第17話
スキルのことをまとめたノートが机の上に置かれている。ノートにはストレス耐性と、隠密のことが書かれていた。ストレス耐性は言葉通り、ストレスに対して耐性ができるのだろう。隠密は人に気付かれないように行動することができる。耐久は暴走族に突き飛ばされて上昇したから防御力みたいなものだろう。
また新しく覚えたのはハイド、ヒール、心剣、腕力、体力、霊力、素早さ、運となっている。
恐らく腕力、耐久、体力、霊力、素早さ、運は能力のようなもので、俗に言うステータスのことを指している。ハイド、ヒール、心剣は使用することで効果がでるアクティブスキルという感じか。逆にストレス耐性と隠密は持っていることで効果があるのだろう。あとステータスとスキルは一定のレベルになると新しいスキルを覚えるみたいだ。
俺はノートにハイドと書き込んだ。その時だ。機械音が聞こえてきた。
『分析1を取得しました』
分析というスキルを手に入れた。これは持っているだけで効果があるのか、アクティブスキルなのか調べてみることにした。
「分析」
と呟くが、何か閃いた気はしなかった。常時スキルだろうか。いいことを思いつき、俺は財布を手にして家を出ることにした。本屋にやってくると、数学のコーナーの前に立つ。分析といえば、数学。数学といえば分析だろう。俺は安易に考えてみた。
数学の本を手にして気付いたことがある。
「頭がいてえ」
久しぶりに暗号のような数式を眺めると、頭痛がしてきたのだ。そして分析のスキルは上昇しなかった。どうしてだ。数学が悪いのだろうか。本屋で立ち読みをすること、1時間。スキルは何も上がらなかった。
このまま本屋を立ち去るのもあれなので、パズルを買うことにした。真っ白のパズルと普通のジグゾーパズルだ。五千円の出費になったが、久しぶりにパズルをしてみたくなったし、悪くないだろう。
家に帰ると、リビングの大きなテーブルの上でパズルを広げた。母さんが2階から降りてくると、物珍しそうにパズルを眺める。
「どうしたのよ」
「悪いかよ」
母さんは無言で椅子に腰掛けると、スマホを片手にビスケットを食べ始めた。
機械音が聞こえ、俺は感嘆声を上げた。
「何よ」
分析2を取得したのだ。このスキルはどのように役立つかわからないけど、新しいスキルを覚えるために努力してみようと思ってみた。
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