第10話 抜けた先には
あれから5日ほど迷っただろうか?
遂に森を抜けた...はずだったのだか。
「行き止まりじゃん...どういうこと?」
崖から見えるのは一面の海。
周りに村など見当たらなかった...
「だって、抜けたら村があるって...」
待てよ、そもそも何故あいつが本当の事を教えたと思っていた?
15日ほど歩いた付近に村があるなど、もともと聞いたことなかったし...そんなところにあるなら一度でも元の村の人達が会ったことあるだろ...
「騙された...ってことか?よく考えたら倒した変な魔物も無くなってたし...」
やられた...なんで信じてしまったんだ。
これじゃあ盗賊に騙された村人達と一緒ではないか...
「ははは...やっぱり俺もあの村の住人だったって事か...」
涙が出てきた。
また振り出しである...いっそこの崖から飛び降りてこの人生を終わらせるのも悪くない。
「なんなんだよ...異世界転生ってこんなのじゃないだろ...なんで俺の...俺だけ不公平だろ!!!!!!!」
そういえば転生する前の人生も良いことなかった気がする。
友達も少ないし、大学も落ちるし、バイト先でもいじめられるし...
転生してもブサイクで、村で孤立して、盗賊にやられて、旅に出たら騙されてこんなことになってる。
「はあ、やっぱりもういいか...」
俺はその場で大の字になった。
広がる空は雲一つない青色だった。
「女神様よお...もっと良いこと起こしてくれよ...こんなハードモードは俺には無理だぜ」
よく考えたら転生するときにした約束も意味が分かんない。セックスしてくれるって言ってた気がするけど曖昧になってきた。
そもそも出来るのか?騙されてただけでは?
あいつらも、俺が絶望している様子を楽しんでいるだけのクソ野郎なのでは?
「そりゃ、こんなクソ能力持たせておいてブサイクに生み出すんだもんな。あの女神を信じてた俺もバカだった」
この先、どうすればいいのだろうか。
このどうしようもない世界で、あいつにどう復讐してやろうか...
「クソ女神の思う通りにはさせねえ...こんなところで止まってられるか...こうなったら何が何でも生き延びて、魔王でも何でも倒して約束果たしてもらうぞ...」
ここまで強い思いを抱いたのは初めてだった。とりあえず街を見つけて騙したカーネルとか言う男をぶちのめすことにしよう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます