第26話 ドワーフの村
ムーミン谷(仮名)
『大丈夫、入ってもいいよ』
特に木枠や木の壁も無く、警戒感ゼロの村。ムーミン(仮名)は気安く俺を入村させてしまい、更に危険な状態に。
これでも俺、大魔王で大悪魔なんですけど? 第十五代魔王、襲名夜露死苦なんすけど。
『村長さん、お客さん。このオジサンが村長さんに合わせてくれって』
うん、ここも安全管理零点の村だけど、どうやらこの川魔には「看破」の能力があって、初対面の者でもどういう奴か分かって、何をして来たのか分かるらしい。
こいつらも裁判にでも連れて行かれて、何もかも看破してやって、死刑判決を受けた組長みたいに、裁判官やこいつらに向かって「後悔するぞ」と言わせたらしい。
そりゃあ悪人には存在して貰うと困る連中で、裁判の証人に呼ばれるたびにマフィアやヤクザから命も狙われるだろう。
『初めまして、魔王様? 確か今の魔王様は海魔の……』
『ええ、クジラ魔王が今の魔王でして、私はその次に代になります』
話が通ったのか通らないのか、とりあえず入村。
『え~、実はこの村でも他の村でも、何でも看破できる奴は生かしておけないと、悪党どもが結集しておりまして、出来ればこれからお渡しするゲートの向こうの世界へ移転して頂くか、引っ越しが嫌な方は逃げ込める場所として取っておいていただきたいのですが?」
ムーミン谷(仮名)の連中でも、目の前に来なければ悪党が何を考えているかまではわからない。
『それはどのような世界ですか?』
この村の連中でも質問したりすることはあるようだ。
『このような一年中春の場所です』
木から落ちて植物人間になった、のび太くんが望んだ本当の天国ではないかと一瞬誤解したが、でも瘴気もあってデカイゴキやら碌でもない生物がいたので沼入り。
地獄があるぐらいだから、きっと天国も見つかるに違いない。
『おお、これは』
転移ゲートはムーミン谷(仮名)の者だけが通過できるように設定。悪人は通行不可。
『常在菌が違うので、最初、水に入ると腹を壊すかもしれませんが、皆さんなら慣れるでしょう』
こちらの菌の方が上位互換、要はこっちの方がキツイ。
『魚も生食は控えて頂いて、火を通してからの方が』
でも川魔は生食前提、寄生虫がきついのだけ焼く。
早速若いのと村長とムーミンノンノンミースニフ(仮名)で冒険の始まり始まり。
王宮
現在、俺らの上には巨大魔王、下には宰相とか偽勇者に影武者国王の死体。
「おいっ、どうすんだよっ、王様やら宰相まで殺しやがって」
うん、自分の生命の危機だったのに騎士団長にドツかれた。
王様の影武者は「こやつらを牢に」と明確に言った。勇者であろうが救世主であろうが、びた一文くれてやるものかと、牢に連れて行って首切って処刑してしまえば済むと思い込んでいたようだ。
宰相の方も、知能制限でも加えられていたのか、魔王を倒して来た奴にレベル90のゴミを当てたら勝つると思ったようだ。
「さあなあ、お前が国王やれよ」
「ハア?」
大口開けて驚いているが、レベル2万と言えばその程度軽い。
「あのデッブデブの姫とでも結婚して、お前が王様な」
「オイッ、ちょっと待てっ」
街中の不良の更生の面倒を見てやるはずの人情警官が一気に王様。ちょっと胃袋が心配だが、分相応を超える働きをしたので王様。
サイケラス王国のレベル1千万のエルダーリッチなど、魔王討伐にも参加したので、永世神聖皇帝でも良いはずだが、プリンセスメーカーみたいに「貴方様のような強いお力で民を導いて下さい」とはならず、生き返った王様が大発狂して「殺せえ~~~~~~っ!!」と泣き叫んでる。
エルダーリッチになると、斬首の斧も断頭台も絞首台も、毒も効かない訳ヨ。
さて、聖国正当政府を立ち上げる前に、聖国のトップである教皇猊下に面会と行こう。魔王も来ている事なので、同行して貰って国教教会に侵攻。
「ホムンクルスを作成、奴らの記憶と姿を奪え」
