第21話 陰キャ、再び人を助ける
『暗殺者さんってお嬢と付き合っているんですか?』
『お嬢とはどんな関係なんですか?』
『あの時、助けたのは偶然?』
下層に近づくにつれて、そういった僕と彼女の関係性を探るようなコメントが増えてきた。
コメント欄には反応しなくても良いと言われているが、これは逆に無言を貫くと変な誤解を与えてしまうだろう。
一言二言。それだけできっぱりと断れるようなワードが欲しい!
「彼女とはビジネスパートナー的な関係だ」
と簡単に答える。こんな感じでいいかな? と首を傾げていると次の瞬間、コメント欄が凄い勢いで流れていく。
『キエアアアアアシャベッタアアアアアア!!!!』
『よくよく聞いたら超イケボでええやん!!』
『じゃ、じゃあ! 他に質問!!』
僕が喋ったことがそんなにも意外だったのか、盛り上がりを見せるコメント欄。
あと少しで下層といったところ。気配感知能力が何かを察知する。これは大きな魔物の気配と、何かの音?
「何か……聞こえる?」
『何も聞こえていないけど……』
『彼には何か感じるかもしれない。俺たちには分からないような何かが』
『走り出すぞ!』
大まかな位置は割り出せた。僕は朝突進と壁走りを駆使してダンジョンを駆ける。
『壁走ってるんだけどww』
『暗殺者ならできてもおかしくない』
『いやいやねーよ……ないよな?』
僕はコメント欄に流れていくコメントを視界の隅で見ながら、気配がした方へ。
気配がしたところは中層と下層の境界。そこにいたのは地を這う背中から火を吹いているトカゲ……サラマンダーと刀を持った探索者……?
いや、まず標的にすべきはサラマンダー。この角度いけるか……暗殺者の一撃!
「
落下しながらの暗殺者の一撃。彼女が用意してくれた装備品のおかげで熱波は防げ、暗殺者の剣がサラマンダーの首を貫く。
『ギ……キアアアアア!!!?!?』
暗殺者の一撃によって致命打を受けたサラマンダーは数秒と経たずに絶命した。
やば……咄嗟のことで暗殺しちゃったけど、よくよく考えたらこれって横取り行為なんじゃ……。
なんて考えてるとだ。僕の背後でばたりと倒れる音がする。僕は急いで後ろを振り返って、その冒険者の元へ。
「大丈夫ですか?」
「い、いえ……特に何もないのです。ただ、戦いの疲労が溜まってしまって……」
苦しそうに呼吸する音が聞こえてくるが、それにしても可愛らしい声の持ち主だ。同年代にしては高めの声。背格好もあまり高くないことから、もしかして年下だったり……?
「助かったのです。サラマンダーに苦戦していて、逃げることもままならない時に、君が来てくれなかったらと思うと……」
少女はそう言いながら顔を上げる。少女は黒髪ショートが特徴的な少し童顔の女性だ。
でも、ダンジョンに入れるのは高校生以上。かなり幼く見えるけど、これでも同年代なんだよな……。大きな衣笠で顔を覆い隠しているが。
『手癖で女性を助ける暗殺者』
『またこの暗殺者、助けを求める探索者の気配を察知して……』
『次はサムライガール……だと!?』
サムライガール、そう! 少女の見た目はサムライガールそのものだ!
大きな衣笠に下は袴、上は黒いぴっちりスーツなのは置いておいて……腰には太刀、背中には弓と矢筒。かなり重装備の侍だ。
侍というスキルツリーもダンジョンにはある。僕の暗殺者や、欲しがっていた狩人同様上位のスキルツリーだ。
「君も配信をしているのですか?」
「まあ、頼み事でな」
「そうなのですか! 実は私も配信したいのですよ今!」
今!?!?
ということはえ!? もしかしてこのパターン、先日も経験したような……いやいや嘘でしょそんなまさか……。
『これってあれじゃね? 切り抜きで流行ってる暗殺者!』
『うおおお! あの暗殺者が配信やってるとか激アツ!!』
『これってコラボ配信ってこと……!?』
うわーお、向こうのダンカメのコメント欄も盛り上がってるよ。人を助けたら実はその様子が配信されてました率高くないか僕。今のところ百発百中なんだけど。
「そ、それじゃいくのでこれで……」
「待って……ほしいのです! せっかく助けてくださったんだから、お礼の一つや二つさせてください!!」
ああうん。予想はできていたけどやっぱりそういう流れになるよね。うん。というか力強えなこの子、スキルの影響か? 僕の五倍くらい力あるんじゃねえかな。
「分かりました。分かりました。ですが、僕は鉱石探索に来ただけ。特に手伝うようなことは……」
「では私を同行させてください! 先ほどは遅れをとりそうになりましたが、私はトレジャーハンターのスキルツリーを解放しているのです! 探し物には困らないかと!」
トレジャーハンター……!?
これは特殊スキルツリーの一種。探索の中でも宝物や素材系の探索に特化したスキルツリーだ。噂によれば、トレジャーハンターのスキルでしか見つけられないような鉱脈とかがあるとかないとか……。
確かにそう聞けばかなり有用なスキルだろう。……よしっ!
「じゃあお願いしてもいいかな。え、えーと名前は」
「私のことはツバキとお呼びください! よろしくお願いしますね、暗殺者さん!」
こうして僕は即席のパーティーで下層での探索を開始するのであった。
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