第43話 新たなる刺客
5月17日 朝 シャングリラレストラン
コウジは、前日に乗務でやってきたマリサと一緒に食事をとっていた。
コウジ:今日はどこ行こうか。マリサは何食べたい?
マリサ:そうね。明日の夜は早めに寝たいので、今日はどこでもいいわよ。
コウジ:そうか。1ヶ月前みたいに、みんなで飲みに出かけるとかは今回なさそうだね。
マリサ:先月のフライトは特別よ(笑) 普段はこんな感じで現地では一人行動だったりするわよ。それにあのフライトは男性陣ばかりだったでしょ?
コウジ:たしかに、男ばっかりしかいなかった(笑)
乗務メンバーは常に変わる為、同僚などが同じフライトで乗務していないと、多くの場合 現地では一人で行動し、またフライトで乗務をしてドーハに戻るというのが普通の流れだ。
コウジとマリサは1ヶ月前の思い出話をしながら食事を続けた。
するとマリサが思いついたように言った。
マリサ:そういえばコウジ、日本人のクルーがたしかいたわよ。
コウジ:え? そうだったの?
マリサ:・・・たぶん
コウジは少しレストランを見渡した。日本人なら、雰囲気でわかるかもしれないと思ったからだ。
コウジ:いやー、カタール航空のクルーらしい人いないな〜
そう言って座ろうとした時だった。
コウジとマリサの右隣に一人で食事をしている女性がいた。
コウジはマリサに目をやった。
コウジは、その女性に気づかれないように人差し指を隠すようにしてマリサに尋ねた。
(・・・あの人?)
マリサは首をかしげながら、たぶん? とアイコンタクトをした。
するとマリサは立ち上がり、日本人女性に英語で話しかけた。
マリサの言った通り、彼女もカタール航空のクルーだった。
すぐさま、マリサがコウジを紹介してくれ、コウジは挨拶をした。
その日本人クルーの方(アヤコ)は、ヤンゴンにきたのは2回目であったが、特にシュエダゴンパゴダに行く以外に予定もなかった。
コウジ:よかったら、僕らと食事にいきませんか?
アヤコ:え、いっていいんですか? いきます! あ、他のメンバーも誘っていいですか?
コウジ:はい、いいですよ!
コウジは1ヶ月前を思い出すかのように、その日の夕食を楽しみに仕事に向かった。
アヤコが数名呼ぶということで、コウジも駐在員の仲間らに声をかけてみた。
ツカサに加え、3名ほど外国人の友人らもきてくれることになった。
仕事を終え、コウジはマリサとホテルで合流し、アヤコらを迎えにシュエダゴンパゴダに向かった。
コウジは入り口付近でアヤコと会えた。
アヤコ:コウジさん、迎えに来てくださってありがとうございます。紹介します。こちらフィリピン人の同僚です!
コウジはフィリピン人女性と挨拶を交わした。
アヤコ:こちら、台湾人の方です。
コウジは少し、意識をしてしまったが、フィリピン人女性と同様に挨拶を交わした。
コウジ:はじめまして、コウジです。
台湾人(ティナ):はじめまして、ティナです。 でも、あなたのことは知っているわよ〜
この瞬間、嫌な予感しかしなかった。
コウジ:え? どういうこと・・・まさか?
ティナ:そう、そのまさかよ。 あなたエリー知ってるでしょ? 私はエリーと同期だからあなたのことはよく知ってるわよ(笑)
コウジは、この後の夕食がどんな状況になるのか大体予想ができた。
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