第3話 完全回復

 冒険者ギルド


 ほとぼりが冷めたようなので武具や魔獣を売りに行ってみるテスト。換金できれば敵国の金貨銀貨も両替。


 向こうも「そんな人いませんでした、そんな事件存在しませんでした」の綺麗事で纏めてくれたので、研究所とか武具を接収に来た奴らの関係者にも「そんな奴存在しませんでした」と返答してやった。


 ガチで聖国と殺し合いになって敵国隣国に逃げる、聖国王家貴族全員一人残らずぶっ殺す、もっと別の国に逃げる方法なんかもあったけど、今の生活基盤で魔族殺すための細菌バラ撒いてくれるのはここだったので、この国のギルドか闇買い取りで売れるのか聞いてみる。


 まあ「引退寸前のジジイじゃないか、消え失せろ」だとか「家でママのおっぱいでもしゃぶってろや」が聞けるかと思ったが、レベル八千万の奴に戯言ホザける奴はいなかったのか、足を出して引っかけるような真似をする奴もいなかった。


 いたら聖国の暗部の連中が吹き矢で始末してくれる。



「勘弁してくださいっ、もっと頑張りますからっ、首にだけはしないでくださいっ!」


 お? 流行りの追放物か? 荷物持(ポーター)ちの少年が土下座謝罪までしてるのに、首になりそうになっている。


「へへっ、マリオ、お前はもうおしまいだ、ポーターの代わりなんかいくらでもいるんだ、首にしてやるよ」


 頭悪そうな冒険者が、サディストの顔で少年の後ろ頭の上に足を乗せて、得意絶頂でイキっている。


 子供の方は細菌研究所でも話題に上っている、病気の妹を抱えて頑張っているマリオ君らしい。


「ああ、俺が雇うよ、色々物知りの子みたいじゃないか、そいつらの倍出す」


「えっ? 本当ですか?」


「ああ、俺もこれから冒険者登録する所でな、色々教えてくれ」


「ぎゃはは、もう引退寸前のジジイがこれから登録? 馬鹿言ってんじゃねえぞ」


 マリオ君に足乗せてた馬鹿が笑い出したので、聖国の暗部も吹き矢用意してくれたが、まずレベル八千万の本気オーラを食らわせてやる。


「ひいいいいいっ!」


 馬鹿は泡吹いて昏倒した。


「何言ってやがる、マリオは俺達が雇ってるんだ、移籍するってんなら払うもん払いやがれ」


 馬鹿その二は、首にすると言った奴の移籍料が欲しいらしい。


「今首にするといったな、土下座してまで雇い続けて欲しいと言ってる少年に、足乗せてイキって首だと言ったな? そんな奴に移籍料? ふざけるな」


 そいつにも威圧かけてやると、泡吹いて昏倒した。多分、身体が麻痺して普通に動ける日は来ないだろう。


「さて、マリオ君だったか? まず契約料に金貨二枚だ」


「えっ? こんなに貰えませんっ」


「いいんだ、それぐらい儲かるから。これから武具やら魔獣やら売りたいんだけど、ここでいいかな? 売り方を教えてくれ」


