第4話

 「私は、絶対飲まないわよ!!アンタが出した水なんて、気持ち悪すぎる」


あげるとすら言ってないけど、


 「・・・春は飲む?」


「いいの??」


「飲まないと死んじゃうだろ」


「うん、ありがとう・・・優くん」


春は水を飲む。


「・・・」




 

夏さんは俺を見る度に嫌そうな顔をする。


けど、

「やっぱり、夏さんも飲まない?」


「嫌よ!!と言うかむしろなんで春は飲めるのよ!!」


「・・・私は」


「春だって、言ってたじゃない!!そのインキャのこと、いつもダサい格好で、居るだけで不愉快だって」


「・・・っ」

春の顔が暗くなる。どうやら本当のようだ。


「夏・・・とりあえず、水は飲んだほうがいいよ」


「フンっ」


「でも、夏も見たでしょ、王国軍に降伏して捕まったら、またあーやって監禁させられて」


「うるさい!!うるさいよ!」


「夏・・・」


春は心配そうな顔を夏に向ける。そういえば付き合った最初の頃はよくそんな顔をしてたなぁ。


「ねぇ、優くん」


「何?」


「本当にね、助けてくれてありがとう」


「いいって、もう」


「うんうん、それでも、あと優くんは知らないと思うけど、」


「何?」


「あそこに連れて行かれる前に、女の人の死体を沢山見つけたの」


「・・・それって」


「多分、そうだと思う」


春と、夏の体が震えて居る。

俺も、もしあの時、選択が遅れていたらと思うと凄く怖くなってくる。


なら、尚更二人を掴まえされる訳には行かない。例えそれがずっと俺を馬鹿にして騙してた、クソ彼女だとしても、流石にあんな嫌なことをされて、死んで欲しくまではない。






  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る