「サーイエッサー」
いつもの朝礼も済ませてから移動。魔王も謁見場からムリムリムリッと出て貰うと、制圧されていた衛兵なんかも手出し不可能。
全長80メートルもある魔王帯同なので、街中の住民も逃げ惑うばかり。
「イヤアアアアアアアアアッ! どうして街にあんな大きな魔獣がいるのおおおおおおおっ!」
「ヒイイイイイイッ、魔王だあああっ」
馬鹿でも海魔で魔王と気付いたようだ、分かりやすいように首から看板下げて貰って「魔王」と表示して貰った。
やがて王宮と併設してある、合同庁舎みたいな聖国国教教会に到着。
「悪魔めええええっ、入場は許さあああんっ!」
「ああっ、騎士様が聖なる槍をっ」
武僧なのか聖騎士なのか、後ろにムーの白鯨みたいな魔王連れてる奴に「聖なる槍(笑)」でも持った奴が立ち塞がったが、そんなもん無効。よーやる。
「いいからいいから、教皇猊下って悪魔崇拝者だろ? 悪魔本人と従魔にした召喚獣の魔王が来たと言ってくれよ」
本人には確認してないが、教会中枢は全員悪魔崇拝者。極稀にまともな奴もいるが、そいつらは児童性愛者でホモで、男児にイタズラをしまくるジャニさんみたいな連中だ。
要は教会内部は腐り果てていて、馬鹿丸出しで出世競争だけ繰り返して、揚げ足取りばかりしている伏魔殿の悪魔だけで、ヴァチカンと大して変わりが無い。
あっちの方も悪魔崇拝者だらけで、児童性愛者だらけ。まともなのが改革派で「聖使徒ワルフォロメイ派閥」と言うのは狂信者と悪魔崇拝者ばかりではなく、悪魔崇拝者と児童性愛者を追い出そうとしている人々でもある。
まあ全員気が狂っているのは間違いない。崇拝の対象そのものが悪魔だし。
聖国国教教会に、始めて魔王と悪魔が入場。
別にファンファーレで迎えなくても良いから、悲鳴で逃げ惑うのは失礼。
教会内ではまだ一人も殺してないだろうがよ。
「教会案内人でございます、教皇猊下に面会をご希望とか?」
平の役人程度がガクブルのままご案内。鑑定眼でもある奴が、大悪魔で大魔王と出る奴が入場して来たと知ってるのだろう。
「ああ、魔王討伐ってのが終わりましてね、このデカイ海魔が魔王、今は俺の従魔で召喚獣になってます」
「は?」
「前は魔族の転移ゲート閉じて来たと言いましたけど信用して貰えませんで、面会不可だとか。王宮でも信用して貰えませんでねえ、宰相とか言うのがパレード用の勇者出してきまして、レベル90ぐらいのゴミクズが魔王を倒したとか言うんで本物召喚してやると、手も足も出ないで手足引き千切られて全員死にましたよ、ははっ」
コイツも宇宙人でも見るような目に。
「まあ今日は無理矢理にでも面会してやろうかと、どうせ教皇も悪魔崇拝者なんだから「大悪魔が命令しに来た」って言ってよ」
「シ、少々お待ちくださいっ」
真面目な?小役人がすっ飛んで行った。
面会室
魔王の奴は外で待たせているが、窓からデカイ面が見えているので、号令一つで全員ぶっ殺せる。
やがて本物かどうかわからないが、教皇が入室。
「大悪魔様、お待たせして申し訳ありませんでした。何か御下命があるとお伺い致しましたが」
大悪魔が魔王連れて来たから、教皇悪魔崇拝者の本性表しちゃったよ。
「いや、魔王絞めて来たからご報告。前から敵国兵殺しても何しても暗殺者送り込んで来るばっかりで、ホムンクルスにして送り返して来たけど、全部お前の命令だよなあ?」
「滅相もございません、わたくしは貴方様の忠実なしもべ、逆らえようはずもございません」
コイツ鑑定眼持ちだから、レベル12億の大悪魔には逆らえないでやんの、レベル五千万のエルダーリッチには逆らいまくってたくせに。勝てないとわかったら掌返し。
「で? 聖国国教教会としては、魔王討伐済ませて来た勇者だか救世主に、表彰状とかブリキの勲章でもくれてやるって気はあるのか? それとも聖国の宰相みたいに「こやつらは嘘をついております」とか抜かして、パレード用のレベル90ぐらいのゴミクズが魔王を倒したんだとか言い出して、目の前に魔王召喚されて傀儡の王様の影武者ごとぶっ殺されるような真似でもしてみるか?」
