始めた。
ちょっと、余計に力を入れてみる。そうすると、ベルトが切れた。
廊下が騒がしくなる。
ドアを開けて、怜奈さんが入って来た。
「相馬さん!? ぎゃあ~!?」
「あ、すいません」
汗をかく予定だったので、上半身裸で運動し始めたのが、良くなかったな。一人暮らしじゃないんだ。
Tシャツを着る。
それと、生体モニタリング装置を怜奈さんに渡す。
「ベルトが切れてしまいました。予備ってないですよね?」
真っ赤な顔した、怜奈さんが無言で受け取ってくれた。そのまま、部屋を出て行く。少しすると、針と糸で応急処置を施されたベルトが、戻って来た。
「今日はそれで我慢してください。明日、病院に行きましょう」
「お願いします」
こうなると、生体モニタリング装置の異常ではなかったか。
僕の体の方が、異常なのかもしれない……。
◇
夕食を済ませて、自室に戻る。僕の入学式は、明後日だ。
準備は整っている。
することがないので、メタルスライムを見た。
使い終わったプラスチックをあげてみる。水槽の底まで届けてあげると食べ出した。
「お前は、本当に動かないよな……。喰う時だけだ」
「きゅぅ~」
返事をしてくれるようになったか。
餌を与え続けたかいがあったかもしれない。
金魚にも餌をあげる。パクパクと嬉しそうに食べているな。
「金魚がモンスター化しないのは、不思議なんだよな~」
まだ、詳細は分からない。
メタルスライムは……、本当にスライムなんだろうか。
◇
次の日に、病院に行き医者と面談を行う。
「生体モニタリングを外したい?」
「はい、僕も高校に通うことになりますので。家政婦さんの許可がないと外出できなくなる状態ですし、これからは何時も傍にいてくれる訳じゃなくなりました。まだ必要なら、GPS機能だけでもOFFにして貰えないでしょうか」
医者は考えてくれる。
その後に、診察を受けたけど、ずっと考えているな。
怜奈さんは、後ろを向いて、僕の肌を見ないようにしている。
「ふむ……。いいだろう。病気が完治したとは思っていないが、ここまで健康的な肉体を見るとね。私も不要だと思うよ」
医者が僕の筋肉をポンポンする。
看護師は、顔を真っ赤にして凝視してるんだけど。中学生の上半身裸を見て、面白いのかな?
「ちょっと待ってください」
怜奈さんが、反論する。やっとこっちを向いてくれたか。
「万が一を検出するんですよ? 何度も危険を知らせてくれたのに」
「高校に通うほど健康になった人に、つける装置ではないんですよ。でもどうしてですかね、全ての数値が正常値だ。成長期とはいえ、短期間でこんなに変われるなんてね」
少し言い合いになったけど、怜奈さんが折れた。
過保護過ぎるよね。
さて、これで夜中に出かけてもバレないぞ。
◇
夕飯を頂き、深夜まで待った。
「明日は、僕の入学式だ。短時間だけ試してみよう」
僕は、一人で家を後にした。
近くの広場に向かう。公園だな。シェルターの入り口もある。
感覚を研ぎ澄ませる。
「きゅぅ~」
いた、スライムだ。
色は……、普通だ。
「どうして、ここにいるんだ? もしかして、僕が引き寄せているのか?」
「きゅぅ~」
意思疎通は……、できないか。
スライムをそっと抱きかかえる。
ここで、音を拾った。鳴き声?
「がるぅ~」
そちらを見る。
「小型のモンスターか……。変異途中だけど危ないよな」
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