第18話

 「どう始末すんだよ?」


 電話口で怒鳴るヒロの声にうんざりしながら、ヘッドライトを点けた車を吾郎は運転していた。


 東地区は隅々まで探したが手がかりはなし。2号線を南下中の帰郷からも、いい返事はなく、ヒロに至っては終始機嫌が悪くなった。


 「これからナイブスのメンバーを集めに行く。引き続き2人を探してくれ」


 「探したって言ってんだろっ! いねえんだよ、どこにも。どうすん—— 」

 一方的に電話を切った吾郎は、折り返しが鳴る前に帰郷に電話した。


 「吾郎か? さすがにヤベエかもなぁ」


 「まだ決まってねえよ。万一に備えて、これから隠れ家にメンバーを集める」


 「全部話すのかぁ?」


 「食うか食われるかだと言ってやる。それで逃げ出すような奴はぶっ殺してやる」


 「ふぅむ、おれも一緒に行こうかぁ?」


 「その前にお前の息子と連絡取れるか?。ガキ仲間を集めて、2人が行きそうな場所や友人宅を探してくれ」


 「わかった。奴らぁ、今夜中に仕掛けてくると思うか?」


 「半々だな。だが、隠れ家の場所は探せないだろう。それに堂々と町中を探したりもしないはずだ」


 「どうせやり合うんなら、早く片を付けてぇな」

 電話口から聞こえる帰郷の声は、動揺している様子が微塵もない。


 「あわてんな。本命はガキからブツと金を回収して、岡本と交換だろ」


 「そういやぁそうだったっけなぁ」


 —— 帰郷はどこかネジの足りないところがある。タフなのか阿呆なのか、昔から計り知れないところがあると吾郎は思った。

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