1章 7話
3000年前───────
足音をなるべくたてないように、部屋の扉をそっと開け廊下を進んでいく
バレたら怪我が治ってるって言ったところで
部屋に投げられるからな(イメージ)
(実際には投げないはず....? 多分...)
「ここか...?」
部屋がどこか聞いてないけど
確かこの部屋は最近まで誰も止まってなかった記憶があるし、多分大丈夫だろ
「お邪魔しま────」
「誰ですか」
開けようとした瞬間、中から声が聞こえる
この宿で1度も聞いたことない声だし、やっぱりここか...
「俺は川口天音
君をダンジョンで助けたんだ」
「っ!?」
部屋の中から驚いた声が聞こえる
「あの、話がしたいんだけど
入っていいかな...?」
「どうぞ」
それじゃあ、気を取り直して
「お邪魔します」
部屋の隅に置かれているベッドに彼女は寝ていた
やっぱり、あの子だ
ダンジョンで見た長くて綺麗な青い髪
それに、目の色も綺麗な青
やっぱり、思わず見惚れてしまう...
「本当にあなたが私を?」
「...あぁ、俺がダンジョンで君を見つけた」
「まさか、あのダンジョンに1人で?」
「そうだけど...」
「よく私を運んで逃げられましたね
罠が1度でも起動すると、ものすごい数の魔物が現れるというのに」
「あ、そうそう
あのダンジョンと君のことについて話が聞きたかったから来たんだけど」
彼女は少し悩んだような顔をして、
少しの間辺りが静まり返る
そして、少し経ち
彼女は沈黙を破るように口を開く
「アマネさんでしたか?」
「え? あ、うん 俺は天音だけど...」
「今回は助けていただいてありがとうございます。お礼になるかは分かりませんが、そうですね。 あのダンジョンと私のことについておはなしします」
そして、次の瞬間
人が変わったようにオーラを放ち、彼女は話し始めた
「私の名前はアメリア 1部、というかこの世界のほとんどで氷の女王と呼ばれているわ」
「氷の女王?」
知らない単語だな...
「氷の女王を知らないの?」
「実は最近遠い東の国から来た身で...」
「そう...まぁいいわ
この世界には魔法があって、その中でも
属性があるのはわかるわよね」
「あ、うん」
それはわかる この世界に来たばっかとは言っても、今まで魔法に助けられてきた
「その属性を極めたものを、神がその属性の王へと任命するの そして、氷属性の王に私が選ばれたってわけ」
でも、今考えてみれば俺が使える属性に
氷はなかったよな...
「氷属性の...ってことは他の属性にも王がいるのか?」
「えぇ、いるわ」
一瞬だけ、俺が他の属性について言った時
アメリアが悲しい顔をしたように、俺には見えた
「もしかして、他の属性の王がお前のダンジョンに閉じ込められてたことに関係してるのか?」
深読みであって欲しいが...
「よくわかったわね
私は王の中でも魔法に才があったようで
よく他の王に嫌がらせをされていたわ」
そんな....
結局、どこの世界でもそういう事があるのか...
「それが今回酷くて、未開のダンジョンへと放り込まれたの」
だから、罠もあるし魔物もいたのか...
「本当に助けてくれてありがとう、アマネ」
「いいんだ、この世界で誰かの役に立てた
それだけで、俺も嬉しいんだよ
誰かに必要とされたことがさ」
「そうだ、もしよかったら俺と一緒に旅をしないか?」
「アマネと?」
「あぁ」
正直なところ、少し話しただけでわかった
アメリアは本当に優しい子なんだ
だから、俺はアメリアをあんな目に合わせた連中を許したくない
もちろん、魔王も
この世界を救いたいと思った
この世界が俺の居場所だから
物音が下から響いてくる
誰か上がってきてる!?
「すぐに決める必要は無いから
俺はアメリアが決めるのをいつまでも待つ」
「わかったわ 考えさせて」
「あぁ、それじゃ」
最後にそれだけ、アメリアに声をかけ
急いで自分の部屋に戻ったのだった
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