幼馴染の姉ちゃんがキス一回の「課金」で俺に面倒事を押し付けてくるんだけど、なんだかだんだん重課金になっていく話
第1話幼馴染の姉ちゃんがキス一回の「課金」で俺に面倒事を押し付けてくるんだけど、なんだかだんだん重課金になっていく話
幼馴染の姉ちゃんがキス一回の「課金」で俺に面倒事を押し付けてくるんだけど、なんだかだんだん重課金になっていく話
佐々木鏡石@角川スニーカー文庫より発売中
第1話幼馴染の姉ちゃんがキス一回の「課金」で俺に面倒事を押し付けてくるんだけど、なんだかだんだん重課金になっていく話
「ジン君おはよ。今日燃えるゴミの日だよね?」
「おはよう。燃えるゴミはもう出して来たよ」
「そっか、ありがとね。お風呂は?」
「帰ってきてから俺が洗っとくわ」
「あ、あと言い忘れてた、今日お弁当お願いできる?」
「ふぁ?」
「ごっめーん、昨日連絡が来て、今日の課外なくなったの。普通に学校行くからお弁当お願いできる?」
はぁ、と盛大に溜息をついて、俺は噛んで含めるように説明した。
「楓夏さん、今何時だかわかるか?」
「六時半」
「いつも登校するために家を出る時間は?」
「七時半」
「それで俺はまだ顔も洗ってないしトイレにも行ってないしめざましテレビも観てない。これがどういう意味かわかる?」
「わかんない」
「今からお弁当なんて作る時間はない、ってことだろ」
俺は腰に手を当てて眼の前の少女を見つめた。
「全くもう、なんでソレ昨日のうちに言ってくれないんだよ。言ってくれたら弁当も作ったのに。千円やるから、登校途中にコンビニ寄ってくれ」
「えー、コンビニ弁当はイヤ」
眼の前の少女はぼんやりとした表情でふるふると首を振った。
「なんで?」
「だってアレでしょ? コンビニ弁当はハイカロリーじゃん。色々テンカブツとか入ってて身体に悪いって言うし。ジン君の作ってくれるお弁当じゃなきゃ食べたくない」
「どの口が添加物なんて口にするんだよ……。添加物どころか多少の傷みものでも問題なく食っちまえる鋼の胃袋してるくせに」
「アッ酷い! 人をなんかサイボーグみたいに! 私だってお腹痛くなることぐらいあるし! 朝からなんてこというの!」
「それが滅多に起きないなら同じことだろうが。そんなに添加物がイヤなら昼飯抜けよ」
俺が口を尖らせると、目の前の少女は滅茶苦茶怯えたような表情で俺を見た。
「……なんでそんな酷いことサラッと言えるの? 人にお昼ご飯抜けとか、死ねって言ってるのと同じでしょ? うわ、ジン君ってもしかしてサイコパス? 息子殺してもう一度葬式すればあの人に会えるとかそういうこと考えるタイプ?」
「そんな全力でドン引きしないでくれ……そんな酷いこと言ってないし。第一、一食抜いたぐらいで人は死なないの。特に楓夏さんみたいに、そんなエネルギーがあちこちに有り余ってる人間は特に……」
俺はそこでパジャマの裾から覗く肌色を見つめた。
うぇっ? とその視線に戸惑ったような少女に構わず、俺はとても酷い事を口にした。
「……プラス1.5センチ」
「ふぇ?」
「楓夏さん、また肥えただろ? ウエストがそれぐらい増えた、違うか?」
途端に、ヒイイイイイイ! という引きつった悲鳴が眼の前の少女の口から漏れた。
ガリガリと頭皮を掻きむしった少女は、俺を怪物を見るような目で見つめた。
「なっ、なんでわかるの!?」
「わかるだろ。誰がお前の体重管理してると思ってるんだ? アレだけ間食はダメだって言ってたのに……。体重の方は、えーと、ウエストが1.5センチだから、イトイをシゲサと計算して……」
「だっ、ダメダメ! 計算するな! 誰かに聞かれたらどうするの!?」
少女は指折りして体重を計算しようとする俺を踊りかかって阻止した。
俺は腰に手を当てて言い聞かせた。
「間食の件は許してあげる。だからコンビニではせいぜい低カロリーなものを選んで買うことだな。第一、時間がないんだよ。今から弁当なんて無理なんだよ、わかるだろ?」
小さな子供を説得する口調で言うと、ふん、と少女が鼻を鳴らした。
「お弁当ならあるもん」
「何?」
「ジン君のお弁当を私が食べる。ジン君がコンビニでお弁当を買う。それでどうかね?」
少女はテーブルの上に置かれた俺のぶんの弁当を指差し、何故なのかものすごく得意げな表情を浮かべた。
俺はハァ、と再びため息をついた。
「何を言い出すかと思えば……アレは俺のぶんの弁当だぞ。男子学生用でものすごく高脂肪高タンパク高カロリーだし、全然女の子らしくない中身だし。そんなもん食べたら人気なくすぞ?」
「いいもん! 別に日の丸弁当でも全然アリだもん! どうせジン君以外の人と食べる予定ないし! 誰に見られたっていいもん!」
「花も恥じらう女子高生がなんてこというんだよ。とにかく、アレはダメ。とにかく今日はコンビニで……」
むうううー! と少女は頬を膨らませ、今の自分はものすごく不満なのだというように俺を睨みつけた。
その野良犬の威嚇のような視線と態度に、流石の俺もちょっと怖くなった。
なんだろうこの反応――まさか「お弁当寄越さないならお前を食っちまうぞ!」とか言わないだろうな。
俺がちょっと怖気を感じた途端、目の前の少女――御厨楓夏が、頬を膨らませながら言った。
「……課金」
「は?」
「すればいいんでしょ! 課金! ね! それでお弁当くれる!?」
課金。
その言葉に、俺は何度目だかわからないため息をついた。
「……あのだな」
「何よ! 私のじゃイヤなの!? いつもいつもスケベな顔して課金されてる癖に!」
「ひっ、人聞きの悪い事言うなよ……! 誰がスケベな顔だよ……!」
俺は楓夏さんの顔――もっと詳しく言えば、唇を見た。
ぽってりとしていて肉付きのよいふくよかな唇だった。
その唇が肉の脂でテラテラとするのが見たくて、ついつい揚げ物や肉料理を食わせすぎたか。
となれば、楓夏さんが肥えた原因は俺にも一因があろう。
俺はため息をついた。
「わかった、わかったよ、もう……そんな目で人を見るな。お弁当はあげる。それでいいか?」
「やった! さっすがジン君! 話せばわかる男! 違いがわかる男!」
「お前が話してもわからんから俺が折れたんじゃないかよ。もう、さっさとシャワー浴びて、髪乾かして、メイクして。ただでさえお前は要領悪くて時間がかかるんだから……」
「その前に!」
「はい?」
「課金! 早速ジン君に課金しようではないか!」
楓夏さんは人差し指を俺の鼻先に突きつけるようにした。
「うぇ……い、今からか?」
「そうなるでしょ。私だって課金しないでお弁当もらったら心苦しいし」
「苦しいのは腹だろ?」
「やかましいわ。ほらもう、口閉じて」
瞬間、楓夏さんの右手が俺の頬に回った。
触れられた途端、ぞくっ、と、腰の辺りに妙な震えが走った。
「じゃあ早速、課金するね――」
ずいずいっと楓夏さんの顔が近づいてきて、俺は急に気恥ずかしくなって顔をそらした。
「ほぉら、こっち見る」
ぐい、と手で前を向かされて、その長姉らしからぬ子犬のような目と目があった。
それと同時に、両肩にかけられた手にぐっと力が入った。
楓夏さんの顔がどんどん近づいてきて――そのふくよかな唇が俺の唇に着地した。
ん……という甘い鼻息がかかり、やたらと肉付きのいい身体が密着してきて、少しだけ口づけが深くなる。
楓夏さんの身体に両腕を回さないのに大変な自制心が必要だった。
五秒くらいで、「課金」は終わった。
背伸びしていた楓夏さんは踵を床につけて、天使のように俺に微笑んだ。
「ね? これでいいでしょ?」
「うっ、うん……」
思わず視線をそらすと、楓夏さんがめざとくそれを見つけた。
「あ、ジン君顔真っ赤! ウブ! ウブ男子!」
「そういう楓夏さんだって多少赤いじゃねぇか! トントンだよ、トントン!」
「えへへ……それじゃ朝ごはん作りお願いね。カロリーは1000Kcalまで、色はいくら茶色でも許す!」
「もう……わかりましたよ。作ればいいんでしょ作れば! 課金分は働きますよ!」
「お願いしまーす! よっしゃ、じゃあ朝シャンしてくる! めっちゃ頭皮ケアしてくる!」
そう言うと、楓夏さんはルンルンと風呂場に引っ込んでいった。
くそ、自分のことなどなにひとつ出来ないだらし姉ぇのくせに、こういう時だけマセた課金しやがって。
決めた、今から肉は全部朝ごはんのおかずに紛れさせて、代わりに野菜をたくさん詰め込んでやる。
今日の弁当はこれでもかと緑色にしてやるからな……。
俺はまだおさまらない心臓の鼓動を鬱陶しく思いながら、そう決意した。
◆
俺――森崎神秀と、先程のやたら肉付きのいい美少女・御厨楓夏さんは、幼い頃からの顔なじみ、いわゆる幼馴染という存在同士である。
仕事で忙しい両親の代わりに、俺は幼少期のほとんどの時間を、御厨さん夫婦の元で暮らし、一歳年上の楓夏さんを実の姉のように慕って過ごした。
中学も半ばの頃、御厨さんの両親が、高齢になった父母と同居したいと言い出し、楓夏さんは実家で一人暮らしをすることになった。
