第5話 初めてな感触

「こんな感じで行こっか! 色葉さんの攻略ぅー!」


 あれから数分後、会議(?)が集結した。

 

「いや、そんなんで色葉攻略なんて無理だろ」


「無理なんかじゃない! 難攻不落に見えるからこそ、隙がある!」


「お前マジ何言ってんの?」


「名言」


「迷言の間違えだろそれ」


「草」


「何が草だシスター」


「お? 遂に私をシスターだと認めたか兄貴!」


「ごめん、口が滑っただけ」


「……アニキィ」


「呼ぶなら兄貴じゃなくておにいちゃんって呼べよ。妹らしく」


「お、おお……おにいちゃん!」


 と、真依が感激している所で、そろそろ寝ようかと思い、部屋を出ようとすると——


「おにいちゃん、もーねるの?」


「寝るよ。もう遅いしね」


 すると、真依は不敵に笑い、


「おやすみの『ちゅー』は無いの?」


 と言った。


「いややんねぇよ……100歩譲ってほっぺにちゅだわ」


「嘘つけー、えろえろべろちゅーしたいんじゃないのー?」


「嘘吐いてねーわ! なんだよべろちゅーって!」


 すると、真依は急に突っ込んで来て俺の胸に手をあてた……。


「心臓バックバクだよ? ドキドキしてるんじゃないの? 私の部屋入る事自体少ないんだからさー、いいよ? 無理しなくて」


 俺は、真依のその言葉を聞き、更に心臓の心拍数を上げ……


「無理してねぇって。いいって。もう寝るから」


 る事は無かった。


「えー?」


 そんな俺を不満に思ったのか、真依は頬を膨らます。


「いやだって、男子高校生だぞ? 襲ったりしねーの?」


「だからしないってば。もうマジで寝るからな」


 そう言って真依の部屋から出ようとすると


「んじゃ待って! こっちだけ向いてっ!」


 と、真依に止められたので一瞬だけ、真依の方を向くと——


「チュ」


 真依の部屋にはそのような高い音が聞こえた。

 俺の唇には柔らかい感触……盗られた。

 初キスを真依に盗られた。

 別に嫌って訳じゃ無いけど……

 そんな中、真依は


「どう? 間接キッスどう!?」


 と、少し興奮しながら言った。


「どうもクソもねぇよ。初だわアレが」


「え!? 昼顔もしかして初キッス!?」


「あーどーでもいい、もう寝るわ」


 そう言って、真依の部屋のドアを開ける。


「昼顔ー、おやすみー」


 後ろから真依の声が聞こえたので、


「夜更かしすんなよー」


 とだけ言ってから自分の部屋に戻り、


「あぁぁぁぁぁぁ!!!!」


 と、枕に顔を突っ込んで叫んだ。

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