星を追う
かつて、星に手を伸ばしていた。
憧れだけがすべてだった。
胸に秘められた貴い願いは、夜に幻影となって指先を導いた。
祈りとは、願いのことだ。
憧れとは、星のことだ。
憧れは願いで、願いは祈りであり、星だった。
星は朝が来れば姿を消す。
陽光は鮮烈で、だからこそ、幻影のようなまほろばの夢をかき消す。
そして現実だけが手元に残る。
かつて星だったはずの、
無残な石ころだけがその手に残る。
生きるとは星を追う巡礼なのだ、と誰かが言った。
星には願いを。
願いには祈りを。
祈りには憧れを。
そして憧れには、ありったけの想いを。
送る花輪を結ぶその指先に、どうか幸あれ。
巡礼者は廻る。
星を目指し、星に手を伸ばし、星を追い続けている。
指先が届くとは思わない。
それでも、祈りには貴さがあると、願いには未来が待っているのだと。
そう、信じている。
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