「はいっ、ギルドで売るにはまず冒険者登録して、買取カウンターで」


 マリオ君に案内されてまずは受付へ。


「さて、冒険者登録はこちらで良いかな?」


 スマイルゼロで欧米のマクドぐらい態度悪いが、三十路以上の受付嬢の前で登録。


「こちら記入してください、試験は三日後です」


「そうか、こっちの少年も受験できるかな? 受験料は払おう」


「そんな、俺なんてまだ合格できません、試験料だって無駄に……」


「ああ、いいんだ、小銭だし、二日ほどパワーレベリングして上げるよ」


「え?」


 銀貨十枚とか本当に小銭なので出してやる。


 こちらにはパワーレベリングと言う概念がないのか、「卑怯」とか「寄生」と呼ばれる行為は受け入れられないらしい。


 忍者か料理人みたいに下に教えたら自分の価値がなくなるのか、こすい価値基準で全体のレベル上げとか考えない。


 なんかの声優アワードで「子供の役を女の子の声優にやらせるから、若い奴が育たないんだ」みたいに、野沢那智さんが良い~~~声で怒っていたので若いのを育てる。


 受付嬢にレベル八千万で種族がエルダーリッチ、暗黒魔法使いで職業がネクロマンサーだと正直に提出すると、無愛想な顔が青くなった。


「ヒュッ!」


 先日敵国兵を二万人ほどぶっ殺した張本人だとバレたので「嘘はいけません」とか「虚偽報告は犯罪です」とも言わなかった。


 今時鑑定の水晶が光り過ぎたりぶち割ったり、大人げない事をするのも憚られた。


「鑑定機とか通しますかね? それとも鑑定眼持ちいます?」


「い、いえ…… 鑑定眼持ちなら……」


 多分、二桁しか出ない鑑定機だと、下二桁なんかどんな数値か覚えていないので雑魚認定されるんだろう。


 鑑定眼持ちが来たら、ギルドにレベル八千万のエルダーリッチがいて腰抜かしてた。



「それじゃあ、敵国兵の武具二万人分と、魔獣十万匹分の死体があるんだけど、ギルドで受けられる一日の許容量ってどのぐらいある?」


「は……?」


 さすがの受付嬢でも数値がおかしすぎて認知できない模様。聖国の兵士暗部暗殺者数千人分もあるよ。


「か、買取カウンターでお確かめください」


「ああ、そうしよう」


 買取カウンターでもっかい同じことを聞いて、一日に受けられる許容量を聞いた。


 細菌研究所村の周囲にも沼を常時展開して置いて、オークだのハイパーボアの肉は食えるから食堂のおかみさんに死体渡して、解体して料理にして出して貰ったり、家に持って帰って貰って欠食児童に食わせたり、内臓肉の腸詰なんかは売り払って、小遣いや冬越しの食料にして貰ってる。


 月に一度ぐらいは地獄猪とかエクスキューショナーボア(蛇)の巨大高級肉が掛かるけど、その時は総出で解体して職員で分配して貰って、掃除婦の叔母さんとか洗濯の叔母さんにも持って帰って貰って、腸詰なんかは売る。


