第2話
「なるほどねえ」
クルミとマリアの顔を何度も往復して眺めるリン。
どうしたものかと固まったままの二人は何とも新鮮である。
「まさかせんせーにそういう趣味があったなんてねえ」
「……」
「あはは、嘘嘘。どうせせんせーの事だから色々事情があるんでしょ?」
「話せば長くなるけど……うん、まあ色々とね」
クルミとマリアの方も目の前の少女は誰かとこちらに紹介を促している。
「この子は高木リン。私に名前をくれた一人で、苗字もこの子に貰ったんだ」
「!」
クルミがひらめいたように頭に電球を浮かばせる。
「ということは、リンはクルミのママということでしょうか?」
「ママ……?」
「ソラは私の保護者で、同姓ということは配偶者ということですよね?」
「ん?」
「初めまして!会えてうれしいですママ!」
答えを聞く事なくリンに抱き着くクルミ、引き剥がそうとするもリンの顔は満更でもなさそうである。
「ママ……へへ……、ママかぁ……」
「ちょっと待つんだ。クルミのママはわたっ」
・ ・ ・ ・ ・ ・
話が混沌を極めそうだったため、なんとか話題を逸らし本題に移る。
「どうしたの?」
「あ、うん。ニュースでも出てるけどカデナ岬が海開きしたんだよ~」
「さっき携帯で見たよ。最速の海開きだって」
「そうそう。急ぎの用事とかなかったらエンジョイ部で海でも行こうかなって」
リビングの棚に置かれた折り鶴に目を向け、にやりと笑うリン。
「せんせーだってエンジョイ部だし、誘うのは当然かなって」
その言葉に、ソラも自然と笑顔になる。
「そっか」
コトネに許可を取れば、そのくらいの時間は作れるだろう。
クルミとマリアにどうするかを尋ねようと振り向くと。
「思い立ったが吉日。クルミ、海へ行きます!」
「となれば、クルミの保護者として行かない訳にはいくまい」
サングラスをかけたマリアと、浮き輪と水中メガネを身に着けたクルミ。
答えは聞くまでもないだろう。
「それじゃあ、コトネに一報入れてから行こうか」
星屑のレディアント《Bonus Episode》 シラヌイ3 @vivivi06
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。星屑のレディアント《Bonus Episode》の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます