陰キャデブの僕、ダンジョンで修行して最強暗殺者になる~ダンジョン配信中のS級美少女を助けて、うっかりバズってしまう。え? 僕専門のまとめサイトができた……そんなまさか~
第4話 いじめっ子、闇バイトで破滅の道を歩き出す
第4話 いじめっ子、闇バイトで破滅の道を歩き出す
「センパイ! 言われた通り、ちゃんとやりましたよ!! これで出してくれるんでしょうね……?」
『ああ、よくやった。少し物足りないが、こういうのだよこういうの。せっかくのダンジョンなんだ人の生き死にが見てえよな』
ケイが深層でバイコーンを倒した頃。
上層では配信を切ったアキラがセンパイという人物に電話をかけていた。
『お前たちはよくやってくれてるよ。ところで、お前たちにとびっきりのいい仕事を頼みたいんだ。一回二十万。物を運ぶだけの簡単な仕事だ』
「に、二十万!? いいんですか!! そんなに貰っても!! なんでもやります!!」
アキラみたいな中層に足を踏み入れたばかりの探索者にとって、二十万は普通の高校生の金銭感覚と同じく大金だ。
特に夏休みを直前に控えたアキラたちにとってはそれほどの大金、何がなんでも欲しいだろう。
『よしよし。じゃあ、指定するロッカーに入ってる物を、お前たちがいるダンジョンのある区域に置いてきてくれ。期限は明日までだ。明日の指定した時間にそこの様子を配信してくれたら、二十万ちゃんとやるよ』
「そ、それだけでいいんすか! やりますやります! ぜひお願いします!!」
『そうか、それは良かったよ。ロッカーの場所と番号はお前のスマホに送った。じゃあよろしく頼むなアキラくん』
そう言ってセンパイとの通話は切れる。アキラは興奮した様子で取り巻きたちの方に振り向く。
「おいお前ら! センパイから追加の仕事だ! 荷物を運ぶだけで二十万! 当然やるよな!?」
「二十万なんてうますぎ! さすがアキラくん!!」
「アキラくんのおかげで夏休みは毎日騒げるな!! 当然やりまっせ!!」
「よし! じゃあ俺についてこい! それにしても二十万……今回の陰キャ落とすだけで五十万……毎日クラブに行ってもお釣りが来るぜへへへへ」
アキラたちは下卑た笑みを浮かべながら指定されたロッカーへと向かう。
指定されたロッカーはダンジョンを出て、その最寄駅にあった。
近年、ダンジョンの出現が多くなったことで公共交通機関はより発展を遂げ、大型の駅は増えている傾向にある。
アキラやケイ、同じ高校に通う生徒、同じダンジョンに向かう探索者がよく使う新都会駅。ここは探索者向けの武器防具、道具など様々な専門店や個人店を内包した超大型の駅だ。
本来なら多くの人で賑わう新都会駅。アキラたちが向かったのはその中でもあまり人通りが少ない区画。
そこにひっそりとロッカーは存在していた。アキラはセンパイから送られてきたパスワードを入力して、ロッカーを開く。
「これは……袋?」
ロッカーの中に入っていたのは三つの袋だった。持ち上げてみるとずっしりとした重さを感じられる。
「見つかんないようにカバンの中に隠しとけ。これをダンジョンの……」
アキラはスマホを確認する。ダンジョンの上層と中層の境界。そこのあるポイントに置いてこいという指示だった。
アキラたちは袋を隠して再びダンジョンへ。
上層には魔物は大して多くなく、エリアが広いだけ。道さえ知っていればすぐに中層との境界に辿りつける。
「階層主はいないみたいだな……流石センパイ」
階層と階層の境界には階層主という大型魔物が存在している。だが階層主は一度倒されると数日、長くて一週間は現れない。
アキラたちは境界にある大橋の端と端に袋を置く。指定されたところは死角になるようなところで、戦闘中はもちろん、普通に通り抜けるくらいなら気が付かないだろう。
「これだけで本当に二十万円なんですか? アキラくん」
「いつもの荷物運びよりもチョロすぎませんか?」
「でもセンパイが言うんだからこれでいいんだよ。さっさと離れるぞ」
アキラたちはすぐに離れていき、ある程度離れたところでセンパイへ電話をかける。
「センパイ! アキラです! 言われた通りやってきました!」
『よくやった。明日言われた通りの設定で配信すれば仕事は終わりだ。お前らは豪遊するための金が手に入る。期待してるぞ、アキラくん』
「はい……はい! ありがとうございます! ではまた明日!!」
そういってアキラは電話を切る。
「よし、これで明日あそこに行って配信すれば金が手に入る! こんだけで大金が手に入るんだ。バイトとかバカらしくてやってらんねえよな!」
「俺は最近バイトバックれましたぜ! それも一時間で!!」
「こっちは面接ブッチよブッチ! ダンジョンと配信があってほんとよかったぜ! あ、そうだアキラくん、次いじめるやつ誰にします?」
「あ〜〜そうだな、探さないといけないな。あのデブの代わりをさ! ギャハハハ!!」
アキラたちは笑い声を上げてダンジョンから去っていく。
アキラたちは知らない。自分たちがやっていることが今、ダンジョンで若者の間で行われているいわゆる闇バイトであることを。
そして明日、自分たちが置いた袋のせいでとんでもないことが起きてしまうことを。
その結果、ある暗殺者が名を馳せることを。
この時はまだ誰も知らない。
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