だれかを宿す

だれかを宿す。ぬくもりが熱に変わる。時が永遠になる。すべてが小刻みに脈を打つ。感覚のすべてが感情になる。

かがやく世界に、うれし泣きすることもある。なのに、それが苦しいときもある。

私はふたりになる。希望と憂鬱ゆううつがとけあう。もう、片方だけを感じることはできない。

はじめて死の影を知る。同じだけ、命の意味を知る。雲からさす光がそう。季節の風がそう。朝のあいさつがそう。手渡しがそう。木陰がそう。車椅子がそう。麻酔がそう。冷房がそう。ガラスケースがそう。泣き顔がそう。笑い顔がそう。寝顔がそう。私がそう。あなたがそう。

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