その代わり、俺は今までの恩返しのために、御厨家にしょっちゅう出入りするようになり、楓夏さんに変わって家事の一切を行うようになった。
今まで息子同然で育ててくれた御厨さん夫妻の恩を思えば、それぐらいは当然のことだった。
けれど――家事が苦手な楓夏さんは、俺に家事を手伝われることに対して、一方的に罪悪感を募らせていたらしい。
最初こそしおらしく、ごめんねごめんねと申し訳なさそうにしていた楓夏さんだったけれど――その積もり積もった申し訳なさがいつしか爆発したのか、気がつけば、ある奇妙な風習が楓夏さんと俺の間に完成していたた。
それが「課金」制度――。
つまり、楓夏さんがキス一回で俺にお願いごとをしてくる、また、家事以外の何かをシてもらったお礼に楓夏さんが俺にキスする、という風習である。
幼馴染の俺から見ても、御厨楓夏さんは美人だ。
艷やかな黒髪、男受けのよい顔立ち、ふっくらとして柔らかそうな身体つき、角のない物腰と性格。
いくら幼馴染とは言え、そんな楓夏さんに「課金」シてもらえば、俺だって何も思わないはずはなかった。
どちらかと言えば、誰にでも天真爛漫に振る舞うこの人と俺との間にだけ特別な何かがあるように感じて、嬉しくもあり、また、なにか悪いことをしているような後ろめたさもあった。
けれど――それ以上に、この「課金」制度自体に、隠しきれない失望もあった。
幾ら弟のように育ったとしても、こんなことは異性として意識している男に対して簡単にすることではないだろう。
つまりこの「課金」制度が存在するということは、俺は楓夏さんから男として意識されていないということでもあるのだ。
ハァ、と俺は水気を切った皿を棚に戻しながら、ルンルンとドライヤーで髪を乾かしている楓夏さんを見た。楓夏さんは俺が近くにいるというのにタオル一枚という出で立ちだ。
こういう振る舞いも、俺を異性として意識していないから出来ることに違いなかった。
何年経っても、どれだけ努力して成長しても、結局俺はこの人の何にもなれないのだという落胆は、「課金」を繰り返される度に大きくなっていった。
「情けないな……」
俺のつぶやきは、ドライヤーの音にかき消されて自分の耳にすら届かなかった。
◆
「お姉さん、俺らと今からご一緒しない?」
「あ、あの……私、その……」
「いいだろ? とりあえず」
「その、困ります……私、そろそろ戻らなきゃ……」
「戻るのは返答してからにしてくれよ。どうなの? 俺らに付き合うのイヤ?」
生徒会の仕事を終えて帰る途中の町中で、雑踏から聞き慣れた声が聞こえた気がして、俺は声のした方を見た。
買い物客や下校途中の小学生が行き交う商店街。その街角の、忘れられたような人気のない場所で、他校の制服を着た男子生徒数人が、楓夏さんを壁際に追い詰めるかのようにして迫っていた。
楓夏さんは困り果てたような表情でなんとか断りを入れようとしているらしかったが、楓夏さんは押しが強い方ではない。どうにも断りきれずにいるようだった。
しばらく迷ってから――俺は男子生徒の背後から近づき、「あの」と声をかけた。
声をかけた瞬間、楓夏さんが驚いたように目を丸くして俺を見た。
「あ? お前……誰? 今取り込み中なんだけど……」
「わかります。けれど御厨さん、困ってると思うんですよ。そろそろ解放してあげてください」
「はぁ? いきなり現れて何だよお前。取り込み中だって言ってんだろ。どっか行けよ」
不機嫌さを丸出しにして、おそらく上級生なのだろう男の一人が片眉を持ち上げた。
ガラは悪くないが、あまり気の長そうなタイプには見えない。
なおかつ、今の言葉には明らかな苛立ちが含まれていて、あまりいい雰囲気ではなかった。
仕方なく――俺は背後の楓夏さんに目配せして、声を出さずに唇を動かした。
かきん。
その口の動きに、瞬時困ったような表情を浮かべた楓夏さんが――はっとしたような表情になった。その動作に、上級生はますます苛立ったようだった。
「は? なんだよ? 何勝手に会話してんだよ。いいから早くどっか行かねぇと――」
男子生徒の言葉が終わるより先に、地面を蹴った楓夏さんが俺の胸に飛び込んできた。
それを両腕で受け止めると、さっと顔を上げた楓夏さんが俺の目を一瞬だけ覗き込み――それから意を決したように背伸びしてきた。
ちゅっ――と、一瞬だけ温かく湿った感触がして――すぐに離れた。
男子生徒たちが、ぎょっと目を見開いた。
俺と楓夏さんは一瞬だけ視線を交わしあった後、他校生に同時に向き直った。
