第8話 出会い
「...やっと見つけた!!!!」
そう、旅を始めてからかれこれ10日ほどだろうか。持ってきた食料も尽きその辺の草を食べ始めた俺はついに小さな動物らしき何かを見つけた。
「こいつは...なんだ?近づいても特に逃げたりしないし...魔物...なのか?食えるのか?」
その動物は例えるならウサギみたいな...そんな感じの耳の長い生き物だった。
「とりあえず、こいつを食うしか生き残る術もないし...やるしかないか...」
そうして手元の木の剣...は歩いているときに杖代わりにしていたのでボロボロになってしまったので家から盗んだ小さなナイフで刺してみた。
「...なんでこいつ刺しても動かないんだ???気持ち悪すぎる...」
とりあえず刺しまくったら急にバタリと倒れた。恐らく死んだのであろう...
「いや、絶対にヤバい...意味が分からない...なんなんだよこいつ...てかこの世界がホントに分からない」
せめて逃げたりする動物と対面した方がまだマシだった。でも、コイツを食べないとホントに死ぬ...
「とりあえず今日はこの辺で...そういえば焚き火ってどうやるんだ...え?待って?コイツを焼かない選択肢はないよな...うん...とりあえず見よう見まねでやるか」
今日まであまりにも平和すぎて寝るときも特にその辺で寝転がって野宿していた俺は初めて火をおこせない事に気付いた。
「...無理だな。諦めて草を食べて寝よう。」
数時間頑張ったが結局火を起こすことも出来ず、自分の知識の無さを恨みながら草を食べて寝たのであった。
「...し....もしも...もしもーし...生きてます?」
「うわ!え?なに!?え????」
急に声をかけられてビックリした俺は飛び起きてしまった。
「あ、あの?どちらさま...ですかね?」
「冒険者のカーネルと申します。あなたは?」
「あ、えっと...クライと申します...えっと冒険者なんですか???」
「はい、先ほど倒れてるあなたを見つけたのでとりあえず声をかけさせてもらいました。こんなところで一体何を...?」
キタキタキタキタキタキタキタキター!!!
冒険者と遭遇はツイてる!!このまま案内して貰おう!!
「実は先日冒険者になるために村を出まして、向かっていた最中だったのですが、食料も尽いて寝てたところなんです。もし良ければ案内していただいても...」
「なるほど...?この辺に村なんて...ああ、あそこか...しかし困りましたね。ここからギルドまで行くとなると最低でも30日ほどかかってしまう」
30日!?やっぱりそのくらいはかかるのか...分かってはいたがやはり大分厳しい。
「あの、あなたは何故こんなところに...?」
「ああ、実はこの辺の地形調査で来てまして、俺は転移魔法が使えるんですよ。ただ、自分だけしか転移出来ないので...残念ながら帰りの食料とかは持ってないんですよ」
...なるほど?つまりこの人は帰れるが俺はここに置いていかれちゃうと...
「あ、じゃあ!この辺の情報だけでも!どっちに行けば良いとか...」
「ああ、とりあえずこのまま真っ直ぐ行った先に見える森を抜けると小さい村があるので、そこで休憩されてはいかがですかね?3日ほどで着くと思います」
「ありがとうございます!あと出来れば何か食べられるものを...」
「...すいません、見ず知らずの人に流石にそこまでは、自分の分しかないので...」
「あ、いや...はい...ありがとうございました...」
クソ...ダメか...
いやでも、情報が手に入っただけでも御の字か...
「では、失礼します。クライ殿」
「はい、ありがとうございました」
さて、とりあえず村に向かいますか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます