2章 4話
3000年前───────
無事、アイテムボックスに荷物を突っ込み...
「じゃあ、そろそろ行きますか」
「えぇ」
解錠スキルを使い、結界を解除する
念の為周りを見てみるが
魔物の気配もないし、大丈夫そうだな
「さ、進もうかー」
この調子で行けば、あと一週間もあれば到着できそうだな
でも、流石にずっと歩き続けるのは中々キツいし、どっかに村でもあればいいけど...
「....。」
隣で歩くアメリアをふと見てみると、
どこか遠くを見ているみたいだった
正に、心ここにあらずというか...
「どうかしたのか?」
「え?」
アメリアが視線をこちらに戻す
「いや、さっきから遠くを見てるみたいだったからさ...」
「ちょっとね...久しぶりにここら辺を歩いてたから、昔のことを思い出してたの」
「そっか..」
「そういえば、アマネがいた東にある国はどんなところだったの?」
昔のこと....か
こっちの世界での日々が色濃すぎて
あっちの事なんか、忘れかけてた
「そうだな...
正直、もう二度と行きたくない」
少し誤魔化して伝えようとしていた意志を置き去りに、思わず本音が出てしまう
「そんなに酷い環境だったの?」
環境...
まぁ、そうだな
「俺は周りにいた人達に恵まれなかったからな」
あ、あれ?
涙が出て、顔がグシャグシャになってしまう
何で...
「は、はっ...」
思わず呼吸が苦しくなる
──────────────
俺が元いた世界
俺はそこで孤独だった
学校に行けば...
「いい加減にしろよ、お前!!
どれだけ俺らの機嫌損ねれば気が済む?」
「..ご、ごめ」
「謝って済むと思うな!!!」
「がはっ!?」
「おいおい、喧嘩か?
これは、大学の合格取り消しかもなぁ」
担任の先生にも、ヤンキーにも目をつけられた
こんなことされて、マトモな人間になれるわけがない
俺は、おかしいんだ
みんなに蔑まれるのも、俺が悪い────
結局、今いるこの世界でも
どうせ俺は孤独なんだ───────
その時..
「大丈夫だよ」
優しい、それでいて暖かい手に
グッと引き寄せられ、抱きしめられる
「今までどんな事をあなたが経験してきたか
今の私にはわからないけど、今は私がいる」
「だから、大丈夫」
「アメリア....」
今までの事は消えはしない
絶対に...
永遠に俺の心に残り続ける
でも、俺は
この世界では、独りじゃ...ないんだ
「アメリア、ありがと──────」
そして、落ち着いたからか
全身の力が抜け、そのまま意識を手放した
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