「――こういうことなんです。わかりましたか?」
敢えて何も言わずにそう宣言すると、しばらく呆然としたような表情になった上級生が、なんだか決まりが悪そうな表情で頭を掻いた。
「んだよ――もう先約いるのかよ。なら早くそう言ってくれればいいのによ……」
「ごめんなさいね。楓夏さんはこういう人なんです。なんとか傷つけないように断ろうと考えてたようなんですけど――」
「ちっ、悪かったよ。彼氏さんの前でとんでもねぇことしちまった。悪く思わないでくれよ」
そう言って、他校の男子学生たちはあーあと聞こえるようにため息をつきながら、足早にその場を去っていった。
後には、俺と楓夏さんだけが残された。
一応、滅多にないシチュエーションに、俺の方も緊張していた。
詰めていた息を吐き出し、隙間なくくっついていた楓夏さんから離れようとすると――俺の左腕を抱き締めていた楓夏さんが、離れまいかとするように腕に力を込めた。
少し驚いて楓夏さんを見下ろすと――にまーっ、という感じで楓夏さんが笑みを深めた。
「ジン君、ありがとね」
「んぇ? あ、あぁ――」
「カッコよかったじゃん。まさかジン君が助けてくれるなんて思ってなかった」
「いや、助けたうちに入らないだろ。結局は楓夏さんにも一芝居打ってもらったし」
俺がそう言うと、楓夏さんはますます機嫌を良くしたように笑った。
「『こういうことなんです』って言ったけど、どういうこと?」
「それは――言葉のアヤというやつで」
「ジン君はどういう風に勘違いしてほしかったのかな?」
「も、もう、勘弁してくれ。何もなかったんだからいいだろ」
俺が顔をそらすと、ぐい、と楓夏さんの手によって強制的に顔を戻された。
「お礼課金」
「はい?」
「今、私を助けてくれた課金、まだシてないでしょ? 今からシよ」
「え、えぇ――!? だ、だって今、先に課金はシてもらって――」
「今のはノーカン。だって私は何もしてもらってないじゃん」
俺はぎょっとして、街を行き交う人々を見た。
「こ、ここで? 今から?」
「何よ、さっきは自分からそうしろって言ったくせに。私だけが恥かいたままになっちゃうじゃん」
「いや、でも……」
「なら」
楓夏さんはトントンという感じで物陰に移動し、そこでくるりと俺に向き直った。
「ここならいい?」
ハァ、と俺はため息を吐いた。
一応、そこは商店街の行き止まりの物陰で、人の目が届きにくい場所ではある。
まだ尻込みしている俺の右手を、楓夏さんが取って引っ張った。
思わずたたらを踏んでしまったところに楓夏さんの身体があって、俺たちは密着する形になってしまった。
「どうしたの? まだ覚悟決まらないの?」
楓夏さん――否、楓夏さんは、いたずらっぽく笑った。
「いや、流石にこんなところでは――」
「あによ。身体ばっかり大きくなって。相変わらず気持ちは小さいままなの?」
「ば――馬鹿にするなよ」
「馬鹿にしてんじゃないの、単純に知ってるの。昔はトイレ行くにも私についてきてもらってたじゃん? あの頃から何も変わってないんだなあって感心してんの」
「そんな昔の話を……! いっ、今はもうトイレぐらい一人で行けるわ!」
「でも、人前で課金される勇気はない?」
上等だ。俺は楓夏さんにノシノシと歩み寄って、その顔を見下ろした。
「そこまで言うなら……やってもらおうか、課金」
「やっと覚悟決まったか。偉いぞ。……じゃあ、課金するね」
それと同時に、背伸びをした楓夏さんの顔がゆっくりと近づいてきた。
ちゅ、という音とともにぎこちなく押し当てられた唇の感触が――徐々に深さを増した。
うぐっ、と呻いて逃げた分だけ、楓夏さんが追ってきた。
ちょちょちょ、これは流石におかしいだろ……!
俺は盛大に困惑した。
これじゃあまるで、本当にそういう行為をしてるみたいじゃないか。
今までの「課金」とは違う「重課金に」、俺は身を捩って逃げ出そうにも、首筋に回った楓夏さんの腕のせいで逃げ出すことが出来ない。
もはや俺は一方的に貪られるような形で楓夏さんの「重課金」を受け止め――それから俺たちは一分近くもそのままだった。
そのとき、困惑する俺の視界に、ある光景が飛び込んできた。
向こうから三人並んで歩いてくる女子高生――間違いない、ウチの学校の生徒だった。
しかも、三人とも見覚えがある顔をしている。楓夏さんの友達グループの生徒だった。
こんな光景を見られてしまえば、彼女たちに楓夏さんは質問攻めに遭うだろう。
(やべっ……!)