 但し、血の腸詰は美味しいらしいので、酒のつまみに出して貰っている。


「魔獣十万匹と、敵国の装備だけど二万人分、どれだけ引き受けられる?」


「十万匹……」


 こっちのオッサンも「馬鹿言ってるんじゃねえよ、冗談は顔だけにしときなよ」とは言わなかった。


 エルダーリッチに歯向かうと一瞬で地獄落ちで、暗殺団みたいに精気吸われて干からびた死体にされるのは認識している模様。


 カウンター山積み芸をしてやろうかと思ったが、即奥に案内されて、腐ってもいないデカイオーガだのトロールを出してやると腰抜かしてた。


 まず挨拶代わりにオーガ数匹とトロール数匹。敵国の剣とか槍数百本預けて査定待ち。


「査定にしばらく掛かりますので、試験後にでもお出で下さい」


 即冒険者採用かと思ったが、形式的に試験は受ける必要があるらしい。預かり証だけ貰って退散。


「レベル差有り過ぎるんで、試験官爆散させちまうかも知れないなあ」


「ひいっ」


 概算で金貨数百枚。これからギルドに来るたびに数百枚。他国に持ち込めばその国の金貨が手に入る。


 この国逃げ出すことになるかもしれないから、敵国金貨は持っておくことにした。



「マリオ君、儲かったからチップを上げよう」


 金貨数枚渡してやると、まるで今まで金貨なんか見たことが無いような顔で受け取った。


「困ります、こんなに」


「良いって事よ、細菌研究所でも妹思いのポーターっていやあ、飯時の話題に出るぐらい有名なんだから」


「え……?」


 細菌研究所と言えば、街ではやっぱり悪魔の巣窟で人非人の集まりだと言われているのか、驚いた表情を返された。


 その人非人の方が金持ってて、常識人の振りをしているギルドの冒険者連中の方が悪魔。


「へへっ、旦那、儲かったんなら俺らにもオコボレを下せえ」


 二万人殺しの化け物なんだと認識出来た連中は、入金予定の金貨を欲しがった。


「おお、今日は俺の奢りだ、金貨二枚ぐらい預けとくから、ニ三日かけて全部飲んでくれ」


 まあ元居た世界換算すると二百万とか五百万ぐらいになるから、冒険者が安酒と肴どれだけ飲んでも無くならないはずだ。


 店に置いてある高級酒全部開けても、残りをガメておくと店の方が儲かる。


「ヒャッホーーーッ!」


「旦那、ゴチになりやすっ」


 引退して金も稼げず、飲んだくれては追い出されているジジイとか、酒で体を壊してもまだ飲んでいる飲み介でアル中とか、払いができないようなのまでいたが全員奢り。


「マリオ君も食えるだけ食って、お土産に持って帰ると良い」


「は? はい……」


 ポーターの食糧事情は知らないが、多分食いっぱぐれていて、欠食児童が家にもう一人いるはずだ。



「こう見えても儂も若い頃は……」


 お爺さんが何か語り始めたので色々食いながら聞いてみるテスト。昔は銀等級冒険者でブイブイ言わせていたそうだが、片足食い千切られてからは引退して、酒飲んでマイコーみたいに痛み止めに阿片食って生活しているそうだ。


 兎に角冒険者は体が商売道具なんだから、怪我だけはしないよう大説教された。


「あれから落ちぶれてよう、仲間だった連中も見向きもしないで、おおっ」


 お爺さん泣き上戸なのか泣き始めちゃって、カップも空だったので酒を注ぐ。


「まずまずまず、交通事故交通事故…… そんな奴らキニシナイで飲んで飲んで」


 駆けつけ三杯で飲んでもらって、緩いエールでは足りなさそうなので、酔わせるのに蒸留酒でキツい所から飲んでもらった。


 教育料に金貨三枚ぐらい渡して置いて、足りなくなったらまた声かけて貰って、という話になって、マリオ君が食って飲んで眠そうにしてたので退散させて貰う。


「やあ、大将、初心者冒険者なのに色々教えてもらったよ、今日はこの子の方が眠そうだから失礼するよ、また一杯飲みながら教えてくれ」


「そうか、すまなんだのう」


 お爺ちゃんやっぱり泣き上戸、金貨三枚ぐらいあったら半年は遊んで暮らせるだろう。



「さて、試験は三日後だから、妹さん治しに行こうか?」


「え? 妹を?」


「ああ、暗黒魔法で申し訳ないけど、どんな怪我でも病気でも治るよ、嫌がる人は多いけどね」


 聖国内で、教会連中でも、暗黒魔法使いのエルダーリッチとか「出て行けっ、背教者めがあああああっ!」と罵られるが、暗黒魔法にも治療魔法はある。


 レベル八千万もあるので全種類の治療魔法も使えて、スキルとかもカンストしているので、あらゆる怪我も呪いも治せるが、ここ聖国では受けようとする奴はいない。



 表に出ると案の定、俺の懐の中を狙っている連中が待っていて、ニヤニヤ笑っていたが、上着のポケットに金入れておくと、ポーターのクソガキ共が全部スって行って空になってた。


「よう旦那、景気がいいなあ、あんなクゾジジイにまで金包んでやって、どうせ飲んじまうのによう」


「おお、いいって事よ、飲んで死ねるんなら幸せなこった。お前らにもやりたいけど、上着に入れてた金、ポーターの餓鬼どもが全部スって行ってな、もうないんだ。三日後の試験の日に金貨で何百枚って出るそうだから、その時に厄払いとかで配るから待ってくれ、今日は素寒貧だ」


