第6話


 ベッドに横たわる光輝は、意識が朦朧としてきたようだ。

そして彼はその場から逃げようとしたが、思うように体が動かない。

「うっ……くっ……」

 苦しそうな光輝を見て、柴田は内心ほくそ笑んだ。

「体が……動かない……何で……」

「何でって、ワインに薬を仕込んだからだよ」

「どうして……こんな……」

「どうしてって、それはお前が欲しいからだよ」

 獰猛(どうもう)な獣のような目で、柴田は光輝を見下ろした。

「嫌だっ!やめろ!」

 抗おうとする光輝の目には、涙が滲んでいる。

その表情に、複雑な気持ちが内包されていることを柴田は知らない。

「こんなの……こんな形なんて……」

 光輝は今にも泣きそうになっている。その顔を見て柴田は一瞬たじろいだが、すぐにまた獣に戻る。

「大丈夫だ。気持ち良くさせてやるからさ」

 そう言って、柴田は光輝の額にキスをした。

「なぁ、やっぱり俺我慢できないから、ちょっとしゃぶってくれよ」

 柴田はボトムを脱ぎ、下着も脱ぎ去った。

そしてベッドの横に立ち、彼の中心を光輝の口元に寄せる。

「俺の食ってくれ」

 まだ兆していないそれを、柴田は光輝の口にねじ込もうとした。

 光輝は抵抗していたが、隙をついて彼の口の中へと侵入する。      

 光輝の口は小さいため、柴田のものはなかなか奥へと進んでいかない。

「んっ……ふっ……」

 柴田の先端が入っただけでも、光輝は苦しそうだ。

 時間をかけて柴田の下半身を進めていくと、やっとのことで最奥へと到達した。

「ぅぐ……」

 光輝の目尻には涙が滲んでいる。

 彼に気持ち良くさせると言ったが、そんな気は失せそうだ。

「光輝、お前の口小さいな。凄い締め付けだ」

 光輝は、柴田を睨み上げながらも緩慢な動きで手を移動させ、柴田の根本に添えた。

「良い子だ。次はお前を気持ち良くさせてやるから、ちゃんとしてくれよ?」

 柴田は腰を動かし始め、徐々に早めていく。

 光輝は苦しそうにしながらも、必死に口淫を続ける。

柴田は、その姿にたまらなく欲望が湧き上がるのを感じた。

『コイツを、めちゃくちゃにしてやりたい』

 そう考えながら、柴田は光輝の口内を堪能した末に精を放った。

他の誰にされるよりも早く。

 柴田が放ったものを、光輝は飲み下した。そして、手のひらで口元を拭う。

「もう、いいだろ……抜いたんだから……帰してくれよ」

 息を整えながら光輝が言う。

「ダ〜メ。てか、お前動けないだろ?」

 柴田がニヤリと笑うと、光輝は何とか逃げようとする。

しかし、身体は言うことをきかないので、起き上がることすらままならない。

「無理するな。明日の朝まで身体は利かない」

 これではまるで強姦だと分かっている。けれど柴田は、恨めしげに見上げてくる男の身体が欲しくなったのだ。

俳優だからとかは関係ない。“光輝”だからだ。

「お楽しみはまだまだこれからだろ?俺に任せとけって」

 「な?」と言いながら、柴田は宥(なだ)めるように光輝の髪を撫でた。

 そして柴田は、光輝の下半身に手を伸ばして中心を布の上から弄る。

「りゅ、龍二さん……」

 光輝は力の入らない手で柴田の淫らな手を避けようとした。すると柴田は、十年振りに光輝から名前を呼ばれたことでゾクゾクした。

『何だ……この感覚……』

 自分でもよく分からない。光輝に久しぶりに呼ばれて、嬉しかったのか。

 そんな思考を振り払い、柴田は光輝のものを露わにした。彼に抵抗はさせない。

「あっ……やだ……」

 光輝は下半身を捩り、手で隠そうとした。

 恥じらっているのか、光輝は初々しい反応を見せるので柴田は意外に感じる。

「何だ。恥ずかしがるなよ。初めてじゃないだろ?」

 光輝だって二十五歳だし、色々と経験しているに違いない。

「これ、使ってきたのか?」

 まだ兆していない光輝の陰茎を撫でると、彼は「んっ……」と呻いた。

そして、顔をフィと背けて赤らめる。

「そんなこと……」

 この後には、どんな言葉が隠されているのだろうか。

気になったが、今は光輝を悦くすることが先決だ。

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