咄嗟に、俺は咄嗟に唇を離し、楓夏さんの腰のあたりに腕を回し、力任せに楓夏さんを壁に押し付けて、隠すように覆いかぶさった。
「じ、ジン君……!?」
「……ちょっと黙って。楓夏さんのクラスメイトがいる!」
俺が小声で耳打ちすると、楓夏さんがはっとした。
それと同時に、俺たちの背後を女子生徒たちがギャーギャー騒ぎながら通り過ぎる。幸い、こっちに気がついた気配はなかった。
目だけでその姿を追い、早くどっか行け……! と念じていると、楓夏さんの手のひらが俺の頬に回った。
うぇっ!? と驚いていると、楓夏さんが顔を寄せてきて、再び「課金」が始まった。
(何考えてるんだ……!?)
俺が抗議とともに目を見開くと、唇をくっつけたまま、楓夏さんが目だけで笑った。
それから、一分近くも経っただろうか。
今までの課金とは明らかに違う、なにか必死さすら感じる課金が終わり、ようやく楓夏さんが俺から離れた。
「……ビックリしたぁ。カバーありがとね、ジン君」
楓夏さんが胸に手を当てながら、息を切らして言った。
俺が頷くと、楓夏さんがまた、さっきの笑みで少し笑った。
「な、何考えてんだよ楓夏さん……! せっかく誤魔化したのにあんなことして! バレたらどうするつもりだったんだよ!?」
「バレたらバレたでいいじゃん、見せつけてやれば」
あっけらかんとそう言って、楓夏さんは笑った。
「み、見せつけるって……! これはただの課金だろ!? そういう行為だって勘違いされたらどうするんだよ!」
「だって――初めてだったじゃん、ジン君の方から課金ねだられたの」
楓夏さんがボソボソとそう言い、俺ははっとした。
「ジン君って私がどんなワガママ言っても、絶対そっちから課金せびったことないし。だから――嬉しかったんだよ。見せつけるぐらいしたっていいじゃん?」
なんだかめちゃくちゃな理屈に、俺はほとほと呆れてしまった。
一体この人は何考えてるんだろう。俺はただの弟分で、この人の恋人にはなれない人間なのに。いくら度を越して天真爛漫でもやっていいことと悪いことがある。
思わず真剣に叱ろうかと思ったが、えへへ、と黒髪の先っぽを指でいじりながらの楓夏さんのはにかみに、言うべき言葉は霧散してしまった。
俺はここで俺が言うべきことを色々と考えて――結局、何も言えずにため息をつくしかなかった。
◆
小さい頃の俺――楓夏さんとよく遊んでいた頃の俺は、やせっぽちで病弱で、とにかくすぐに熱を出す子だった。
その度に、楓夏さんは何が出来るわけでもないのに、ふぅふぅと苦しい息をつく俺の側からずっと離れなかった。
強くなりたい――高熱に浮かされながら、俺が何度も何度も願ったこと。
せめて人並みでいいから、普通に生活がしたい。
楓夏さんを心配させないぐらいの丈夫な身体がほしい。
俺たちが当時お熱を上げていたゲーム、そのキャラクターたちは時間と手間暇とをかけて育てれば育てるだけ、強く、美しくなった。
なのに、なんで俺はそのための努力すらさせてもらえないのか。
少しかけっこすれば息が切れ、いつもよりたくさん食べようと思えば腹痛を起こし、苦しい時間ばかりが増える。
どうすれば――自分は強くなれるのか。
そんなことをベッドの上で楓夏さんに言った、そのとき。
ちゅ、と唇に温かい感覚がして――俺は目を見開いた。
「テレビでやってたの。こうすれば、魔法をかけられるんだって。こうすれば、強くなれるんだって」
楓夏さんはその時の年齢に似合わない、気の毒なぐらい必死な表情で、そう言い張った。
「強く、なれるよ。ジン君だって、いつか絶対強くなれる。これはそのための魔法だよ。ジン君、かきん、ってわかる?」
俺は首を振った。
「かきんってね、パパとママが言ってたの。それをすれば人より強くなれるんだって。だから私がこれから何回もジン君に魔法をかきんしてあげる。だから――ジン君は絶対強くなるよ。わかった?」
たどたどしい言葉でそう言って、楓夏さんは小さな手で、俺の小さな手を握った。
そう、記憶にある限り、最も古い「課金」の記憶がそれ――。