 アイテムボックスにもあるがそっちは生活費。どうでもいいあぶく銭で身につかない金は、ギルドで配って細菌研究所の勤務医にもババアにも配って、貴族のお爺さんに貰った褒章とやらも、下の者に渡す分まで下賜されてるから全部配る。


「じゃあまた、旦那。おい、マリオ、てめえは駄目だ」


 現在マリオ君は、俺が契約料に渡した金貨二枚と、チップに渡した金貨三枚ぐらい持ってる。


「ああ? さっきの爺さんとマリオ君は勘弁してやってくれよ、今日は渡せないけど三日後な」


 どうしてもマリオ君とさっきのお爺さんにカツアゲして、ボコって金を奪って飲み食いしないと体面が立たないようで、もう口がそうなっているのか、酒場に繰り出すことになっているのか、売春宿とか悪所に行くことになっているのか? マリオ君だけ連れ去ろうとした。


「へへっ」


「悪く思うなよ」


 多分、衰えているお爺さんからは、外でボコすか金をスって奪うつもりのようだ。


「悪いなあ、三日待てないなら今死んでくれや」


「あああああっ!」


『生きた体寄越せ~~~』


 奴らの足の下にも沼を発生させて地獄行き。堪え症がない奴らで脳みそも無いから、俺が二万人殺した本人だとか、魔族数千万人殺した奴なんだと理解できなかったようだ。


 聖国の暗部の連中も来たようだが、吹き矢吹いて昏倒させるのも間に合わず、拘束して牢屋に入れるのも間に合わず、問答無用で沼の底。


「一杯入ってツマミも食って、いい気分だったのに気分悪いわ。何で俺の目の前からポーターの子連れ去って、ボコって金だけ盗めると思い込んだ? 俺は手加減ってのができないからな、このまま沼に漬かって死んでくれ」


「助けてええっ!」


「いやだああああっ!」


『脳みそ~~~~』


「ホムンクルス作成、こいつらの脳みその中身と姿形を奪え」


「サーイエッサー」


 数人の馬鹿者を殺して百人に警告する。何で俺ごと路地裏にまで引き込むまで我慢できなかった?


「ああ、後ろの奴ら、お前らにも三日後には金をやる。でもそこの爺さん殴って金奪った奴らは、こいつらと同じで沼に嵌って死んで貰う、いいな」


「へ、へいっ、旦那」


 それでも物事を理解できない馬鹿はいるので、お爺さんの周りにも沼を発生。家はあるのかホームレスなのか、寝ている間に襲撃しようとした馬鹿は全員沼の餌食になって貰った。


