第5話 ひつじ飼いの子どもたち

 ひつじ飼いの子どもたちは、指を切られた痛みと、血を止めるために灼けた鉄の棒を当てたというおじいさんの話に、声がでなくなってしまいました。

 ようやく、クラウスが、

「それで、そのお金持ちはどうなったの。昔は、リンゴ一つ盗むと、指一本を切られちゃったの」

「今も昔も、そんなことはないさ」

「じゃあ、お金持ちは、罰せられたの。そうでなきゃ、おかしいよ」

「お金持ちが、罰せられることもなかったし、お金持ちが私に謝ることもなかった。リンゴを切っている時、たまたま手を伸ばした私が、悪いということになったようだ」

 おじいさんは、この話は、切り上げて、もっと次に続く話をしようと思いました。

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