楓夏さんは落ち込んでいる俺を励まそうとして、そのとき、そんなことをした。
まだ男女のことなど意識していない年齢であったとしても――その行為がどんな行為であったのかまで、わからなかったはずはないのに。
だからこそ、俺は楓夏さんの「魔法」に答えるために、強くなろうと努力した。
いつの間にか喘息の発作も出なくなり、熱を上げる回数も減っていった。
いつしか俺たちは十六歳と十七歳になり――多くのものが変わらず、そのまま時間が経過した。
でも――その時のことを覚えているのは、今や俺だけになっていた。
◆
ハァ、とため息をつきながら、俺は勝手知ったる御厨さんの家に帰り着いた。
これから買い物を冷蔵庫にしまい、洗濯物を畳んで、風呂を沸かし、楓夏さんと夕食を取り、その後肩を並べてテレビを見て、どちらかが眠くなったらおやすみと言って俺は帰る、それがいつものルーティーンだった。
早くも制服を脱ぎ捨て、部屋着の格好でソファーに寝そべっていた楓夏さんが、スマホから顔を上げ、おかえり、と言った。俺も、ただいま、と返した。
「遅かったね、ジン君」
うん、と頷いて――俺は手の中にあったものを、できるだけ意識しないようにして、テーブルの上に置いた。
いつものルーティーンには含まれていない「それ」を見て、楓夏さんが顔を上げた。
「ジン君、何それ? 手紙?」
「さぁ――下駄箱に入ってたよ」
それだけしか言えなかった。まだ中身は読んでいないし、封も切っていない。
だけど、差出人が生徒会でよく一緒になる一年生の後輩の女の子の名前であったから、中身は十中八九予想がついた。
俺は重いため息を吐いた。
「俺、こういうのもらった経験がないからさ。どうするかなぁと思ってるよ」
「……返事するの?」
「どんな手紙にでも返事はするだろ」
「それは……そういう意味じゃなくて!」
滅多にない楓夏さんの怒ったような声に、びくっと俺は肩をすくませた。
「ふ、楓夏さん……?」
俺が驚いて楓夏さんを見ると、楓夏さんがはっとしたような表情で首を振った。
「あ、ごめん……なんでもない、ごめんね、怒鳴っちゃって」
「い、いや、別にいいけどさ……」
「とっ、ところで! その手紙って、そういうことなんだよね!?」
「さ、さぁ……とりあえず、まだ中身も読んでないから、中身は不幸の手紙だったりするかもしれないよ。とにかく、読むのは後回しにして食事作るわ。煮物でいい?」
「パスタ」
「え?」
「おゆはん、パスタがいい」
しっかりはっきりとした声で、楓夏さんはそう言い張った。
この人は基本的に俺の作るメニューなら、何でも美味しそうに食べてくれるし、自分からこれが食べたいと直前になって言い出すこともない。それは初めてのわがままだった。
「パスタ、って……もうお米も炊いてるよ」
「いいもん。冷凍して明日食べる。絶対に今日はパスタじゃなきゃイヤ、食べない」
「そんなこと言っても……」
「絶対、絶対だよ」
「もう……ハァ、わかりましたわかりましたよ。パスタにします。その代わり、ソースはミートソース、しかも買い置きを温めるだけ、それでいいか?」
「いいよ」
大きく頷いて、楓夏さんはソファから降りた。
降りて、俺の前まで真っ直ぐ歩いてきて――俺の目を見つめた。
「ワガママ聞いてくれたお礼に、課金するから」
うぇっ? と、俺はよくわからない流れに困惑した。
「え? か、課金――するの?」
「メニュー変更してもらうんだから当然でしょ」
「い、いや、なんかちょっとおかしいでしょ! 落ち着いてよ楓夏さん!」
俺は抗議の声とともに楓夏さんの肩を掴んだ。
「な、なんか今日の楓夏さんはおかしいよ! なんかいつもそんな感じじゃないだろ! なんか今の、その、俺に課金したいからワガママ言ってない!?」
「悪いの?」
「悪いか、って、そんなの悪いに決まって――!」
そこで俺は楓夏さんの顔を見てしまって、絶句した。
なんだか怒ったような楓夏さんは、まるで泣き出す一歩手前のような憤りの表情で、唇を真一文字にして俺を見つめていた。
なんだ、この表情。何を怒ってるんだ?