 ゴミみたいな経験値が加算された。マリオ君は同じパーティ扱いにしたのでレベルが上がった。


 ギルド前で堂々の殺人技を行使したが、聖国からも「そんな奴は最初からいなかった」「本人が帰って来ている」で納得してもらった。


 受付嬢とかギルドマスターらしき連中も見ていたが、怖すぎたのか不問にしてくれた。


 何ならギルドの中身、善人以外全員ホムンクルスにしても不自由はない。



 マリオ君ハウス


 案の定掘立小屋かバラックレベルの貧しい家、これでも家賃を取られているというから驚きだ。


 隙間風は吹き抜けているからカビなんかは繁殖してないだろうけど、湿気も外気温も素通りなので、その妹さんが生きているかどうかは分からないレベル。


 もし「これがうちの自慢の妹です」と言って、干からびたミイラ見せられると、口を合わせて生きている人間として扱ってやれるか自信はない。


「リタ、帰ったよ、ただいま」


 へんじがない、只の屍だったら怖い。


「おにいちゃん?」


 返事はあった、どうも生きているようだ。


 部屋が暗いので蝋燭に火を灯そうとしていたが、その前にライティングの魔法。


「ライティング」


「そ、そんな高度な魔法っ?」


 普通の生活魔法だ、魔法の才能が無くても使えるようにしてやろう。


「何、明日には使えるようにしてやるよ、パワーレベリングに連れて行ってあげる」


「お、お客さん?」


 リタという子を見たが、酸で顔面をやられていて両目失明状態。巨大蟻か酸のブレス吐く奴に首元や両手の先までやられている。


 肺の中まで焼かれているのか、常時ゲホゲホ言っている。顔を見られるのが恥ずかしいのか、自分の手で隠した。その手も溶けてるじゃないか?


「いかん、今すぐ手術(オペ)の準備をっ」


 ブラックザンクや料理界のブラックジャック味沢匠として「お前さんは本当に妹を助けたいのかい?」「一生かけてでも払うっ」「それが聞きたかった」と言う訳で、悲惨な状態で両目失明で両腕欠損とか、鬼滅の刃の初期設定状態ぐらい酷い状況の妹さんを助ける。


 両手まで酸で焼かれているので、多分指までくっついて先の方は溶けていて骨まで見えている、子供の頃の野口英世状態。


 よくもまあここまで酷い状況の子供を今まで生かして来た。マリオ君と言うのは天使か何かか?


「ああ、今日からマリオ君をポーターに雇うことになったんだ、君もすぐに治してあげるよ」


 妹さんを多少浮かせてダメージを調査、小さい頃に酸を浴びたようで、多分その時にご両親も殺されて、幼年学校からマリオ君が帰って来た時には変わり果てた姿になっていた模様。


 以後子供であるのに一家の大黒柱になって、働いて働いて妹も食わせて来た。あれ?目から汁が……


「ハアァ~~、ヨッコイショ~~ドッコイショ~、ヤ~レンソ~ラン、ワッショイ。ハアア~~、ドスコイ~ドスコイ~~(へブブライ語)」


 暗黒魔法の文言で治療魔法開始、ほんの少し相撲甚句に似ているがキニシナイ。


 昔のどこかの大使館からの表彰状レベルで表彰。「ヒョーショージョウ、アンタハー、ガンバリマシター」と言う訳で、ほぼ全身作り替えるぐらいの勢いで修復開始。


「完全回復(パーフェクトヒール)っ!」


 狭い平屋の掘立小屋の中で、黒いもやや瘴気が出て、何とまあ悪魔が降りて来て修復。


 これが聖魔法とか白魔法なら、ビカビカビカ~と光って治るのだが、効果は同じなので気にしないで欲しい。


 こんなもん教会の神父の前で披露すると、宗教的に他人を傷つける刃物を持つことを禁止されている奴らに包囲されて、悪魔の使いと認定されて二段三段重ねで斬りかかって来られる。


「あっ? ああっ、あああああああああああっ?」


 非常におとなしい、心まで折られていて大きい声なんか出せない少女でょぅじょが、とんでもない大声出して、目が見えるようになって居るのと怪我の数々の痛みが消えているので叫んだ。


「リ、リタ……」


 マリオ君の方も驚いて、まるで神の所業でも見たような顔して驚いている。悪魔の所業だけど。


 細菌研究所のレベル千以上の連中なら全員出来るのだが、隔離されているので町や村に行って一般人を治して歩くような聖人作業は許されていない。悪魔憑きだし。


 妹さんの方も、エヴァ初号機レベルで眼球修復され、見えるようになった目で俺の方を見て、目の前に神でもいるような顔されて驚かれた。


 無断で家に入って来た汚いオッサン扱いされないで済んだ。


 JSぐらいの子供なので、お兄さんいないときに屋内で会話しただけで事案発生レベル。「電気会社の方から来ました~」とか「放射線の測定です~、お母さんお父さんは?」と聞くと、エロマンガと同じなので即タイホ。


