第48話
ごちゃごちゃと考えた末、奏一には何も言わずに連絡を取れなくして家も変えることにした。会って問いただしたら、きっと詰ってしまうかもしれない。奏一の傍にいたら彼の人生の足枷になってしまうかもしれない。けれど会ってしまえば離れたくないという自身の欲が勝ってしまう可能性もあるから、会わずに奏一の中からフェードアウトしようと思った。
もしかしたら、奏一は納得しないかもしれないし、驚くだろう。ただ、今ユイトとの恋も一瞬の気の迷いである可能性だってなくはない。
いつかは終わりを迎えるかもしれないし、奏一が正しい道を歩んでいくとしたら、離れるなら早い方がいいだろう。ユイトの心の傷が浅くて済むだろうから…。
奏一の愛はわかっているし、疑ってなど微塵もない。ユイトだって奏一の事は片時も頭から離れないくらいだ。だからこそ、奏一には普通の幸せな人生を送ってほしいと思うのだ。せっかく、付き合いだしたばかりで酷だし、奏一を裏切る形になってしまうことはわかっている。それに、好きな人に去られた時の悲しさや焦燥感は良くわかっていた。突飛でやり過ぎな行動だと自覚はあるけれど、ユイトにはこれしか方法が思い浮かばなかったのだ。だから、携帯電話のアドレスも変えたし、電話は着信拒否にした。
ユイトは店を変えようかとも考えた。しかし、それなりに楽しくやっていて仲間と離れ難い気がした。
そしてなによりも、副主任に昇格する話をもらっていて、今後も戦力として続けてほしいとオーナーに頼まれたこともあり、辞めるわけにいかなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます