にぎやか昼ごはん
ゆっくりと朝ごはんを味わって、食器を洗って一息ついたころに友人の萌から連絡が入っていることに気がついた。「今日、お昼食べに行かない?」萌からの誘いはいつも突然で。でも必ずおいしいお店に連れて行ってくれるから今回もわくわくしながら「いいよ!」と返信した。
せっかく萌と出かけるんだからお洒落をしたいな。最近買った可憐なラベンダーのワンピースを着よう。メイクはラベンダーピンクで色味を統一して、きらきらのラメものせちゃおう。靴はどうしようかな、髪留めはあれがいいかな……。どんな装いをしようか考えているこの時間からもう楽しいや。
用意を済ませて家を出る。今日もとっても暑くてアイスクリームのように溶けてしまいそう。私がアイスクリームだったら何味かな。いちごかな、チョコも捨てがたいな。でも色味が可愛いからいちごがいいなあ。萌は元気で爽やかなオレンジシャーベットが似合いそう。
電車に揺られてごとごと。無事に目的地に着いた。萌はすでについているみたい。……あ、見つけた。ショートカットのはつらつとした笑顔。
「萌、久しぶり!」
「悠香! 髪伸びたね~」
「萌は相変わらずショートカットが似合うね。ねえねえ、今日行くお店はどんなところ?」
「歩きながら話そうか。えっとね、今日はイタリアンだよ」
「イタリアンいいね! どうしてそのお店を選んだの?」
「前にそのお店の前を通りかかったらさ、大学生くらいの男の子三人がしきりにおいしかったって言いながらお店から出てきてさ。それはもう、行くしかなくないって思って」
「男の子が満足してたのなら量もありそうだし、確かに期待しちゃうかも」
「絶対美味しいって! 悠香はよく食べるし、いつもおいしそうに顔を綻ばせてるからさ。なんかごはん行くってなったら悠香が思い浮かぶんだよね」
「えへへ……。ありがとう。私も萌と出かけるの好きだよ」
久しぶりに会ったとは思えないほど会話はスムーズで和やかで。萌といるのは居心地がいいなあなんて思う。萌といるとなんでもない日常が鮮やかに色づいて見える。そんなところが好きだ。
「ここの角を曲がったところだったと思うんだけど……。あ、あった!」
白が基調の爽やかなお店だ。日がたくさん降り注いでいて温かで素敵な店内でこれはお料理も楽しみだなと思う。店員さんに案内されて萌と二人席に着く。早速メニューを眺めて頼むお料理を吟味する。
「今日の日替わりパスタは牛すじのボロネーゼだって!」
「わあ、それはおいしそうだなあ……。カルボナーラも気になる……」
「じゃあ私がボロネーゼ頼んで、悠香がカルボナーラ頼もうか。サラダとスープもセットになってるのいいね! ほかに気になるメニューある?」
「エビとマッシュルームのバターアヒージョが気になるな。アヒージョにバターってなかなか見ないかも」
「確かにおいしそう! じゃあそれも頼もっか」
店員さんにオーダーして、お料理が運ばれてくるのを待つ。その間も話は尽きなくてすごく楽しいひと時だった。先に運ばれてきたサラダとスープをいただきながらあれこれと話しているうちに、メインが到着した。
「お待たせしました、牛すじのボロネーゼとカルボナーラとアヒージョです」
「ありがとうございます。私がボロネーゼです」
「私はカルボナーラです」
「取り皿をお持ちしましょうか?」
「はい、よろしくお願いします」
店員さんが取り皿を持ってきてくれて、テーブルにすべてがそろった。
「じゃあ、いただきます」
「いただきます!」
それぞれのパスタを一口ずつわけあいっこしてから食べ始める。ボロネーゼはお肉やトマトなど素材の味が活きていて、カルボナーラは濃厚ながらくどくなく、どちらもとてもおいしい。
「アヒージョも食べよう!」
「有頭エビだ! 香ばしいね」
「マッシュルームも大きくて食べ応えがあるね。バターの香りも良くて食べる手が止まらないや」
おいしい食事に舌鼓を打ちながら、楽しい時間はあっという間に過ぎていった。誘ってくれてありがとうね、萌。萌のおかげで今日はとっても素敵な日。
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