赤信号

あの信号機シグナルの色は何色かしら

真夜中にただ一人

交差点のシルエット

惑うおんなの見上げるそこに

点滅しては切り替わる

約束事が瞬くの


タクシーだって通らない

独り芝居の厚化粧な

”女優”がそこに

劇的なステージに

なるのかならないかは

しょせん彼女の覚悟次第


夢見てるのは昔のアタシ

それが悪夢だと知ったのは

半年前にさかのぼる

そうだったのも

浅はかさが底のなさ


バカなおんなが入れ上げる

お金の額で家が建つ

カレシもそれを喜んだ

アタシはそれを喜んだ

「何してんだ?お前は」

頬を打ったのは男の仕打ち


誰かだって?

誰だったんだろうね


イイ人じゃなければ、と

値踏みをしたおんなが”いい人”に

殴られるのは「因果応報」

俺でなければなんて

己惚うぬぼれたりもする

お人好しのオヤジのような社長さん


だけどイイとこ見せても通じない

惜しいけどそうなのよ

見てくれって大事

(もちろん女もだけどね)


出てったカレシが売り払うのは

大事なモノの訳がない

売れ残ったのは”誰かさん”さ

(ああ、察してよ)


年増でもないくせに

稼いで貢いで擦り切れる

そんな女が振り返る

交差点はそんな場所


アタシが見上げているのは

見下げ果ててる信号機

(それでも)行くのかい?

(だったら)行かせるのかい?

応えるアタシ

答えるアタシ

堪えるアタシがここにいる


踵鳴らしてハイヒール

靴音残してハイヒール

旅路の果てはどこにある


横断歩道は答えない

シロクロけじめを付けるだけ


アタシの向こうに道はある

アタシの向こうに道がある


道の向こうで待ってるよ

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る