「いえ、滅相もございません」
こいつらには俺と魔王と第三騎士団長には手も足も出ない、でも茶にはとりあえず毒入れて来た。今は毒が効くのを待っているようだ。
「でも茶には毒入れて来たよなあ、大悪魔に毒が効くとでも思ったか?」(CV:アノスボルデモード君)
毒入り茶完飲、別に歯にクラゲのスタンドでも生やして吸わせたわけじゃない。第三騎士団長には飲まないように言っておいた茶、俺の腹から教皇の腹の中に移動。
「ぐばああっ!」
即血吐いて転げ回って絶命、コイツが指示したのか、部下が勝手にやったことなのか知らないが、責任の所在はこいつの所にある。
「次」
「は、はいっ」
教皇の子飼いの副教皇も、司祭長も修道院長も修道士長も説明できないで毒殺死。
「悪魔めえええっ! 必ず後悔させてやるぞおおっ!」
「オマエラ、その悪魔崇拝者だろうがよ」
こいつはホモジジイだったのか、大悪魔を罵って来た。
「ホムンクルス、こいつらの記憶と姿を奪え」
「サーイエッサー」
結局、教会内も俺を殺そう殺そうとする物騒な奴ばかりで、聖職者には程遠い連中。
自分が座っている椅子が世界で最高なんだと思い込んでいる基地害ばかりで、それを他人に譲る気など一切なかった模様。
そんな腐った地位なんか欲しいもんかよ、せいぜいホモが幼児連れ込んでイタズラ出来て、相手に訴え出ないように言い含めるか、黙っていられないなら大きくなったら殺す程度の地位。
食事に贅沢して高級酒呑んで、美女か美男の信者はべらせるか、金糸銀糸で飾った衣装着て偉そうにする程度。
織田無道と一緒で何の法力も持ってないし、唱える呪文や文言に何の魔力も載せることもできない。
チベットにいる俺の方が遥かにマシ。そう言えば帰ったら帰ったで、聖使徒ワルフォロメイとか聖天使ジブリルの方も復帰しないといけないんだっけ? そうしないとまた黒い車列とかチベット僧がお迎えに来る。
うん、教会中央の連中は、悪魔崇拝者じゃなくて、清潔で清廉な人物を据えとかなくちゃあね。
敬虔な信徒が選ばれずに、腐った悪魔崇拝者でないと選ばれないとか、どこの悪の秘密結社だよ。
連中には引退して貰って、清潔な人物がなるように手配しよう。
と言う訳で、僻地に追い払われていた敬虔な信者で、現地では「聖人」と呼ばれている人物を呼び出して、霊験あらたかな聖人っぷりを発揮して貰った。
ちょっとパーティーメンバーに加えて、レベル上げとお茶会でもしてやって「パーフェクトヒール」も「死者蘇生」も出来るように。
よく似た人物の影武者に入れ替えられないように、額に「聖なる刻印」なんかも入れてやって、顔からちょっと浮いた位置に正教会のシンボルマークも入れておいた。
これで聖国の王様みたいに入れ替えられたりしないだろう。
疾病対策センター
「ああ、王宮の方で、宰相に絡まれたので殺しておきました」
「え……?」
やっぱりビバンダム姫からは恐怖の対象に。
「傀儡の影武者の王様も、奴の孫とか言うパレード用の勇者もご学友も婚約者も、魔王召喚してやったら粉々のバラバラにされて死にました」
「そ、そうか……」
やっぱりマリーさんみたいに王国奪還を目指していたようで、ロイド君の代わりに俺が「ふきふき」して綺麗にしてやった。
「王宮にいるホムンクルスは全員貴方に従います。第三騎士団長なんかは平民で一般人ですけど、これから重用してやるとレベル2万もあるHENTAIですので、お役に立つのではないかと」
人情警官で戦隊レッドで正義の人なので、出世してもその辺はブレたりしないだろう。
ここでサプラ~イズ、ビバンダム姫から脂肪吸引してやって、多少見れるように。
ビバンダム君ではなくなった姫と、第三騎士団長が恋仲になって、王配としてやって行けるといいんだが?
