第37話 チューリッヒ

2016年 4月 ハマド国際空港


「では、コウジさん 楽しい正月休みを!」


ヤンゴンからドーハまでフライトで一緒だった駐在員家族と別れ、コウジはチューリッヒ行きのフライトへ向かっていった。


ミャンマーの4月は30℃を超えるが、スイスは10℃を下回る気温だった。

長袖を持っていなかったコウジは、空港内にあったパリサンジェルマンのショップで、上から羽織れるジャージを購入した。


コウジはこれからチューリッヒに1泊の予定で向かうのだった。


チューリッヒはコウジにとって初めての街だが、わずか1日だけでも来ようと決めた理由は、主に仕事に関するものだった。

ここの支店では一人で業務を行っている。

コウジもドーハでは一人で仕事をする想定であった為、一人オフィスでの仕事の捌き方などを体得したい為、1泊というスケジュールではあったが向かうことにしたのだった。


チューリッヒへ向かうカタール航空の機内はガラガラだった。

乗務員も忙しさとは無縁の機内であり乗務員の笑顔にも余裕があった。


乗務員:チューリッヒへはお仕事ですか?

コウジ:仕事と観光の半々だね!

乗務員:そうですか。お忙しいのですね。どれぐらいの間滞在されるんですか?

コウジ:1泊だけ! 翌日の昼過ぎの便でチューリッヒを経ちますよ!

乗務員:ええ、そうなんですね! 私たちも1泊ですので帰りにまたお会いしすね。

コウジ:そうですね。また帰りの機内でもお世話になります。


コウジが会話した乗務員は台湾人だった。

コウジは少し当時の記憶がよぎったが、「過去は過去」と思い出をそっと胸にしまった。


- チューリッヒ到着 -

チューリヒ・クローテン国際空港に到着したのは翌午前7時前であった。

空港内はそれほど人は多くなく、空港の外に出ると少し肌寒いぐらいの気候であった。

コウジは空港前のトラムから降り、足早に空港内に向かう人の姿を眺めていた。


コウジはトラムに乗り、先に宿泊先に向かった。

荷物を預け、コウジはまたトラムに乗って中心地に向かった。

支店訪問は夕方だった為、コウジはわずかな時間の中、チューリッヒの街を散策したのであった。

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