第17話 厨二の会話

エリーをホテルに送り届けたあと、

コウジがトレーダーホテルのバーに入ると、同世代の駐在員らが集まっていた。


「おお、今日のヒーローの登場だ!」


みんなサッカーをする仲間で、コウジがエリーに惚れているのも知っていた。


駐在員A(以下タケル):コウジ、どうだった? ゴール決めたか?

駐在員B(以下マサル):昨日、今日のスコアはどうだった? 圧勝じゃなかったか?

コウジ:いや、ちょっと時間をくれって言われたよ。

駐在員C(以下リョータ):はぁ? まじかよー・・・(舌打ちをして)俺たちも楽しみにしてたのに。。。

マサル:なんならここにくると思って正装して待っていたのに(笑)


コウジは、サッカースコアに比喩して言った。


コウジ:前半(昨日)に2−0だったけど、後半(今日)に追いつかれた。2−2で試合終了だよ。


頭を抱えてソファーに寄りかかっていたマサルは はっ となって飛び起きるようにして言った。

マサル:ん?つまり、第二戦はあるってことよね?・・・コウジ?

コウジ:そう、僕が12月にドーハに行くんだ。そこでエリーともう一度話す。

リョータ:おぉ! これは面白くなって来たねぇ。 ホーム&アウェー形式か!

マサル:でも既にアウェーゴールとられているから、コウジはドーハで勝たなきゃだめさ(笑)

リョータ:それなぁ

タケル:でもさぁ、なんで時間くれってなったの?


コウジ:まだ会って3回目だからってことかな。あと遠距離ってところも言われた。


一瞬みんな考え込んだが、すぐに会話は再開した。


マサル:いや、距離とかそんなの関係ないっしょ! コウジお前はこの二日間がんばったぞ!!

リョータ:そうだ、切り替えてドーハで奇跡を起こすんだ!

タケル:これからドーハまでの時間は、コウジは頭の中がエリーでいっぱいかもな、サッカーの試合呼ぶのやめようか(笑)


頭の回転が速いヤンゴン屈指のお調子者トリオは、コウジに対してエールを送りながら、早口で話を続けた。


マサル:でもさぁ、次 ドーハってことは、あっちのホームにいくわけじゃん?コウジに分が悪くない?

タケル:まあ、ここで勝負決めたかったけど、こうなっちまったらしょうがないだろ。

リョータ:うーん、さすがに押し倒すとかは厳しいもんな

コウジ:いや、そりゃさすがに(笑)

マサル:あ、そうだ。コウジ、エリーとドーハでキスして来なよ。

コウジ:は? お前!!!

マサル:キスしたらさ、女性ってホルモンが分泌されて嫌いな人も好きになるって話。ほら映画とかでもあるじゃんか。

タケル:マサル、お前それどこ情報だ?

マサル:え、2チャンネルに書いてあった・・・

タケル、リョータ:お前、厨二みたいなこと言うなよ!!(笑)


コウジは、タケル、マサル、リョータの3人の早口のノリツッコミにクスクスと笑った。


翌日、オフィスにいくと仕事がどっさり溜まっていた。

コウジは、現実にもどった気がしたが、12月のドーハを楽しみに仕事に取り組み始めた。

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