二
屋敷で食事や入浴を済ませると、私は客室に彼女を案内した。
彼女は、やっぱり楽しそうに声を弾ませて話す。
「まあ、貴方のお家もご立派ですのね」
そう言い、くるくると部屋を見渡している。
少し幼なげな顔立ちだが、その横顔はとても美しい。
上質なソファに座る彼女は、やはりとても絵になる。
いっそ、絵画の世界に閉じ込めてしまいたい程に美しかった。
私は彼女の前に、温かい紅茶を差し出す。
「これを飲むといい。風呂に入った後だ、体が冷えてしまうよ」
そう言うと、今度は嬉しそうに微笑みを浮かべる。
「まあ、嬉しいわ!どうもありがとう」
彼女はティーカップに小さな手を添えて、
上品な所作で紅茶を小さな口に運んでいる。
「その紅茶には安眠効果があるんだ、私もよく飲んでいてね」
そう言い、私も彼女の向かいのソファに座り、
温かい紅茶を口に運んだ。
湯上がりの、蒸気して桃色に色づく肌、
長く、綺麗に手入れされた黒髪は、
少し濡れて更に艶めかしく見える。
嗚呼、このまま、眠りについて、そのまま...
閉じ込めてしまえたなら、
いっそころしてしまえたなら。
そんな欲望を振り切って、
私は楽しそうに話す彼女を見つめていた。
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