第5話 三位一体

「はぁー、知らんかったわ〜。高橋さんって、そんな面白い子だったんだ。」

「面白いっていうか、こええよ。」

「ははっ、それは言えてるかもなぁ。」


翼と昼食中。


「ていうか、俺との会話、聞かれてたってことやんなぁ、それ。」

「あぁ、うん。そう言うことになるなぁ。」

「だったら今も、どこかから聞いてるかも!」

「怖いこと言うなよ〜」

「ねぇ。」


高橋、到着。


「あれ、高橋さん?どうしたの?」

「私も、一緒に昼飯食べていい?」

「え?いいけど。珍しい、というか初めてだよね。どうして?」

「どうしてって、別にどうでもいいでしょ。」

「……そうだね。俺が気にすることでもないか。」


なぜ。なぜコイツがこの教室にいて、当たり前のように、俺らと一緒に飯を食い出したのだろう。


「……光くん。なんで何も喋らないの。」

「えぇ?」


何を喋れと言うんだ。昨日といい、急にどうしたんだコイツは。て言うか、翼がニヤニヤしながらこっちをみてくる。キモい。


「高橋さん、少食なんだ。」


高橋は、2枚のサンドウィッチ、ジュースしか持っていない。


「ああ、これ。私、胃下垂で、あまり多く食べれないの。」

「へぇ〜。」


終わり。会話終了。

これが、コミュニケーション能力最底辺同士の会話。


「ていうか、光。まだ敬語なんだ。」

「え、ああ。なんか癖で。」

「ふ〜ん。」


翼が、高橋をちらりと見る。


「高橋さんは、どう思う?」

「何が。」

「光に、タメ語で話してほしいって思う?」

「別に、どっちでもいい。」


もっとマシな回答はできんのか、コイツは。


「でも、会話する時、敬語だと少し煩わしいかも。」


俺がいつお前と会話するんだよ。


「へぇ〜。やって、光くん。」

「あぁ、そうなんだぁ。」


もっとマシな回答できんのか、俺。


「光くん。」

「え、はい。」

「今日、部活くるの?」

「はい?」

「今日、部活、来る?」

「あ、行きます。行かしてもらいます。」

「……そう。」


本当に……なんなんだ、全く。ほんで翼はニヤニヤすんな。うざい。

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