一息に下降する沈黙の

薬袋やくたいがカサカサと鳴る 胞子ほうしをかぞえてでてゆく

合成された夢 全能感は濃い宝石の味がする

ゼラチン菓子 沈殿ちんでんする 四番目の時間

タイムカプセル 液体を個体に変える粉薬

デザートワインと夕食の呼気 窓の外、虫の声

実りあるまで祈り続ける 嵩増かさましされた浮遊感

壁かけ時計、目が回る クローゼットは変身の扉

白い錠剤じょうざい 卵の卵 砕けるまでの硬さはどこへ?

だれも来ない浮島の 琥珀こはくのなかの二酸化炭素

スカーフ色に 空気のかたちに 郭公かっこう――郭公――

小児科しょうにかの赤ちゃん メッキの小文字 アルトの大文字

  「ロフトを階段する。ロフトを階段する。」

弱々しく頼りない街灯も、凍えて震えるため息も、

かさなればすぐに銀河になる 夜に溶ける一瞬の銀河

私たちは奇跡だ だれかの祈りそのものだ

  「ロフトを階段する。ロフトを階段する。」

おぼれるあたま溺れる こぼれ続けるマキアート

私たちは、だれかのために生まれたわけじゃない

社会とか、価値とか、役に立つとか、そんなこと関係ない

だれかが祈って、奇跡が起こった その証 その光

私たちは、何年も何十年も続く奇跡そのものなんだよ

無人島の砂浜にえがかれた「SOS」の文字を想像してみて

(殺される、殺される殺される。助けて、だれか助けて)

庇護ひごが芽吹き、治水ちすいであふれる レンガは崩れ、ホタルは光る

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