第10話 会合
ガラガラガラッ!
え、来た。
ガラガラガラ、ドン!
「こんにちわ……」
「……うん。」
なぜ来た。
「あの、今日、学校休んでたよね。」
「そうね。」
「それで、なんでかな〜、みたいな……」
うーん、間違えたかもしれない。
昨日、あんなに強気で、『質問してやる』って思ったのに、実物を前にすると、うまくいかない。
しかも、なんかいつもより不機嫌な気もするし。
「別に……」
「そうだよね!俺には関係ないよね!ごめんごめん、野暮なこと聞いて。」
「……別に、ただの病欠よ。」
あ、話してくれるんだ。っていうか、病欠なんだ。まあ、そりゃそうか。
「ああ、そうなんだ。来たってことは、もう良くなったってことだよね。よかったよかった。」
「………、」
高橋は、いつものように原稿用紙をとり出し、小説を書き出す。
(小説のことも聞きたいけど、今のでちょっと怖くなっちゃったよ!)
「その……、」
「え?」
「嘘。」
嘘?
「私、本当は母親の病気の面倒見てたの。家で一人だから、私以外ついてあげる人がいなくて。」
「へ、へぇ〜。」
「うん……。」
母親の看病か。
娘に学校を休めせてまで仕事に行く父親はどうなんだ。
と思うが、高橋の学校での様子を知らないように、家庭環境も知らない。
もしかしたら、特殊な家庭環境かもしれない。転校してきた理由も知らないのだ。これ以上詮索するのはよそう。
(それよりも……、)
なぜ、一度嘘をついたのか。
高橋の話を思い出す。人は皆、無意識に嘘をついていると。
でも、今の嘘は、意識的に俺を騙すためについた嘘だ。
なぜ、そのことがこんなにも気になってしまうのか。
(高橋が、嘘をつくと思ってなかったから?)
……本当に、何をこんな真剣に考えているのか。
やめやめ、って言うか、俺は今日、コイツに質問する気で学校に来たんだよ!ちょっとビビっちゃったけど!
「それ、小説って言ったよね。」
「え、うん。」
「それってさ、なんで書いてるの?」
「なんでって……」
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