第6話 首つり
なんでだかはわからないが、森のなかでスーツって変な感じがする。
少なくとも、見たことがなかった。
だから、おれは足を止めて、その場にしゃがんでとりあえず見ておくことにした。
ヤバい大人だったら困るし。
大人は、男で、おじさんで、背はそんなに高くなくて、ちょっとぽっちゃりしていて、めちゃくちゃサラリーマンぽかった。
大人はヤナギの木のまわりをウロウロしてずっと上を見上げていた。
やっぱりカブトムシやクワガタをとりに来てるんだと思った。
でも、変だなと思った。大人はかい中電灯を持っていなかった。
リュックサックをしょっていて、その中をあさり出した。
大人はリュックサックからロープを取り出した。
大人はカウボーイみたいにロープを枝に向かって投げ始めた。
何度も失敗して、ようやく枝に引っかかった。
ぐいっーと引っぱって、何かを確かめていた。
大人はリュックサックを地面において、クツをぬいだ。
むなポケットから何かを取り出して、リュックサックの上においた。
大人はわっかになっているロープに頭を入れた。つま先立ちになっている。
大人は足をおり曲げて、宙にうかんだ。
首つりだ。
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