第11話 質問だけで会話って成立するんだ
「……で、どうするのかしら?」
色葉と笑いあった後、そんな問いを投げられる。
「どうするって、何を?」
聞くと、色葉はこちらに人差し指を向ける。
「ほらそこ、質問を質問で返さない。……ほら、私のパンツが昼顔のリュックの中に入ってたじゃない。犯人とか探したりするんじゃないのかしら。……で、結局どうするのかしら?」
そんな色葉の言葉に、『お前も質問の質問を質問で返すなよ……』と思いつつ、返事をする。
「しらねーけど、普通に聞き込みとかするんじゃねーの?」
ここまで来ると俺はもうふざけてると思う。何故なら質問の質問の質問を質問で返したから。
その様子の俺に少々呆れながら手を横き出し、「やれやれ」と言わんばかりに顔を振る。
「そんなのずっとやってたらキリが無いじゃない。それに、一人一人に聴き込むのは嫌だわ」
そのまま顔を赤面させ、「恥ずかしいし」と、小さくボソッと言う。
「んじゃどーすんの?」
「ん……事前に聞き込みをする人を決めたりするんじゃ無いのかしら」
色葉はまだ赤面しており、俺に目を合わせて来ない。今更パンツの事で恥ずかしいと思っているのだろうか。それとも——
「事前にって、誰か居るの?」
色葉は上目遣いでこちらを覗く。
「それをこれから決めるのよ」
それからこちらを見て、
「昼顔を恨んでる人、昼顔を貶めたい人、私と昼顔の関係を裂きたい人。様々だわ」
「確かに」
「早速、候補を決めましょう」
「パン」と手を叩く。
「まず1人目からね。1人目は——」
*
放課後、体育館にて。
1人目のターゲットの所へ来た。
体育館を覗くと案の定、バスケ部が練習をしていた。
「あの、猫田先輩って……」
彼女を呼ぼうと身近な部員にはなしかけると、 俺が『猫田』と呼んでいる女性は綺麗な銀髪を靡かせながらこちらを向く。
そして、巨乳を揺らしながらこちらへ来る。
「後輩君っ! やっと部活入る気になった?」
ターゲット1人目。
それは、俺の中学の時の一個上のバスケ部の先輩——猫田小豆だ。
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