胃袋のバンディング手術もしてやって、太らない体に。
ストレスで騎士団長の胃袋に穴が開くかも知れないが、ソッチの方はレベル2万の異常耐性でどうにか。
「これは、何とした事だ?」
声までデブい感じが無くなって、日に日に痩せて行く感じの方向で。
「はあ、今まで民のために頑張られた姫に、ちょっとしたプレゼントでして。多少オッサンですけど、第三騎士団長なんか不老不死ですんで、王配に迎えて頂くと更に良いことが」
例えば、レベル12億もあるゴジラかガメラが味方に付くとか、魔王を召喚できたりパーティーメンバーや仲間に出来たり。
二人共腐って行かないように、寿命も千年ぐらいマシマシに。
「それではわたくしの方は一旦故郷に帰ると致します、御用があれば疾病対策センターに、分体が薬など持って来ておると思います」
「待て、褒美などは?」
「はあ、大分と稼がせて貰いましたし、屋敷なども貰っております。サイケラス王国も援助頂かなくとも国民が帰っております、これで十分でございます」
こうして一連の行動は終わった。後は獣人が亡ばないように、ドワーフホビットが滅びる前まで戻って、救い出さなければならない。
サイケラス王国
こっちも過去の住人が戻って来ると言う訳で急遽引っ越し、屋敷を貰う定番のクエストで、幽霊屋敷になっていた貴族屋敷を除霊すると言う奴で、150体に及ぶ呪いの塊みたいな幽霊を全部沼に嵌めて除霊し「びっくりするほどユートピア~~」で全裸でベッドの上を飛んだりして除霊。
従業員はホムンクルスの体に定着させて、家ごと殺されて凌辱されて滅ぼされる前に戻してやり、20体以上が合体した主人の家族一同も、バラして沼に嵌めてホムンクルスの体に。
まあ、綺麗事しか言えないが、成仏するまでは千年ほど病気もしないで生きられるから、帳尻は合うだろう。
「タカシさ~ん、お客さんで~す」
新妻と言うか幼な妻のリタちゃんがお客さんをご案内。
市民が驚かないように偽装はかけてあるが、青々とした肌で見事な巻き角まで生えている魔族。
その上、鑑定してやると「邪神」、一体どういうことだよっ。
邪神は「先にやらせて貰ってるよ」とでも言いたげに、ワインやチーズやらハムまで並べて一杯やり始めていた。
「やあ、魔族と魔王が世話になったね。聖石を食らって死んだ奴らまで生き返らせて貰って、私には干渉してやれないことばかりだ」
「はあ……」
席を勧められて、邪神の手酌でワインを注がれた。地球産のワインだが家で扱って取り寄せているのとも違う、手土産にわざわざ地球産のを持って来てくれたようだ。
多分十三年物とか、普通飲まないと言うか、金があっても権力が無いと飲めない奴だ。
「君達が超越者と呼んでいる神、私達にも手に負えない上級者でね、一部種族を滅亡させた魔族は処刑執行、私も共に消える所だった。そちらに異存が無ければ、邪神の地位も君に譲りたい」
「イエ、オコトワリシマス」
常時魔界を見て居てやれないし、魔王経由でしか認知…… できる、今は俺が魔王だった。
普通ここは「邪神の加護」が貰える程度のはずだが、いらない物みたいに邪神の地位を押し付け合い。
マンション管理組合とか消防団から村祭りの世話役とかPTA役員並みに押し付け合い。
「では、せめて亜神として魔族も見守ってやって欲しい」
そちらは強制執行、職業が亜神にされて称号にも「魔族の守護者」「邪神の加護」が付いた。人類とかこの国の連中には反逆行為で背信行為。
「はあ……」
「おつまみ宜しかったらどうぞ~」
リタちゃんが女房面と言うか現タイトル保持者なので、ツマミなど追加して行ってくれる。
「おお、茹でたソーセージに地球のフルーツまであるではないか、これは楽しい」
邪神のオッサンが飲茶食った海原雄山みたいな事を言い出した。
これも地球産、シャウエッセンとかアルトバイエルンとか、現地らしき地名は付いてるが全く関係ない奴だ。
アメリカみたいに、ホットドッグのソーセージまで牛じゃない。でも付け合わせにザウアークラウトは付いてた。
この国のリッチヴァンパイア連中の女房も婚約者も、結婚式の時の記憶まで持ってるので、リタちゃんがタイトル保持者で確定。