全くわけがわからないなりに――なんだか、これは課金サれないと行けないのだと、何故かそうわかってしまった。
「ま、まぁ、楓夏さんが課金したいっていうなら、いいけどさ……」
根負けした俺が曖昧に頷いて、気まずく視線を逸らすと、楓夏さんが俺の両肩に手を回した。
ぐっ、と背伸びをした楓夏さんが、俺に「課金」した。
ちゅ、という音と共に、いつもなら唇は数秒で離れるはずだった。
けれど――その日は違った。俺の首筋に手が回り、逃すまいとするかのように力が込められ、俺はぎょっとした。
慌てて楓夏さんの腰のあたりをタップして離れろと促したけれど、楓夏さんは意地を張ったかのように離れてくれない。
そろそろ呼吸が苦しくなってきて、俺は力づくで楓夏さんの腰を掴んで引き剥がそうとするけど、楓夏さんは梃子でも動きそうにないほど身を固くして、逆に俺に縋りついてこようとする。
唇だけは密着したままの状態で、俺たちは意地を張りあった。
呼吸が苦しくなり、視界がちかちかする。
それでも、俺は躍起になって離れようとし、楓夏さんは躍起になってくっつこうとした。
遂に限界に達して――俺はほぼ全力で楓夏さんを引き剥がし、二、三度咳き込みながら唇を離した。
離れた瞬間に足がもつれて――俺はその場に尻もちをついた。
「――ふっ、楓夏さん……!?」
俺が唇を拭うこともなく顔をあげると、楓夏さんはなんだか駄々っ子のような表情で俺を睨んで見下ろした。
「……ラブレター、なんでしょ、その手紙。よくその子と一緒に生徒会で仲良くしてるの見るもん」
「えっ……!? い、いや、そうかもだけど……!」
「そうかもだけどじゃないっ!!」
これまた滅多なことではない楓夏の怒声に、俺はうひっと悲鳴を上げた。
「ふ、楓夏さん、何を怒って……!?」
「怒るよ! そりゃ怒る! ジン君に課金シていいのは、私だけだし!」
「は、はぁ……!? か、課金って、こ、これはただの遊びみたいなもんなんじゃ……!?」
「バカっ! 普通こんなこと、いくら私でも好きでもない男の子にやったりするわけないでしょ!」
楓夏さんの声は、まるで雷のように俺の頭の中に轟いた。
「バカっ、ジン君のバカバカバカっ! なんでこんな何回も課金してんのに意識してくんないの! こんな小っ恥ずかしいこと、ただの幼馴染にやるわけないじゃない! それなのにジン君はいつまで経っても私をお姉ちゃんとしてしか見てくれないし! それどころか勝手に他の子からラブレターなんかもらって! どんな鈍感してればそんなこと平然とできるのよ! ジン君のバカ! バカーッ!!」
まるで体内の空気を一息に絞り出すかのように、楓夏さんは大声で怒鳴った。
課金していいのは、自分だけ――。
その一言に、今まで積もりに積もってきた憤りに火がついた。
「な――何をわけわかんないこと言ってんだよ、楓夏さん! 課金していいのは楓夏さんだけって、そんなこと――今更勝手すぎるだろ!!」
楓夏さんの怒声に、俺もついつい口調が乱暴になった。
「楓夏さんにとって俺って男姉弟みたいなもんでしかないんだろ!? だからこっちだって必死に諦めようとしてんのに、課金とか言ってからかってきやがって! 楓夏さんが俺を異性として扱ってくれたことなんか一回もないじゃないか! 俺は単なる世話焼き係、マネージャー、弟分……そうなんだろ!?」
「うぇ……!?」
「気づいてなかった、なんて言わせねぇぞ! 成長してからの俺の視線、めちゃめちゃ気持ち悪かったはずだぞ!」
俺は楓夏さんを真正面から見つめた。
「毎日毎日、そっちの胸だの尻だの唇だの、しこたま至近距離からジロジロ見てたんだからな! いくら楓夏さんだって、俺が楓夏さんをめちゃくちゃ異性として見てたことに気がつかなかったはずねぇだろうが! それなのに――楓夏さんはよくこんな生殺しみたいなことできるよな!」
その言葉に、はっとしたように楓夏さんの顔が少しだけ赤くなった。
流石にこんな事を言って、今まで通りの生活が続けられるわけはないと思った。
けれど――今ここで全てをぶちまけてしまわないと、この生き地獄が一生続いてしまうのだと思った。
「楓夏さんは結局、からかって遊べるオモチャを手放したくないだけなんだろ! 人に取られそうになったからって焦ってるだけだ! 何を――今更焦りまくってんだよ! 俺は、俺は楓夏さんに、もっともっと前に慌ててほしかったのに――!!」
俺が言うと、楓夏さんが下を向いた。
その許しを請うような所作に、俺ははっとして立ち上がった。
「あ、ご、ごめ……」
俺が思わず謝ると、楓夏さんが受け取らぬというように首を振った。
「ご、ごめん楓夏さん、怒鳴ったりしてごめん……」
俺は色んな意味を込めて、心から謝った。
その一言に、楓夏さんが俺の顔を見つめた。
「ほ、ホント?」
「は――?」
「じ、ジン君は私をちゃんと女の子として見てるって……本当なの?」
「え? う、うん……」
「そ、そうなんだ……。ぜ、全然、全然、気づかなかった……」
気づかなかった。その一言と、楓夏さんの真っ赤っかな顔に、俺は何かを悟った。
この人――まさか、本気で気づいていなかったというのか。
確かに、楓夏さんは天真爛漫な人で、大いに天然なのは知っている。
けれど、ここまでとは――流石に俺も予想外だった。
いや――流石にそれは違うか。
鈍感だったのは、俺の方も、なのだ。
いや、鈍感だったと言うより――甘えてたのだ、お互いに。
俺たちは今までお互いに、滑稽な独り相撲をしていただけなのかもしれない。
「ふ、楓夏さん……それって、その」
「いい、いいの。お願いだからちゃんと言わせて」
楓夏さんは大きく息を吸い、そして慎重に吐き出した。
「昔、覚えてるでしょ? ジン君が身体弱かったときのこと。あのとき、初めて課金シたの」
まさか、その時のことを覚えてるのか?
