第12話 ターゲットって響きだけ聞くとかっこいい
「後輩君っ! やっと部活入る気になった?」
そのような様子の猫田先輩に、首を振って
「部活は入んないです。食事でもどうかと、と言う話をしに来ました」
と言う。
彼女は、今回の騒動のターゲット——容疑者の1人目だ。
*
時は遡る事昼休み。
「1人目の候補、昼顔の知人女性から行きましょ」
あの後(第10話の中盤)俺は弁当を持って来て空き教室で色葉と話しながら弁当を食っていた。
「知人女性か……3人居る」
色葉に人差し指、中指、薬指の3本の指を立て、指の腹を見せる。
「で、その3人ってだれかしら」
「えっと、まず1人目。幼馴染の真衣。シンプルに仲が良い」
「幼馴染、ね」
「2人目。中学の先輩の猫田小豆。最近はあまり接点が無いけど、俺の中学の頃の——」
言葉が詰まった。「好きな人」だなんて言えない。言えなかった。
「中学の頃の、何かしら」
当然、色葉はすかさず食い付いてくる。
「ううん、何でもない」
「何でもないのね。じゃあ、3人目は誰かしら」
「3人目はい……」
色葉だなんて行ったら怒られそう。
俺は色葉の事を友達だと思ってる。思っているからこそ、ここできかななきゃと思う。
でも、もし仮に友達だと思っていなかったなら、
『友達だと思っていたの? 気持ち悪い』
とか言われそう! 後遺症残るレベルのダメージ受けそう!
「『い』、何かしら」
「ごめん、俺、知人女性ってか、女友達2人だったわ、ごめん」
皮肉を込めてそう言うと、色葉はボソッと
「私は……」
色葉はなにかいったが、声が小さくて聞こえなかったので、色葉にそのまま頼む。
「なにか言ったか?」
「私は女性知人じゃないの! 友達じゃないの?」
と、大きな声で返されたので、俺は思わず
「え?」
と、気の抜けた返事をするのであった。
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