拉致
そんなこんなで最悪な気分で書き上げた事業計画書を、農園に提出した。
もうどうにでもなれ。
しかし、意外や意外、2日後には俺の宿に農園から手紙が届き、俺の商会との提携を前向きに考えているとのことだった。そして、農園に招待され、代々農園を取り締まっている『女帝』アリシア氏から、お屋敷で直々に面会をしてくださった。
緊張しながら訪ねた応接室で、真っ赤なルージュに豊かな金髪、黄金のドレスを纏った迫力ある美女、アリシア氏は、うっそりと微笑んだ。
「そなたの事業案を検討にかけた。なかなか面白かったぞ。しかし、我が社としても、検討の余地はまだまだある。もう少し時間はかかるが、まずは商品を1つ2つからでどうじゃ」
「は、はい。ありがたき幸せっ」
「それに、我が社の者からの入れ知恵もあったようじゃが」
「あ、それは……でも彼女は守秘義務を破っていません」
「よいよい、味方を見つけるのも商人の力量。その力、妾は評価したぞ」
俺は夢見心地でお屋敷を出た。まさか、上手くいくなんて。これでメルも俺のところに戻ってきてくれるかもしれない。
だから気づかなかったのだ、誰かが後ろから近づいてきているなんて。
「おらっ」「お前のせいでっ」
「うっ」
何者かが、俺のことを後ろから攻撃してきた。何がなんだかわからにまま、激しい頭痛とともに、俺は意識を失った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます