第17話 森の奥


「うわーーーーーーーーー!!!」



 おれはついにさけんだ。



「え?なに?」



 ヤジマ君はおれの目線を追ってふりかえる。



「うわーーーーーーーーー!!!」



 ヤジマ君はつかんでいたおれのそでをふり回して、真っ黒おじさんの方にふり飛ばした。


 マジで死ねっ!このクソダサ野ろう!おれは心で念じた。


 おれは真っ黒おじさんにぶつかりそうになって体を丸めた。


 それが良かった。


 受け止めようとした真っ黒おじさんの足元に入って、真っ黒おじさんはバランスをくずして、おれの上を一回転して転んだ。



「くっは!」



 真っ黒おじさんは腰からドスン!って落ちて、いたそうだった。


 目が合った。


 真っ黒おじさんは、めちゃくちゃいかっていた。


 手をのばして、足をつかまえようとしてくる。


 おれはすぐにきょりをとって、にげ出した。


 ヤジマ君は反対方向ににげていて、もうかなり遠くまで行っていた。


 本当はあんなでもヤジマ君と同じ方向ににげた方がよかったかもしれない。だけど、真っ黒おじさんが間にいて、もうすぐ立ち上がりそうだったし、それは出来なかった。


「くそぉ!くそぉ!」とおれは自然と言っていた。


 ヤジマ君さえ現れなきゃにげれたのに!


 おれはまたどこだかわからない森の奥に入って行くしかなかった。

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