第6話 挨拶

 後日、学校にて。

 教室に入ると案の定、俺の隣の席には色葉が居た。

 色葉は背筋良く本を読んで居た。

 俺は自分の席に近づきリュックを下ろす。

 

           *


「色葉さん攻略、第1歩目は挨拶から!」


 真衣が『色葉さんこうりゃくかい』と書かれた紙に『挨拶』と書く。


「ほう、挨拶?」


「そう! まずはなんにも悟られない様にする事が大切! ふつーに、挨拶をするんじゃい!」


「あーね」


「という事で、私なりに挨拶の仕方を考えて見ましたー! ……拍手」


「わぁースゴいパチパチパチー」


 少々呆れながらも、拍手をする。


「エントリーNo.1! いつも通りー!」


 真衣は急に立ち上がると、数歩下がりだしてから深呼吸をして「行きます」と言う。

 

「いやモノマネ選手権かよ」


 真衣は歩いてこちらに向かって来て、俺の横を通り過ぎようとする瞬間……


「よっ」


 と、片手を挙げて言った。


「こんな感じ?」


「うん。完全再現だよそこまで行くと」


「うっし!」


 ガッツポーズをする真衣。


「と言う事でお兄ちゃん、こんな感じで頑張って!」


「こんな感じで頑張ってって……いやいつもの俺と変わらねーじゃんか。真衣、時間の無た……」


「もう一生FS(ファイナルストーリー)貸さないよ?」


「ありがとうございます至高の時間でした」


「よろしい」


           *


 リュックを下ろした後、俺は色葉に向けて一言


「よっ」


 と言った。

 そんな俺を見た色葉は本を閉じた。


「おはよう、昼顔君」


 ……で、どうするんだ!?


「……」

 

 やばい、何を言えばいいんだ!?


「……昼顔君?」


 挨拶をした後、昼顔はなにも掛ける言葉が浮かばず、フリーズしてしまったとさ。

 めでたしめでたし。

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