第11話 地獄の先には

とりあえず崖に沿ってひたすら歩き続けていると、横に広がっていた森の端っこまで来たようだ。


視界が開けたが、どうにも周りに街や村がある気配はない。


「...逆方向か?あのクソヤロウが教えてきた道と逆方向に街があったのでは?」


そうなったら話は早い。俺はあいつから教えてもらった道と逆方向に歩き始めた。


別に合っている確証はないが、それでも己を信じて歩き続けた。


そうして、恐らく10日ほど経ったであろうか?


目の前にまた森が見え始めた。


正直身体は限界で、食べているモノもよく分からない草なので栄養とかが足りてない。

また森の中にへんな実でもあればいいのだが...もうそんなことはどうでもいいか。


どうせ死んだら死んだときだ。こんなクソ人生なんだからもがいて生きていくしかない。


また、俺は森の中に入っていった。








俺はこの森を3日ほど歩いていて一つ確信をしたことがあった。

恐らく近くに街か村はある。野生の勘みたいな何かしらが働いている。

かれこれ何日歩いているかわからないが、今までと違う何かがある。根拠はないが。


「やっとか...やっとこの地獄から抜け出せる」


希望が見えた俺の歩くペースも心なしか速くなった。近くに人がいる。村か街がある。絶対にあると信じて歩いて...



森を必死に抜けた俺が見た光景は。













一面のクソミドリであった。


街や村の気配など何一つない、一面の草原。


「な...なんで?」


そう、クライは知らなかった。

自分が進んでいる方向が逆方向などではなく、全く見当違いの方向であったと。


自分が重度の方向音痴であることに気付いていないのであった。


もし、方向音痴でなければ今頃街が見えていた頃だろう。しかしクライの旅路はそんなに簡単に行くわけもなく...


また底の見えない絶望を味わうのであった。

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