 もし「お父さんお母さん、儂の為に生オナホ育ててくれてありがとう」という裁判風景でも描いて、レイプ被害に遭った両親を挑発するエロマンガ描くと、家に警察がやって来て何でこんなもん書いたか事情聴取されて「二度とこんなマンガ描いたりしません」と念書とられて、無罪放免される代わりにかなりの生活制限が付けられる。


 屋外でも声掛け事案発生で、すぐにパトカーがやって来て即タイホされるか、アメリカならSWAT派遣されて「フリイイイイイイイイイイイズッ!!!」と叫ばれて、テイザーでの制圧省略してボッコボッコに殴り倒されて蹴られ、銃の先っぽを突き付けられるか、銃口をおフェラさせられて射殺されるまである。


「いやあ、細菌研究所の連中なら全員出来るから大したことじゃない、驚かないでいいよ」


 でも目を見開いて、神を見るような目で驚いているのは辞めてくれない。


 冒険者のポーターだったら、白魔法とか見ているので驚かないだろうが、失明や欠損まで治せる奴はいないし、このぐらいの集落だったら治療師よりまじない師ぐらいしかいないから、どのみち奇跡の出来事なんだろう。


 治療費用も大聖女の治療受けると金貨数十枚取られるから、お貴族様以外には不可能。


 でも研究所にいるオバハンから「うちの子を助けてやっておくれえええっ!」というのはよくあるので治してやっている。


 細菌研究所なら二十四時間営業なので誰か起きている。深夜に子供が熱を出してとか、旦那さんが梯子から転げ落ちたり、農具で重傷を負うのはある。



「か、神様……?」


 いや、神様じゃないよ。一番遠い存在でエルダーリッチとか言う、ヤクザな種族にまで落ちぶれ果てている。


「いや、最近魔族を大量にヤっちゃって、凄いレベルが上がっただけだ」


「うわああああああああああああああああああああああああああっ!!!!」


 治った本人じゃなくて、マリオ君の方から爆発するような大声で泣かれてしがみ付かれた。


「あんなに苦労したのにっ、どんな薬でも治らなかったのにっ、何度も騙されて治らない薬掴まされてっ、それでもエリクサーが欲しくて何度も買ったのにいっ!」


 エリクサーレベルになると小銭では買えないし、それでも買おうとして何度も騙されて、大金払わされて偽薬を掴まされたんだろう。


 そいつら全員沼に嵌って貰おう。全員死刑決定。


 中国映画の「薬の神じゃない」の元ネタみたいに、著作権違反のインド製偽薬買って来さされて、病人の団体の為に無報酬で大規模購入。確実に当局に逮捕される案件に首突っ込んだ善人ばかりじゃなくて、映画の途中に登場したような詐欺師に騙されて来たらしい。


 もうオイオイ泣き始めて、妹と抱き合ったり、二人がかりで感謝されたり、結構な回数感謝されたが、それでも泣きやまないでオイオイ泣かれた。


「おにいちゃんっ、こんなことがあるなんてっ!」


「リタッ、リタッ、リタ~~ッ!」


 イスラム的か神に感謝する祈りまでされて、こんな善行を受けたんだとか神に報告されて、そちらに行ったらこんな善人がいたので、多数の乙女で迎えて欲しいとか、色々感謝された。


「もう俺達には、この感謝の代償を払うことができません。(教会で金貨数十枚程度)妹とも話し合いましたが、俺たち二人の人生を奴隷として捧げます、どうかこの忠誠を受け取ってください」


 なまら重々しい感謝のされ方をして、残りの人生全てを奴隷として差し出すとか誓われてしまった。


「いや、いいよ、オジサン研究所でも良い~~話聞かせて貰ってさあ、病気の妹さん抱えて頑張ってるポーターの子がいるんだと聞いて、研究所員全員で頑張れたんだ」


 俺やら王国からの無茶振り聞いて「ハア?」とか言ってたけど、良い話聞いて頑張れたのは事実。


「でもっ?」


「いいんだ、ほら、鍛冶屋の親父は弟子工取って仕事覚えさせたりするじゃないか、それと一緒で支度金みたいなもんだ、気にせず受け取ってくれ」


 町や村にある鍛冶屋では、ちょっと熱でボーっとしてただけで、鍛冶用のハンマーで手を殴られるぐらい厳しいらしい。多分サディストの言い訳。


「ああ、貴方様は神のようなお方」


 妹さん、もう目付きがイカれちゃってて、アッチの世界にでも行ったみたいに、新興宗教の信者みたいな瞳孔開き切った様な目付きになってしまい、涙が止まらないのか、目を閉じないので涙が流れ続けているので怖い。


 職質受けた時に「このオジサンとどんな関係?」と聞かれた時「このお方は神のようなお方で、私の目も心の病も全て治して下さった方なのです」とかホザかれると、事案発生で警官に取り囲まれて即タイホされてしまう。


「弟子として一生お仕えさせて頂きます」


 結局小一時間ぐらい泣かれて、兄妹で抱き合ったりして、オイオイ泣かれて感謝され続けた。



 それからお土産の食い物出して食べたり、マリオ君の方は現場で腹一杯詰め込んで来たので、妹に「おにいちゃんばっかり」と怒られたり泣かれたりしたが食った。


 ツイートであったように「酔って帰って来た時は、一度でいいから頭にネクタイ巻いて鉢巻きみたいにして、千鳥足でふら付きながら、寿司折り持って帰って来て欲しい」というリクエストがあったが、そのご希望なども叶えてから食った。


 ここでお約束として、マリオ君を追放した冒険者パーティーが、生意気だからと襲撃しに来て、人質に取った妹さんを殺したり、放火して家ごと焼くのがお約束なので、河岸を変えるためにも家に誘った。


「今夜あたり、追放してゲラゲラ笑ってた奴らが、ここを襲撃しに来て移籍料を取ろうとしたり、逆らうと放火して妹さんが危ないから、一旦ウチにでも来るかい? 明日再集合とか面倒だし」


 他のお約束としては、貧しい兄妹に貴族式の屋敷に来てもらって、デカイ天幕付きのベッドでびよんびよんして貰ったり、風呂を見て驚いて「風呂に入るなんて初めてだ」とか、暖かい湯に入って石鹸使って体を洗ったことが無い二人を、風呂に入れたりする実績も解除しておかないといけない。


 多分、腐った冒険者たちなので、気絶させられて泡吹かされたので「面子が立たない」とかホザきながら襲撃しに来る。


「え? いいんですか?」


「ああ、明日はそのままレベル上げ、パワーレベリングしに行こう」


「はいっ」


「妹さんの方も、長く寝ていたから歩きにくいだろうけど、暖かくしてマリオ君におぶって貰って一緒に行こうか?」


「え? 私まで?」


「まあ、ピクニック気分で行こう」


「はいっ!」


 妹さんの方は兄に迷惑をかけるので乗り気ではなかったようだが、マリオ君の方は力強く頷いたので、明日はピクニックかバーベキューになった。


 研究所の方は休暇届け出してある、戦勝記念から数日は全員休み。二日酔いで使い物にならない奴から、昼まで寝て数日分の睡眠取ってるのも多いから休み。



 その夜、案の定襲撃に来たクズ共だったが、留守を放火される前に沼に嵌って貰い、地下から生えた手に連れ込まれて沼の底。


 多少の悲鳴は漏れたかもしれないが、密室殺人?で完全犯罪?だったので、誰の目にもつかないまま全員を始末できた。


 ほんの数日待って金貨でも貰った方が得だったろうに、堪え性がないというか、恨みを売り買いしたら百倍返しで、家の前にペンキで落書きしまくって帰るような基地の外に住んでる連中なので、長嶋一茂の家に落書きして行った芸能人みたいに、二度とテレビに出て来ないように人生から引退して貰った。

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