第3話 サバイバル 生存確率=50%
**まえがき**
今回は叙述トリックです。最初からほぼ全文ヒントだよ (*´Д`*)
『俺』とは?
*****
フリーダムな俺には、これと言った決まった家はないんだけど、俺は気分で夕べから、この若いおねーさんの部屋で過ごしてる。たまにここに来るんだけど、この部屋の散らかり具合が気に入ってんの。
ズボラなんだよ、コイツ。そこが俺には心地良くていいトコなんだって。
その女は美人で巨乳かって?
あ、俺はそういうの気にしないし、どうでもいいし。
自由に生きてっから、そういう誰かに操られた価値観とか、流行には意味を感じてないんで。
俺が良ければそれでいい。
第一、俺には人間の美醜を測る基準の感覚なんて持ち合わせてないし。あ、見る目はそれなりにたくさん持ってるけど。
はぁ‥‥もう朝かよ。今日は風が強いな。網戸の立て付け悪くてがガタガタいってる。
その隙間、俺なんかが言うのはナンだけど、早く直した方がいいかもな? 虫入るし。
☆
何か食いもんねーのかなー‥‥腹減ったー‥‥
女は部屋ん中、がっさがっさ片付け始めた。どうやら、これから彼氏が来るらしいぜ? 俺は早いとこ隠れた方がいいかもね。
まさか男が俺を見て逃げ出す‥‥なーんてことはまず無いだろうけど、今までの経験値で言えば、俺のこと見逃してくれる物分りのいいヤツもいれば、俺を一目見ただけで問答無用で殺ろうとしてくる乱暴なヤツもいる。
うわっ、すごい地鳴りのような轟音が響き出した!
うわーっ、なになにッ! 急に爆音がして、すごい風がっ!! 今日は外は強風だったよな。竜巻かっ!!
助けてくれーーーッ!! 息が出来ないッ!!!
**
気づけば俺は一人、真っ暗な世界にふっ飛ばされていた。
‥‥‥えっと、ここどこよ? 俺の帰り道はどっち?
あたふたあたふた‥‥‥
あえ? どういうこと? 暗闇に目が慣れた俺の目の前、うようよご馳走が並んでるッ!
今のうちに腹ごしらえしといたほうがいいだろう。
これ、全部俺が食ってもいいですかね? わーい、ラッキー♡
**
腹一杯食ったのはいいけどさ、俺そろそろ家に帰りたいんだけど。
悪いけど、ここは俺の趣味じゃない。
こんなダンジョン、初めて来た。よく見りゃ気味が悪いとこだよな。ほぼ360°が、人間の髪の毛とわたわたで作られた立体迷路のような空間なんてホラーだよ。
早く脱出したい。帰り道はどっちに行けば‥‥?
辺りを探って見たら、帰れそうな道を見つけた。さっきのとこと違ってこの道は無機質な感触で、暗いトンネル道はうねうねしてるものの、一本道っぽい。ここを辿って行けば元の場所に帰れると見た!
俺の運動能力と平衡感覚は抜群だ。なんなら、10メール上からダイブする必殺技だって持ってんぜ?
予測通り、このトンネルには分かれ道も無いようで、俺はぴょこぴょこと楽しくスキップしながら出口を求めて進む。暫く進むと向こうに、明るい四角が見えた。きっとあれが出口だ!!
やったねー!
俺は光の空間に向かってジャンプッ! 我ながら着地も10点満点だな!
***
『‥‥ん? ギャーーーー!!』
女が叫んだ。
俺が元の部屋にやっと戻り、フローリングの床に鮮やかに着地を決めたその刹那のことだった。
『いつの間に私の部屋にッッ!! キッショッ!! この野郎、氏ねッ!!』
油断したッ!
瞬間、彼女は俺を──────
***
ピンポーン‥‥
「お邪魔しまーす。 わー、きれいに片付いたオシャレなお部屋ですね♡」
「いらっしゃ〜い! アヤ、ユウくんのことすっごく待ってたよ〜♡ 大体いつもこんな感じだよ? 私、きれい好きだからぁ〜、毎日手で掃除機かけてるの。でもね、さっき、急にクモが床に出現して、すっごく怖かったんだよぉ? もう、いなくなったけど〜」
───フーッ、あっぶねーとこだったぜ‥‥‥
この女にスリッパの裏で踏まれる直前、咄嗟に彼女のスカートの裾の裏にジャンプして身を隠した。
『きれい好き』だって? よく言うわ。この女。
いつもは散らかしっぱなしのくせに。俺がいつも蚊とかダニ食ってやってっから、お前は刺されてないんだぜ? コイツ、クモの恩も忘れやがって俺を殺ろうとするとは!
俺がこれまで見たり聞いたりして来た感触では、人に見つかったら、圧殺率40%、毒殺率10%、屋外
あ、俺は『ハエトリグモ』、アダンソンハエトリグモのオスだ。お尻に白い横線が一本あるんで、覚えとけ。チャーミングだろ? 俺を怖がんなよ?
ちなみにハエトリグモは『益虫』なんで、そこんとこ、ヨ・ロ・シ・ク!
《オシマイッ》
*****
おまえが文中の☆までに見抜いてたら俺の負けだ _φ(゜Д゜ )
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