第9話 勘違いって怖いねー(人事)

「あ、怪しいって何が……?」


 聞き返したのはいいが、この反応が怪しい事に気づく。


「そう言う所よ。凄く怪しいわ」


 やっぱそうだなー。……ダメじゃん。

 こうしたらもう、馬鹿正直に言うしか無いか……?

 俺は少し……いやかなり勇気を出して、第一声を出した。


「実は、その——」


「分かっているわ。公共の場でその事を言うのは苦よね。昼顔も高校生なのだから、そう言う物持って居るのでしょう?(エロ本を持っているのかと思っている)」


 バレてた。(1段階)

 うん、バレてた。(2段階)

 やばいバレてた。(3段階)

 ンア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!! どうすんだよぉぉ!!!!

 いやまて、何故バレた?

 ……真衣か?

 途端に、脳内にデビル真衣が現れる。


「アニキ、情報教えときましたで」


 と言う。

 いやなにやってんだよぉぉぉ!!

 こんな時は、もう謝ってパンツを差し出すしか無いのか……?

 あーもう! こういう時は早く言った方がええよな!

 

「うん……ごめん」


「反省してるの……?」


 やった訳じゃ無いけど、こんな罪悪感もう背負いたくない。だから反省(?)する。しやした。


「してる、めっちゃしてる。もうしない」


「言ったわね……?」


「言った」


「分かった。……後、」


「……?」


 色葉は何かモジモジしている。要するに早く返して欲しいのだろう。恥ずかしくて言えないのかな。

 俺は配慮が出来る男だ。


「あー、分かった。ほらこれ、返すよ」


 そう言い、リュックから色葉のパンツを取り出す。


「!?」


 色葉の目つきが変わった。

 洗ってて欲しかったのかな……


「なんで……」


 少し震えた声で言う。


「?」


「なんで貴方が持っているのよ!!」


 え?

 色葉は、俺なパンツ持ってる事を事前に知ってた訳じゃ無いの?

 俺が勘違いしてただけ……?

 その瞬間、俺は


『あぁ、終わった』


 と思ったのだった。

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