第7話 もう一人の大人は引いていた
けど、選んだ木がヤナギだから、せっかく足をおり曲げても、ヒザがついてしまっていて、首つりになっていなかった。
それでもけっこう苦しそうではあった。
その時、おれの目の前をもう一人の大人が通った。
おれはおどろいたが、いることはバレなかった。草むらでしゃがんでいたからだ。
もう一人の大人は、首をつっている大人のところにまっすぐ行くと、大人の体をいきなり後ろからだきしめた。
ああ、助けるんだな、と思った。
おれも協力した方がいいかなと思って、立ち上がりかけた。
でも、ちがった。
もう一人の大人は、首つり大人の体を上に持ち上げるんじゃなくて、下に引いていた。
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