第8話 庭にまたスライムが……。色違いですか?
数日が過ぎた。
今日は、怜奈さんは出かけていない。日課のウォーキングは、朝に終わらせてしまったので、怜奈さんに自由時間を楽しんで貰う。24時間僕と一緒では、疲れてしまうだろうし、出かけて貰った。
僕は、テラスで日光浴だ。
生体モニタリング装置があるので、怜奈さんには僕の状況が筒抜けだ。それと、GPS機能もあるらしい。
敷地外に出ると、すぐにバレる。出る理由もないし、出る気もない。
僕に怜奈さんを困らせる気はない。
まあ、心配や迷惑はかけたくない。
全部、自分の為なんだ。
スポーツドリンクを飲む。
「たまには、炭酸飲料水でも飲んでみたいな……。昔ゲップして、胃の内容物を全部出したことがあったけど」
この数日で、体が急激に育った気がする。
食事量なんて、三倍くらいになっているし。
そんなことを考えている時だった。
音を拾った。
「きゅぅ~」
慌てて立ち上がる。
声に魅かれて、庭の植木の根元に移動する。
「また来たのか? しかも、銀色? 今度はメタルスライム?」
また、勝手に命名する。
研究所は、なにしているんだろう? いや、もしかすると海から来たのか?
本当に、気体に変化して逃げ出している?
スライムの敷地外発生は、各研究所で問題になっているけど、原因究明ができていなかった。だから、こんな市街地を作って、モンスターが出ても、モンスターが移動できない土地に研究所を作った経緯がある。
だけど、色違いのスライムは聞いたことがない。伏せられている可能性もあるし。
僕は、そっとスライムを抱き上げた。
「今回は死なせないようにしないとね」
◇
前回、ポイズンスライムの時に、ネットで水槽セットを購入していたけど、放置していた。
それが届いていたんだけど、組み立てていなかった。
怜奈さんは、僕がネットで何を買っても、何も言わない。アダルトグッツは……、購入したことないけど。年齢的に買えないしね。
「これでいいかな?」
ガラスの水槽なので少し重い。まあ、小型の水槽なんだけどね。
部屋に飾って、エアーポンプを稼働させた。
「カルキ抜きって必要なのかな?」
まあ、元々深海で生きていたんだし、大丈夫かな? カルキは微生物対策の筈だ。
コップに水道水を入れて、スライムにかけてあげる。
――シュワ~
「喜んでいる。大丈夫そうだ」
僕は、銀色のスライムを水槽に入れてあげた。
◇
怜奈さんが帰って来たので、相談だ。
「えっ? メダカか金魚が欲しいのですか?」
「はい、インテリアに向くかなと思って」
怜奈さんが、考え出す。
「ホームセンターに行ってみますか。売っているかもしれません」
「では、僕が調べます。時間のある時にお願いします」
「折角ですし、これから行きましょうよ」
タブレットを取り出して、即座に検索を行う。
ネット検索で、近くのホームセンターで販売されていることが確認できた。
その後、ホームセンターへ行き、金魚を三匹購入する。話を聞くと、追加で、餌とろ過装置、カルキ抜き剤が必要なんだと教えて貰った。
それもそうだな、餌すら考えていなかったよ。
飼育方法を一通り教わって、必要なモノを購入する。
『カムフラージュになってくれるよな』
ここで、意外な事を言われた。
「相馬さん……。背が伸びていませんか? ズボンが……」
言われて気がつく。
怜奈さんと同じくらいの視線になっている?
体中をペタペタと触ってみる。
確かにそうかもしれない。上着も小さくて肩幅がキツイ。靴も指先を曲げている状態だ。
ポイズンスライムに会ってから……、十日くらいかな。
体の変調が大きいことが分かった。
◇
家に帰って来た。
水槽に、カルキ抜き剤を入れて数分待つ。その後、金魚を放った。
ろ過装置の取り付けも終わった。
「思いの外、大きい水槽になっちゃったな」
水槽そのものは小さいけど、装置が大きい。
水槽セットだと、アクリルが多いので、スライムの飼育には向いていない。
なので、個別に購入する必要があった。
金魚が、水底の銀色のスライムにツンツンしている。
ここで思った。
「金魚が、モンスター化したらどうしよう?」
◇
世界設定です。ネッシーみたいな、『海の恐竜』が生息する世界になるんじゃないかと言われそうだったので。海に恐竜はいない世界です。
人族……若返る(寿命は延びない)。
陸上動物……モンスター化。
水生生物……変化なし。
植物……?
昆虫……?
後は、なんだろう?
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