てっきり、そんな始まりは忘れてしまったと思っていたのに。
俺が驚いていると、楓夏さんは続けた。
「最初はジン君の身体が少しでも強くなれば、って気持ちだった。でも、そのうちにそうじゃなくなった。課金するたびに、どんどんドキドキするようになって……けど、そのうち私が課金なんかしなくても、ジン君はすくすく大きくなって、強くなって、カッコよくなっちゃっていくんだもん。ジン君とキスし続けるためにどうすればいいのかって、いつかさせてくれなくなるんじゃないかって、私、凄く怖かった……」
キス――その一言に、ドキッ、と心臓が跳ねた。
今まで「課金」という言葉で誤魔化していたけれど――やはり、この行為は、そういう名前の行為なのだと、俺の方も今更気づいたような気持ちになる。
「馬鹿だよね――この間ジン君に助けてもらった時、みんなからかばってもらった時ね、ジン君はもう大人なんだって、今更気づいちゃった。背とかは私より高いのはわかってたけど、身体を掴まれた時、全然抵抗できなかった。もう小さい頃みたいに、私が課金なんかしなくてももういいんだって――そう思ったら、なんだか私たちが終わっちゃうような気がして、怖くなって……」
ぎゅ、と楓夏さんは両の拳を握った。
「今更、誰かに取られそうになって焦ってるなんて思われてるかもしれない。けれど、違う、違うんだよ。ジン君と一緒にいたいって、誰よりも願ってきた自信あるもん。やっぱり嫌だ。ジン君を誰かのものにしたくない。私の側にいてほしい。今までずっとそうだったんだもの。今更それだけは絶対変わらない、変われないよ――」
俺は震えている楓夏さんに歩み寄った。
少し迷ってから、俺は楓夏さんの両手を取った。
馬鹿みたいな話なのだけれど――「課金」は何回もされているのに、こんな風に手を握ったことは初めての事かもしれなかった。
手のひらから伝わってくる楓夏さんの体温は、火傷しそうに熱かった。
「ふうか」
楓夏さんの潤んだ目が俺を見上げた。
初めて、そんな風に名前を呼んだ。
初めて、指を絡めて手を握った。
初めて、自分から楓夏さんの唇に顔を近づけた。
ちゅ、と音がした。
触れ合うだけの、いつもの「課金」にも満たないもの。
けれど――それはいつもの「課金」ではなかった。
それは俺たちが生まれて初めてシた、ちゃんとした「キス」だった。
しばらく見つめ合った後――同時に、両方が吹き出した。
「ジン君、顔真っ赤だよ」
「楓夏さんこそ、凄く、凄く真っ赤。凄く、凄く可愛い――」
俺は思わず、楓夏さんの熟れたリンゴのような頬に触れてみた。
ようやく、俺たちは幼馴染ではない、姉分と弟分ではない、新しいなにかになれた気がした。
その満足に酔いしれるように、しばらく俺たちは身体を密着させて微笑みあった。
しばらくして――楓夏さんが俺の胸に額を押し付けながら言った。
「あの手紙の相手にちゃんとお断りのお返事できる?」
「う、うん。それだけはちゃんとしないとなと思ってるよ」
「もし一人で不安なら、楓夏お姉ちゃんがついていってあげようか?」
その申し出に、俺は少し慌てた。
「い、いや――それはちょっと――」
「ヤだ。絶対ついていくもん。それで、その子の前で今みたいにもう一度見せつけチューするんだ。そうすりゃ他の誰もジン君に寄り付かなくなるでしょ?」
「ひ、人として最悪だよ、それ……! 俺の学校生活が終わるだろ……!」
「終わったら面倒見てあげるよ」
楓夏さんはそこで顔を上げ、自分の唇に人差し指を押し付けて、自慢げに微笑んだ。
「これから、もう私以外どうでもいいやってなるぐらい、廃課金シてあげるんだからさ」
冗談ではなさそうなその一言に、俺は多くの恐怖とちょっとの期待を感じて、笑った。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
これは以前書いた短編を再度練り直し、いわばシングルカットのような形で書き直したものです。
実は一度、数日前に本作品を投稿しているのですが、個人的に練り直しが必要と考え、
再度練り直しの上再掲いたします。
「面白かった!」
「続きが気になる!」
「甘臭ッ!」
などと思っていただけるならば、
どうぞ下の『☆☆☆☆☆』をいくらか『★★★★★』にしていただくことで
ご評価いただければと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。
【VS】
こちらの連載作品ももしよければどうぞ。↓
『強姦魔から助けたロシアン娘が俺を宿敵と呼ぶ件 ~俺とエレーナさんの第二次日露戦争ラブコメ~』
幼馴染の姉ちゃんがキス一回の「課金」で俺に面倒事を押し付けてくるんだけど、なんだかだんだん重課金になっていく話 佐々木鏡石@角川スニーカー文庫より発売中 @Kyouseki_Sasaki
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