わくわくおやつ

 萌と駅で別れてから、エキナカの期間限定で出店しているスイーツ屋さんでいっとう目を引くスイーツに出会った。きらきらと輝く果物に、鼻腔をくすぐる甘い香り。私の大好きなフルーツタルトだ!

 種類もたくさん。今が旬の桃、甘酸っぱいブルーベリー、とろっとしたイチジク、たくさんあって選べないな……。しばらくじっとショーケースを眺めていると販売員のお姉さんが声をかけてくれた。

「どれにするか迷われているんですか?」

「そうなんです。どれもおいしそうで決められなくて……」

「ふふっ。ありがとうございます。本店は自由が丘にありますからいつでもいらっしゃってください。今日はせっかくですし旬の桃はいかがですか」

「自由が丘にあるお店なんですね。ぜひ訪れたいと思います。そうですね、じゃあ桃をいただこうかな」

「はい、ありがとうございます。保冷材はお付けしますか?」

「お願いします。おすすめしてくださってありがとうございました!」

「いえいえ、こちらこそご購入いただきありがとうございました。タルトとともに素敵な時間をお過ごしください」

 お姉さんの柔らかな笑顔に嬉しい気持ちになりながらその場を後にする。これは大きな楽しみができたなと思い足取り軽くお家へと帰った。

 お家に帰り手を洗って早速タルトとご対面。宝石のように輝く桃と香ばしいタルト生地。朝に淹れて余っていた紅茶にミルクを入れてミルクティーにする。お皿にタルトを移したらタルトにフォークを入れる。力を入れて一口分切り分けたら口に運ぶ。

 甘い桃とアーモンド風味のクリーム、そしてさくさくのタルト生地。ああ、おいしい。至福の時間だ。ミルクティーとも相性抜群。

 一口食べるごとにタルトが減っていくことにほんのり悲しみを覚えつつ、それ以上の幸福に満たされて穏やかな時は過ぎていった。

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