(20220527)
水平線に立っている──
波ひとつない海のうえ
雲ひとつない空のそこ
凪ぎに静止した、青に満たされた世界
水面は大空の果てなさを映し、
蒼穹は深海の底知れなさが透き徹る
無限の鏡面――
無垢な水底に、澱があった
水に溶け、飽和し、無数のモナドに分解されたプランクトン
流離し、浮遊し、漂流し
沈殿していく、深水の青へと
──ひとつの循環系が生み出す、原初の生命のスープ
空の果てには、なにがあるんだろう
宇宙、と答えた ――その先は?
未だ知ることなき青
幼き星々を隔つ、藍色の孤独
太陽系には太陽系の霧が立ち込め、銀河には銀河の雫が流れゆく――
私たちはそこから来た
彼らもそこから降ってきた
雨のように 涙のように
彗星のように 恋人のように
嵐の体面で人知れず海に降り注ぎ
眠りとともに揺籃のゆりかごとなり
いずれ海溝の底、脈々とした火山から
新たな命が生まれる
その命は、やがて形を為して、空を目指すのだろう
基層の美しい暗がりから
這い出るように水面に顔を出し
気圏の境界を踏みしめて
宇宙の雨を浴びに行くのだ
青い宇宙の外へ――
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます