第7話 パンツって発酵する物なの?

 4時間後

 

 け、結局なにも言い出せなかった…… 

 時刻は昼休み。皆がお弁当を食べ始めた頃。


「取り敢えず、5時間目の準備を……」


 5時間目は、歴史だったな。

 世界史の教科書は確か机の中に……

 そう思い俺は机の中を漁る。

 そうして、机を漁る事10秒


「……無い!」


 世界史の教科書が無かった。

 じ、じゃあ、リュックの中は……


           *


 無かった。

 どうやら、昨日忘れたまま世界史の教科書を持ってきて無かったらしい。

 また色葉に見せて貰おうか?

 いや、今日も見せてもらうなんて、そんな事出来ない……

 どうしよう、どうしよう……!

 

           *


「お、昼顔。どうしたの?」


 隣のクラスに居る真衣に教科書を借りることにした。


「あの、真衣。世界史の教科書貸してくんね?」


 聞くと、真衣は——


「あー、今日世界史ないから教科書ないわ。ごめん、他当たって」


 と。


「それよりさ、昼顔」


「ん、何?」


「色葉さんのパンツ、今どうなってんの?」


 色葉のパンツ……。

 朝から何も言い出せずに、Ziplocをしてリュックの中に入れっぱなしの奴。


「っ、まだリュックの中かなぁ?」


「マジかよこのブタ野郎」


「んだよ、言い出せてないだけだわ」


「意気地無し」


「なんとでも言え」


「てかさ、色葉さんのパンツ、脱いだまま洗って無かったけど、今昼顔のリュックの中で発酵してんじゃね?」


「パンツが発酵ってなんだよ」


「知らね」


「知らないのかよ」


 そう言うと、壁に寄りかかっていた真衣が壁から離れ、右手を挙げる。


「んじゃ、私はここで。私、こう見えてモテるから。美少女だから」


「あ、ああ。分かった。また後で」


 すると、真衣は向きを変えて、教室の中へ行った。

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