周囲のオバハンたちも、自分達が生身の体で生き帰れたのは、俺の過去改変のお陰と知っているので、嫁はん的ヒエラルキーでは、リタちゃん>リッチヴァンパイア連中の嫁はん>超えられない壁>一般人嫁はん、となっているので「勝利者」。
もう周囲からも神扱いで鼻高々なので、その地位を譲ったりしない。
戦前からの幽霊屋敷に住んでいるので一部から怖がられているが、従業員はホムンクルスになって貰って、ここで働いてくれている間は自由に生きられる。
元家主も本館で同居、ここは別館だがそれでもデカイ。
敵対していた貴族家と言うのはクズだったので、滅んでもらうと何人か成仏した。
王家の連中も、リッチヴァンパイアは救国の英雄のはずだが、ジジイの王様が「殺せ~~~っ!」と怒り狂ったので、腐った王様宰相やら大臣文官武官、全部沼入りして貰って綺麗にした。
第一王子と取り巻きも腐っていて第二王子も息子もダメ、国王の椅子にも権力にも何の興味も無かった第三王子でやっとこさオーケー。
狭量じゃないので連中に勲章と感謝状と貴族の地位の復活と、元の地位に戻してくれた。
聖国付き武官やら文官だが、元の任地にまではいかなくていい。家族とキャッキャウフフしていれば給料が出る。
街中も全部清潔にした、もうレベルや経験値はいらないが、泥棒強盗レイプ犯に無能は死なせてやった。
小一時間ほど邪神と会話したが、ヒントを残して行ってくれた。
「超越者も言っていたようだが、遺伝子を残して消えて行く分には絶滅扱いにはならないようだ。そちらの獣人もドワーフもホビットも、混血しておくと失われたとはならない」
なんかメルトランディーのミリアさんと離婚していても、混血してミレーヌさんでも残しておくと「平和の象徴」として扱われる模様。
「川魔の連中は混血までは難しいが、別の星で過ごせるよう祈っている」
邪神は席を立って帰る支度をした、転移ゲートとか関係なく移動できるのだろう。もしかすると出口のゲートは邪神が魔族を救おうとして、同じく処刑場所になった人類領域に開いたのかも知れない。
「うむ、話せて良かった、邪神の地位が欲しければ何時でも言ってくれ、今後も魔族を頼んだぞ」
「ハイ」
どうやったのかは分からないが、邪神は何も破壊せず帰って行った。
強制召喚の時にも女神にも神にも会わなかったのに、珍しいこともあるもんだ。
エルフの里
「え~、魔族の転移ゲートを閉じて、魔王も倒して帰って参りました」
俺はエルフの里では神なので、魔王召喚しないでも信用して貰える。
「ああ~~、ついに神様が魔王をお倒しになられた~~」
お婆ちゃん泣いちゃってるので特に否定しない。救世主から出世して既に神。
「魔王は星の力で何度でも再生する奴だったので、従魔で召喚獣にして和平を結んできました」
「救世主(メシア)様がついに魔王を屈服されなすった~」
長老古老も泣いてしまっているが、魔王も「私、もっと屈服できるよ」で俺が新妹魔王、幼馴染の銀髪系関西弁キャラが「うちにもおんなじことして」と言ってくる状態。
「奴らも少数民族を滅ぼしたことにより聖石なる物を撃ち込まれ、星ごと浄化されて死にゆく運命でしたが、反対側にゲートが開きこの世界にやって来たと申しておりました」
「ほう、奴らにもそんな事情が?」
エルフは多少知能が高いので、人類みたいに「いい気味だ」とは言わない。
「そこで聖石を打ち込んだ超越者と対面し、魔族が滅ぼされる理由を問うと、少数民族を滅亡させたのが原因とわかりました」
「左様ですか」
「邪神がヒントを残して行ってくれましたが、多種族が交配して遺伝的に交雑すると、その種族は滅亡していない扱いになるとか」
「ハア……」
遺伝子関連の知識はエルフにもないので、色々とぶっちゃける。
「初婚はエルフの純血を保つためにエルフ同士の結婚が望ましいでしょうが、結婚に失敗したり破局した後は、人間でも獣人でも自由に交雑して子作りしてください」
「はあああっ?」
エルフの掟とかには反するだろうが、まだ綺麗な外見のオネエサマと言うかオバハンには、マリオ君相手に腰振って貰ったり「今日は大丈夫だから」と騙して孕みやがった連中みたいにして貰う。
