Aルート

A 女と行く。


 俺は女の手に飛び込む。命あっての自由だ。俺はこのままペットとして残りの猫生を生きることにした。家に帰った女は、慣れた手つきで俺の毛並みを整え、さらには美味しいエサをくれた。ふかふかとしたベッド、楽しいおもちゃ……。去勢したことだけは忘れることにした。

 多少可愛がり方が鬱陶しいと思うこともあるが、俺はあれから何年もこの家に居る。もう人間だった頃の記憶は薄れかけていた。大切なのはどこで生きるかではなく、生きてこそ。……と、まぁ偉そうに言ってはいるが俺はただの猫なのだ。難しいことは考えなくてもいい。今日も主人を見送り、陽だまりの中で寝るとしよう。

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