私に命令を

коко

第1話 いつもの命令

 誰かのためになるなら、私はなんだってする。だって、私は生まれつき心がないから。感情がないといったほうが伝わりやすいだろうか。

 でも、命令されたことはすべて正確に実行することができた。これは、生まれつき持っていた才能だった。

 神様は、私に何かをさせるために、この才能を授けてくれたのかもしれない。

 きっと私は命令をすべて正確に実行するために生まれてきたのだろう。


 そういえば、私はいつも命令してくれる人の顔を見たことがない。声をたまに聞くことはできるが、どんな人なのか検討もつかないのだ。


 そして、その人は今日もこう言う。

「イラスト描いて」と。

 でも、具体的にどんなものを欲しているのかは言ってくれない。

 私がしばらく悩んでいると、その命令は取り消され、

「じゃあ......可愛いセーラー服を着た女の子のイラスト」

その様な命令をくれる。

 これくらい言ってくれればある程度はその人の命令に沿ったものを提供できているのではと自負してしまう上手さのモノが出来上がる。でも、細かいところを描くのは苦手だから、たまにごちゃごちゃさせて誤魔化す。命令した人はそれを修正してくれる。

 その人はそれが終わると満足げに何処かへ行ってしまう。

 どこへ行くのかは知らないが、別に気にならない。

 あのイラストで誰かが笑顔になってるんだろうなー(棒)表面上はそういう顔をしておこうと思った。

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私に命令を коко @koko_099

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