暇な時は意識が彼方へ
まゆ推しアキラル
第1話「約束」とは何か
「約束」とは、一般的には当事者の間の取り決めのことを指すのだろう。
私自身も誰かと取り決めをした場合は、約束として扱い物事を進める。
だから、私にとって「約束」とは「相手に迷惑を掛けないために行うもの」であり、重要視されるものである。
相手からの信用を得るためには必須だと言っても過言ではない。
私は今まで、ずっとそうだと思っていた。
そう、今までは・・・
最近、私はいろいろと用事が溜まっていたので少々忙しかったのですが、終わりの目途が立ったため心の余裕が生まれていた。
私は何も考えないということが苦手なので、とりあえずその場で気になったものについていつも適当に考えることにしている。
大半が無駄な時間として過ぎてしまうのだが、今日は先ほど一つの約束事を終えたばかりだったためか、「約束」とはどんなものだろうか考えることにした。
私にとって「約束」とはどんなものなのだろうか。
一人の場合はどうだろうか。
一人では自分の都合のみで動くため、わざわざ取り決めなんてしないだろう。
他人がいた場合はどうだろうか。
他にも人がいるし一人で行動すれば迷惑を掛けるかもしれないな。それなら指針を定めないとうまく動けないので、大体は取り決めがされるでしょう。
次に「約束」とは必要とされるものなのだろうか。
一人の場合はどうだろうか。
前述したように、必要とはされないだろう。個人の匙加減であるし。
他人がいた場合はどうだろうか。
これも前述の通り、周りとのコミュニケーションを円滑に進めるためには必須と言えるだろう。
それでは、「約束」とは人のためになるのだろうか。
一人の場合はどうだろうか。
いや、もう必要ではないと書いているし改めて書く必要もないだろう。
他人がいた場合はどうだろうか。
こっちもそうだ。結果が出ている。必須であると言っているので人のためになっているだろう。
しかし、私はここで詰まってしまった。
「本当に『約束』は人のためになっているのか」と。
私にとって「約束」とは守るべきものだ。守って当たり前のものだ。
だからこそ、「約束」とはお互いに物事を円滑も進めるために役に立っているし、人のためにもなっているはずだと考えている。
皆もそう考えているなら、「約束」は人のためになると断言できるだろう。
しかし、千差万別や十人十色といった四字熟語があるように、人によって考えが違って当たり前なのだ。
そこで気付いたのだ。
「約束」を重要視せず、平気で破るような人がいることに。
「約束」を破るなんてどういう性格をしているのだ。
と、少し思考の向きがずれそうになったが一先ず置いておいて、なぜ「約束」を破ってしまうのかについて考えてみる。
まあ、考えるといっても「自分の都合が悪くなったのか」「自分に都合が悪かったのか」位しか思い浮かばないので、私もまだまだ思慮が浅いのだろうか。
自分の都合が悪くなった場合は、約束を破ることに負い目を感じるだろうし、謝罪もいれると思うのでまあ良いだろう。
しかし、自分に都合が悪かったから、約束を破るというのは駄目だな。
いや、どっちにしても駄目なのだが。
前者なら、納得の出来るような理由を提示できる場合が多いので、約束をした相手側も仕方がないと捉えることがある。
信用度は下がってしまうが、まだリカバリーは可能なはずだ。
後者ならどうだろうか。
周りに一人や二人そういった人間がいるかもしれないので考えて見てほしい。
そういった人の大体は、胡散臭い理由が多く後付けの理由をする場合がある。
さらに、同じようなことを繰り返すだろう。
その人は周りから信用されているでしょうか。いや、気付いていないのは自分だけといった状況だと思う。
こういった例について考えて見ると、「約束」とは人のためになっているのか。
守ることが当たり前の人からしたら、自分が破ってしまう時にはどんな「約束」でも罪悪感を覚えてしまい、相手に破られると予定が狂ってしまう。
守ることが少ない人からしたら、「約束」を破る事にそれが当たり前のことになり、普段の行動だけでなく性格も捻くれてしまうだろう。
そう思うと「約束」なんて無い方が良いのかもしれないね。
結論、「約束」とは呪いである。
確かに、「約束」とは必要なものだ。
メリットも多いし無ければ進められない事柄なんて山程あるだろう。大いに役に立っているし、これからも必要とされるものだろう。
しかし、「約束」をすることに関してはデメリットがあるかどうか今まで考えたことがあったか。
今回の考えで出てきたデメリットはどれも「約束」を破った場合のものだ。
「約束」は守って当たり前の風潮がある現代日本ではあるので、誰もそこは気にしない。
破らなければいい、破ったものがいればその人を退場させるのが普通のことなのだから。
だからこそ、「約束」をすることは良いことだらけだと錯覚してしまう。
「約束」を破るなんて始めから考えている人はほとんどいないから。
破るのを前提として考えている人はもう手遅れだ。
自分では、狡賢いと考えて恰好を付けているかもしれないが、その人はもうデメリットに犯されてしまっている。
「約束」が怖いと思ったのは初めてだ。
今まで、こんなデメリットがあるなんて気にしていなかったから。
気付かない内に侵食するなんて夢にも思わないだろうし。
それなら、「約束」をするのを辞めたらどうだろうか。
いや、それは無理だ。出来ない。
日常から離すことなんて不可能だ。どこにでもあるのだから。
「約束」なんて言葉は最近使っていないから大丈夫だ。
そう思う人も出てくるかもしれないが、それはあなたが成長して大人になったからだ。
なぜなら、大人になると「約束」という名が「契約」という名に変化するからだ。
だからこそ、離したくても離せない。
「契約」を結ばないと誰からも信用が得られない。それが社会人の常識。
だから、「約束」とは呪いなのだ。
自分で破ると自分に返ってくる。
それに気づかずに使い続けてしまい、深みに嵌っていってしまう。
気付いた時には手遅れだ。
もう周りには、だれもいなくなっているであろう。
暇な時は意識が彼方へ まゆ推しアキラル @akiralP
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。暇な時は意識が彼方への最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます