第15話

 赤髪の少女が浮かんでいる。どこかで見た覚えがあった。そういえば俺が死んだときにこんな少女と出会った気がする。


「助けてくれ」


 少女は無言で俺の顔を見下ろしていた。ふっと口を開くと、低い声で言うのだ


「スキル、便利ですよね」


 俺は美雨さんを指差す。


「あそこにいる女性を助けてくれ」

「はあ、自分でやってください。スキルは便利なので」

「わかったよ。やれるんだな?」


 少女は答えずにそっぽを向いていた。そちらの方向には芥神様がいる。

 彼女は冷たい視線を送っていたのだ。


「おい、芥神、俺が相手になってやるよ」


 芥神様は美雨さんから手を離す。美雨さんは地面に倒れ込んだ。


 鬼の形相をした3メートルばかりの神様を相手にすることになった。


「おい」


 後ろで声が聞こえ、振り向くと少女が俺の顔を指差していた。


『心剣を閃きました』

『霊感が3上がりました』


「霊感の力でより強くなる剣です。丁寧に使ってください」


 少女はそう言って後ろで腕を組んで見守るようだ。俺は心剣と叫ぶ。右手に青い剣が握られていた。その剣は温かみはなく、冷たくもなかった。


 剣を前に構えると、俺は芥神様の方に突っ込んだ。そして構えた剣を振り下ろす。芥神様は腕で剣を振り払うと、重みで俺は地面に膝をついた。見上げると芥神様の鬼の形相がある。


「ひ」


 と声をあげる。


『ストレス耐性6を取得しました』

『霊感が2上がりました』


 俺は再び心剣を呼び出すと、しゃがみ込んで伸ばしている芥神様の腕を斬った。腕に剣が食い込むと、芥神様は後ろに仰け反ったのだ。俺は無我夢中で剣を振った。芥神様の野太い声がすると、芥神様は地面に倒れ込み、姿が消えてしまった。俺は八百万の神の一柱を倒したのか。次の瞬間。


『ストレス耐性7を取得しました』

『腕力が3上がりました』

『耐久が3上がりました』

『霊感が3上がりました』

『体力が3上がりました』

『素早さが3上がりました』

『運が3上がりました』


 機械音が一斉に耳に入ってきたのだ。

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