「ヒャッホオオオーーーー!」
一部のオバハンからは歓喜の声が…… 嫌いな夫で「夫デスノート」から解放されて「触られるのも虫唾が走る」ような男と別れて、クリスチャンみたいに離婚禁止堕胎禁止の掟からの解放。
盗んだバイクで走り出したり、校舎の窓を割って行かないでも、掟より上の「神」が言ってるのでオッケー。
適当に強者男性を選んでおけば、相手誰でも孕み放題。エルフの中から強者男性を取り合わなくても交尾し放題。
適当に子ども作っておけば、後は里の資金で養って貰える。獣人とかドワーフ相手が無理なら、外で俺が育てる。
既にマリオ君の子を孕んでいて、産まれてくるのは明らかにハーフエルフなのだが、どうやって言い訳するつもりだったのか? 夫でも長老でも言い負かせると思っていたのか、いつもの「ごめんなさい」「寂しかったの」「レイプされた」で逃げるつもりだったのか、多数のオバハンに言い逃れと離婚の権利と出産の自由を与えてしまった。
エルフの里の掟や風俗は今後崩壊する。
ドワーフの村
ま~た過去に戻って滅びたはずのドワーフの村。
人間の立ち入りなんか許されるのか、いきなり矢が飛んできて殺されるのかは知らないが、ムーミン谷(仮名)みたいに無防備で入村。
「ゴルァアアアアッ! 人間が何の用だあああっ!」
「さっさと消え失せろおおおおっ! でないとドタマカチ割るぞおおおっ!」
結構交渉が決裂しているようで、はなからこの対応。
「はあ、流浪の商人でして、必要な物があればお譲りしようかと」
ドワーフの心は「買える」アダマンタイトだとかオリハルコンがあれば買える。
ミスリル程度でも安ければ買える、高級な金属出しときゃあ腰が抜けて、キツイ蒸留酒でも渡しときゃあゴキゲン。
村の入り口で店開きして、オリハルコンだとか魔獣の素材とか、地球産のアメリカ製の1ドルもしない缶ビールからウィスキーにラム酒、試飲会でも開いて、毒が入ってないのを示すのに自分で飲むと宴会の開始。
こっちも瘴気が入って飢饉だったようで、魔獣肉とか野菜串に刺してジュージュー焼いてBBQ開始すると、子供まで寄って来て食った。
「いい酒持ってるじゃねえかよ、何で早く言わないんだ」
問答無用で入場禁止だったはずだが、アルコール分90%のテキーラでもショットグラスで飲むとすぐに出来上がって、70%ぐらいあるウォッカでも飲むと「整う」ようで、自前のカップに手酌してゴックゴック飲み始めた。
ここの女は髭生えてるような伝統的なドワーフではなく、最近流行のロリドワーフで、小柄属性持ちで髪の量が多いだけで、異種族交配には便利そう。
あべみかこのような、ミニマムAVに主演できるレベルで貧乳小柄属性、全員身長130センチ以下なので、離婚歴もあるオバハンでもロリ属性満載。
やったね、明日はホームランだ。
「ハア~~、ユッコイシュョ~~、ドッコイショ~~、ヤーレンソーラン、ワッショイ。ハアア~~、ドスコイ~~、ドスコイ~~~(ヘブライ語)」
宴会芸として村中の瘴気を払ってやると大ウケ、アダマンタイトでもヒヒイロカネでも、ご挨拶にインゴットでやると取り合いで大喜び。
流石のドワーフにでも倒せないレベルの、魔獣の素材でも渡すと何か泣いちゃう職人まで出た。
「兄弟よ、お主はこの村に留まれ、嫁もやろう、うちの娘などどうか?」
差し出した物が高級過ぎて既に「兄弟(きょうでえ)」。でもここでも「スナフキン属性」の人物。
酒も飲み放題で肉も食い放題、貧しすぎる村で北朝鮮並みに餓死者が出るほどだったのが、腸詰で冬越し出来て干物やら燻製も野菜も大量。
食い物は地球から輸入してます。
一応銀貨や金貨も貰ったが、昔みたいに銅貨で肉が買えて、酒も小銭で買えるのでお祭り騒ぎ。
定番のマヨでもプリンでも、甘いもの大量に出してやったので、オバハンも大喜び。
でもまだ心を許すと、大魔王で大悪魔だから信じちゃいけない。ロリドワーフ誘拐されて性奴隷にされてしまうよ。
アレ?大魔王じゃなくて亜神になってて「邪神の加護」まで付いてる。あいつら何しやがった?
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